日本人にシンクロしすぎる恐怖のメタファー 「テイク・シェルター」レビュー
これ、今の日本人にとっては一番怖い映画なんじゃないだろうか。
主人公はある日突然悪夢に悩まされるようになり、巨大な災害が街を飲み込むという妄想にとりつかれる男。大型災害が妄想ではなくなっている日本人にとって、この男が感じる恐怖は針が肌を突き刺すような痛みをともなって心を侵食する。
この映画で「災害」は統合失調症に侵された男の恐怖や焦りを表現するメタファーでしかないのだが、このメタファーは日本人が内に抱える恐怖とシンクロしすぎて、もはや反則技に近い。