凡庸な邦題とプロットからは想像も出来ない面白さ 「ラブ・アゲイン」レビュー
妻に離婚を言い渡された冴えない夫がイケメンの遊び人の力を借りて変身する…という既視感たっぷりのプロットながら、決してお約束の展開を許さないストーリーテリングの巧さに脱帽。
あ くまで主人公の物語を主軸に置きながら、中年危機に悩む妻、主人公に恋するベビーシッター、そのベビーシッターに初恋の感情を抑えきれない息子、夜な夜な 女遊びに繰り出すプレイボーイ、真面目一辺倒でウブな女の子…といった脇役たちがぞれぞれの物語を形成し、絶妙なハーモニーを奏でる。
や がて彼らが一堂に会し、小さな誤解や感情のもつれを爆発させる一連のシークエンスで、観客は膝をたたいて笑い、予想外の展開に驚き、終いにはボロボロと泣 かされるという感情の洪水に晒される。激流に身を任せるがごときこの映像体験は、まさに映画の醍醐味であり、至福のひとときだ。