【第84回アカデミー賞 受賞予想】 長編アニメ映画賞はピクサー不在で混戦模様?
長編アニメーション映画賞
■ A Cat in Paris
■ Chico & Rita
■ カンフー・パンダ2
■ 長ぐつをはいたネコ
■ ランゴ
長編アニメーション映画賞部門が設立されて今年で11年目。過去10回のうち6回でピクサー作品が受賞してきたが、今年はノミニーにピクサー作品の名前がない。スタジオのボス、ジョン・ラセター自らが監督した「カーズ2」が屈辱の候補落ちを喫し、これまで右肩上がりだったピクサーのブランドに少しだけ傷がついた。
ピクサーの躓きを尻目に、業界2番手をひた走るライバル、ドリームワークス・アニメーションが2本の候補作を送り込んだ。「カンフー・パンダ2」と「長ぐつをはいたネコ」だ。どちらも興行では「カーズ2」に敵わなかったが、ついに作品のクオリティでライバル・ピクサーを上回る結果を出して見せた。
業界第3勢力からノミネートの「ランゴ」は、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの監督×主演コンビが手がけたCGアニメだ。実写映画製作陣が作ったアニメということで、これまでのアニメ作品にはないユニークな持ち味が評価された。興行的にも成功し、前哨戦実績もNo.1だ。
サプライズ候補となった2本の外国製アニメは、国内製のCGアニメとは対照的な手作り感が印象的だ。「A Cat in Paris」はフランス映画。「アーティスト」の勢いを借りて大逆転受賞なんてこともあるかも? 「Chico & Rita」はスペイン製。こちらも独特の映像表現で新鮮な驚きを与えてくれる。ある意味「カーズ2」の落選はCGアニメ全盛に待ったをかける原点回帰の意思表示ととれなくもなく、作品賞部門の流れと一致する。もし作品賞と同じ流れで受賞作が決まるとすれば、どちらか一方が受賞してもおかしくない。
とはいえ、やはり国内のナワバリ意識から外国作品が受賞するにはハードルが高く、それこそ投票者に対して知名度のあるミヤザキ作品くらいにならないと受賞は難しい。ここは素直に前哨戦実績通り「ランゴ」の受賞と予想するのが妥当だろう。
◎ ランゴ