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[受賞予想] 作品賞はワインスタインの2年連続勝利となるのか?

アカデミー賞 記事:2012.02.24

■ 作品賞
アーティスト (ワインスタイン・カンパニー)
ファミリー・ツリー (フォックス・サーチライト)
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(ワーナー)
ヘルプ 心がつなぐストーリー (ディズニー)
ヒューゴの不思議な発明 (パラマウント)
ミッドナイト・イン・パリ (ソニー・ピクチャーズ・クラシックス)
マネーボール (ソニー・ピクチャーズ)
ツリー・オブ・ライフ (フォックス・サーチライト)
戦火の馬 (ディズニー)

先日、これまで謎とされてきたアカデミー会員の人種や性別、年齢の構成比が発表された。これによると、白人が94%でそれ以外がわずか6%、60歳以上が54%で40~50代が36%、40歳以下が2%、男性が77%で女性が23%となっていることがわかった。

高年齢化が進んでいると推測されていたアカデミー会員だが、60代以上が半数以上を占めており、予想以上に高齢化が進んでいる印象だ。このデータから、会員の約半数以上が60代以上の白人男性という推測ができ、実質的に彼らの票がオスカーの行方を左右すると言ってよい。

こうしてみると、最新技術により異星でのヴァーチャル体験を共有できた大ヒット作「アバター」や、ネット社会の寵児を描いた「ソーシャル・ネットワーク」がオスカーを逃したのは、ごく当然のことであったように思える。高齢化したアカデミーは、変化を避け、娯楽作を嫌い、新しい技術に否をつきつける保守的な賞になってしまったのか。

奇しくも、今年のアカデミー賞は”回顧主義”とも言える昔を懐かしむ映画が顔をそろえた。最多ノミネートを競った「アーティスト」と「ヒューゴの不思議な発明」はともに映画創世記を描く作品で、ウディ・アレン監督の「ミッドナイト・イン・パリ」も1920年代のパリにタイムスリップしてしまう男の話だ。

まさに60代以上の白人男性が好みそうな題材の映画ばかりだが、中でも映画への愛情をストレートに表した「アーティスト」と「ヒューゴの不思議な発明」が頭一つ抜け出している。ただし、前哨戦ではきれいに優劣がついてしまった。序盤のナショナル・ボード・オブ・レビューこそ「ヒューゴ~」が受賞してスタートダッシュを決めたが、その後は「アーティスト」が着実にポイントを重ね、終わってみれば前哨戦レースを圧勝。重要賞である製作者組合賞、ブロードキャスト批評家賞、ゴールデン・グローブ賞を総なめにしており、「ヒューゴ~」の逆転は難しいと言わざるをえない。

「アーティスト」が受賞を逃すとすれば、それは配給のワインスタイン・カンパニー包囲網が敷かれたときだろう。ワインスタイン・カンパニーを率いるハーヴェイ・ワインスタインは、業界では強引なオスカー・ハンターとして悪名高い。ミラマックス時代には毎年のように作品賞候補を送り込み、「イングリッシュ・ペイシェント」「恋に落ちたシェイクスピア」「シカゴ」などのオスカー受賞作を輩出。ワインスタイン・カンパニーに転身してからも昨年まで3年連続で作品賞候補を配給し、昨年「英国王のスピーチ」で早々に作品賞を受賞している。今年「アーティスト」が受賞すればワインスタインの2年連続の勝利となるわけで、これをよしとしない同業者たちが投票を避けることがあるかもしれない。

とはいえ、おそらくよほどのことがない限り「アーティスト」の勝利は間違いないだろう。ただし、これをただの高齢会員たちの回顧主義による勝利とは断じたくない。「アーティスト」はサイレント&モノクロという時代を逆行したレトロ映画だが、この時代にそんな映画を作ること自体がとんでもない発想だ。また、表現方法を制限されたことで逆に生まれたアイデアの数々が新鮮で、見た目は古くても新しいモノに出会う感覚を与えてくれる。このチャレンジ精神と想像力、そして技術革新が奨励される映画界へのアンチテーゼともとれる原点回帰は、まったく新しい映画へのアプローチとして賞賛されてしかるべきだろう。オスカー受賞にふさわしい快作だ。

◎ 「アーティスト」


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