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[受賞予想] 撮影賞は大本命エマニュエル・ルベツキに黄信号?

アカデミー賞 記事:2012.02.26

撮影賞
ギョーム・シフマン(アーティスト)
ジェフ・クローネンウェス(ドラゴン・タトゥーの女)
ロバート・リチャードソン(ヒューゴの不思議な発明)
エマニュエル・ルベツキ(ツリー・オブ・ライフ)
ヤヌス・カミンスキー(戦火の馬)
前哨戦で圧倒的な強さを見せた「ツリー・オブ・ライフ」がオスカー受賞の一番手。エマニュエル・ルベツキはこれまで4度候補に挙がるも受賞経験はなく、そろそろ順番。傑作「トゥモロー・ワールド」での雪辱を晴らし、ぜひ受賞していただきたい。
ただし、ルベツキにとって嫌なデータは、今年受賞した撮影監督組合賞が実はそれほどオスカーとの直結度が高くないということだ。過去10年で5回しか一致しておらず、他の組合賞と比べると直結度はかなり低い。しかも過去一致しなかった5回のうち1回がルベツキ本人によるもの(06年の「トゥモロー・ワールド」)だ。
また、近年の同部門がやや技術志向なのも気になるところだ。この2年の受賞は「インセプション」「アバター」で、特殊効果を絡めた最新技術による撮影が評価されている。自然が生み出す美しい表情を感覚的に捉えた「ツリー・オブ・ライフ」の撮影手法は、この流れに反している。
もし技術偏重の流れが続くのであれば、受賞するのは「ヒューゴの不思議な発明」だろう。3D撮影による最新技術の導入、ファンタジックな色彩、スコセッシ流の多彩なカメラワークは見どころ満載で、評価の対象として打ってつけだ。ロバート・リチャードソンは「JFK」「アビエイター」で2度オスカーを受賞しているが、技術賞部門では過去にいくつオスカー像をもらっていても得票の妨げにはならない。
「アーティスト」も有力だが、モノクロ撮影は09年に組合賞を受賞した「白いリボン」がオスカーを逃した例がある。このときは有力視された外国語映画賞も逃したことから、単純に作品人気が反映されたようにも見えるが、やはり近年の流れからするとモノクロ撮影は得票が難しいといわざるをえない。
技術的な面でいえば「ドラゴン・タトゥーの女」の受賞も十分にありうる。昨年「ソーシャル・ネットワーク」で惜しくも受賞を逃したジェフ・クローネンウェスが2年連続でノミネートされたのも、同部門の技術志向を裏付けるものだ。
ルベツキにとっては悲劇だが、近年の流れは彼向きのものではない。受賞するのはロバート・リチャードソン(ヒューゴの不思議な発明)かジェフ・クローネンウェス(ドラゴン・タトゥーの女)だろう。どちらが受賞してもおかしくないが、技術賞部門を席巻しそうな前者が有利と見る。
◎ ロバート・リチャードソン(ヒューゴの不思議な発明)


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