[受賞予想] 混戦の主演女優部門を制するのは!?
■ 主演女優賞
ヴィオラ・デイヴィス (ヘルプ 心がつなぐストーリー)
メリル・ストリープ (マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙)
ミシェル・ウィリアムズ (マリリン 7日間の恋)
ルーニー・マーラ (ドラゴン・タトゥーの女)
グレン・クローズ (アルバート・ノッブス)
この部門は混戦だ。重要前哨戦でもSAGとBFCAをヴィオラ・デイヴィス(ヘルプ ~心がつなぐストーリー~)、GGをメリル・ストリープ(マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙)とミシェル・ウィリアムズ (マリリン 7日間の恋)が分け合った。その他の前哨戦ではストリープとウィリアムズが賞を分け合う形となっており、前哨戦実績はまったくの五分だ。
巷では実在の人物を演じたストリープとウィリアムズ有利の下馬評だ。実際にアカデミー賞では実在の人物を演じると受賞の確率がグンと高くなる傾向があり、過去10年でも半数以上の6回で実在の人物を演じた女優が受賞している。特に今年は2人とも超有名人物を演じており、話題性という面では近年で1番だ。
ただし、2人とも対象作がそれほど高く評価されていないのは減点材料だ。過去10年の同部門受賞者のうち、7人までが作品賞候補作でのノミネートだったという事実は無視できない。
その点でヴィオラ・デイヴィスはライバル2人をリードする。対象作「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」は作品賞にノミネートされているだけでなく、BoxOfficeでも1億ドルを超える大ヒットを記録。会員の鑑賞率でもライバル2人を凌いでいるに違いない。会員数の多いBFCAでの受賞が作品認知の差を物語っていると言える。
ヴィオラ・デイヴィス優位の根拠は作品力の強さだけでない。演技力も桁違いだ。対象作「ヘルプ~」での彼女の演技に泣かされた映画ファンは数知れないだろう。また、彼女は今年「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」にも出演し、強烈な演技を披露している。作品賞候補2作品に出演しているのは、ヴィオラ・デイヴィスただ1人だ。
またちなみに、ヴィオラ・デイヴィスは84回のアカデミー賞の歴史の中で、2回以上演技賞にノミネートされた史上2人目の黒人女優だ。1人目は「カラーパープル」と「ゴースト/ニューヨークの幻」のウーピー・ゴールドバーグで、彼女も2度目の候補でオスカーを受賞している。高いハードルを越えての史上2人目の快挙は、そう簡単に成し遂げられるものではない。
というわけで、混戦模様の主演女優部門だが、自信を持ってヴィオラ・デイヴィスを推す。彼女こそ受賞にふさわしい。
◎ ヴィオラ・デイヴィス(ヘルプ ~心がつなぐストーリー~)