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[受賞予想] 編集賞は「アーティスト」本命も気になる不安材料あり

アカデミー賞 記事:2012.02.26

編集賞
ミシェル・アザナヴィシウス、アン=ソフィー・ビオン(アーティスト)
ケヴィン・テント(ファミリー・ツリー)
カーク・バクスター、アンガス・ウォール(ドラゴン・タトゥーの女)
セルマ・スクーンメイカー(ヒューゴの不思議な発明)
クリストファー・テレフセン(マネーボール)
この部門の予想は消去法がわかりやすい。
まず「ドラゴン・タトゥーの女」だが、このコンビは昨年「ソーシャル・ネットワーク」で受賞したばかり。主要部門ほど過去の受賞歴を気にする必要はないが、昨年受賞したばかりというのはさすがに割り引いて考えたほうがいい。また、この部門は作品賞と直結することも多いので、対象作が作品賞に挙がっていないのは大きなマイナスだ。
「マネーボール」は前哨戦で目立った実績を残しておらず、作品賞部門でも受賞争いから外れているだけに推しづらい。
「ヒューゴの不思議な発明」は技術賞部門での活躍が期待されており、この部門も当然有力視されている。ただし、ノミニーのセルマ・スクーンメイカーはすでに3度の受賞経験あり。これは同部門の最多タイで、今回受賞となれば単独首位となるだけに、会員たちもさすがに投票に慎重にならざるを得ないだろう。
「ファミリー・ツリー」は組合賞ドラマ部門で受賞。ノミニーのケヴィン・テントは初期からアレクサンダー・ペイン作品の編集を担当してきた職人で、意外や今回が初ノミネートとなる。ペイン作品は目立ったカメラワークやカット割り不在で編集者の腕が伝わりにくいが、実は熟練の技がペイン作品の独特のリズムと多幸感を表していることがわかる。ただ、近年のオスカー受賞作を見ると、やはりスピーディーな編集がトレンドになっており、ペイン作品のリズムが評価されるとは考えにくい。
というわけで残った「アーティスト」が本命だが、この作品にも不安要素がある。ノミニーに監督のミシェル・アザナヴィシウスが登録されていることだ。アメリカでは、映画の監督が編集監督を兼ねることを、編集監督組合が認めていない。そのため、コーエン兄弟などはロデリック・ジェインズという偽名を使って編集監督を務めているが、そのジェインズも組合からの反発により(?)オスカーは受賞できずにいる。過去30年ほどのデータを遡ってみても、映画の監督が編集賞を受賞している例はなく、84年のデヴィッド・リーン(インドへの道)と、前述のロデリック・ジェインズ(96年「ファーゴ」07年「ノーカントリー」)がノミネートされた例があるくらいだ。組合賞で受賞しているところを見ると、フランス映画の「アーティスト」に対しては何の反発もないようだが、もしかすると受賞を逃す可能性もある。
◎ ミシェル・アザナヴィシウス、アン=ソフィー・ビオン(アーティスト)


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