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[受賞予想] 脚色賞は5作品全てにチャンスありの大混戦

アカデミー賞 記事:2012.02.26

脚色賞
アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ(ファミリー・ツリー)
アーロン・ソーキン、スティーヴン・ザイリアン(マネーボール)
ジョン・ローガン(ヒューゴの不思議な発明)
ブリジット・オコナー、ピーター・ストローガン(裏切りのサーカス)
ジョージ・クルーニー、グラント・ヘスロフ、ボー・ウィルソン(スーパー・チューズデー 正義を売った日)
この部門も大混戦だ。下馬評で有力視されているのは「ファミリー・ツリー」と「マネーボール」だが、どちらのノミニーもつい最近オスカー受賞経験があり、得票の妨げになる恐れがある。「マネーボール」のアーロン・ソーキンは昨年「ソーシャル・ネットワーク」で受賞したばかりなので、特にその危険性が高い。「ファミリー・ツリー」のアレクサンダー・ペインも前作「サイドウェイ」で受賞。8年前のこととはいえ、2作連続という意味ではアーロン・ソーキンと同じ立場だ。
「マネーボール」はさらにスティーヴン・ザイリアンという名脚本家との共同名義で、そのザイリアンも93年に「シンドラーのリスト」で同賞を受賞している。受賞経験が足かせになるとすれば、「マネーボール」のほうが不利というわけだ。
ただし、スティーヴン・ザイリアンは今年、「ドラゴン・タトゥーの女」の脚色も務め、高く評価されている。こちらではノミネートされなかった分、2作合わせての評価で得票が期待できる。
前哨戦をリードしたのは「マネーボール」だ。最重要のWGAこそ「ファミリー・ツリー」が制したが、「マネーボール」はBFCAほか多くの批評家賞でライバルに競り勝っている。ただし、実績の差はそれほどなく、どちらも互角といっていい。
順当ならこの2作品の争いだが、他3作品にも逆転のチャンスはある。受賞経験者への票が滞れば、「グラディエーター」「アビエイター」でノミネート経験がありながら未だ無冠のジョン・ローガン(ヒューゴの不思議な発明)に票が流れる可能性は十分だし、英国アカデミー賞で脚色賞を受賞した「裏切りのサーカス」も不気味な存在だ。そして「スーパー・チューズデー 正義を売った日」もジョージ・クルーニー人気で票が集まる可能性がある。
予想は「マネーボール」。まったく映画向きでない原作を映画として再構築した功績は大きい。ソーキンもザイリアンも2つのオスカー像に値する名脚本家だ。
◎ アーロン・ソーキン、スティーヴン・ザイリアン(マネーボール)


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