[受賞予想] 脚本賞は壮絶な三つ巴。アレン26年ぶりの受賞なるか
脚本賞
ミシェル・アザナヴィシウス(アーティスト)
ウディ・アレン(ミッドナイト・イン・パリ)
アスガー・ファルハディ(別離)
クリステン・ウィグ、アニー・マモロ(ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン)
J・C・チャンダー(マージン・コール)
セオリー通りなら作品賞部門で有力な「アーティスト」が強いが、前哨戦では「ミッドナイト・イン・パリ」がリードした。重要前哨戦3賞(WGA、GG、BFCA)を独占してライバルを圧倒。ただし、WGAは「アーティスト」がエントリーしておらず、GG賞はビッグネームに弱いのでアテにならず。BFCAでの勝利のみがウディ・アレンの優位を示す根拠で、決して磐石を告げるデータとは言えない。それどころか、外国語映画賞部門で大本命視される「別離」の逆転受賞を予想する声も大きく、戦況は三つ巴の様相を呈している。
ウディ・アレンは今回で23回目のノミネート(監督賞、脚本賞)で、これまでに受賞は3度。ただし、最後の受賞となった86年(「ハンナとその姉妹」の脚本賞)以来、26年間受賞から遠ざかっている。アカデミー賞に興味を示さず、過去のノミネートで一度も授賞式に姿を現さなかったことも、会員からの得票を妨げている一因だろうが、おそらく今年もアレンが会場に足を運ぶことはない(9.11直後の2002年に一度だけ特別ゲストとして授賞式に登壇している)。
それでも会員たちは、今年もニューヨークのどこかでクラリネットを吹いているアレンにオスカー像を贈りたいと思っているに違いない。今回の対象作「ミッドナイト・イン・パリ」はアレンの作品史上もっとも興行的に成功した作品で、アカデミー会員の多くを占める60歳以上の白人男性を惹きつけるたくさんの要素を持っている。アレン4つ目のオスカー像は、後日ひっそりと巨匠の手に手渡されることになるだろう。
◎ ウディ・アレン(ミッドナイト・イン・パリ)