3Dはおいといて、やはり映画史に残る傑作 — 「タイタニック 3D」レビュー
いやはや、15年の年月を経て色褪せるどころかクラシックの風格さえ漂う世紀のラブストーリーには、97年の公開当事以上に衝撃を受けた。
大スクリーンでの映像体験を大切にしたい思いから、「タイタニック」の鑑賞は15年ぶり。ところどころ記憶が薄れている部分もあったが、ほとんどのシーンをくっきりと覚えていることにまずは驚く。あらためて全編を批評的な目で再確認し、ジェームズ・キャメロンの計算された画作りに圧倒された。
沈みゆくタイタニック号内での活劇は、基本的に迫り来る激流をかわして下層から上層へと進む構造だが、再見してみてこの構造が巧みに何度も繰り返されていることに気づく。一度は階下の警備室に監禁されたジャックが手錠を外して上層のデッキにたどり着くが、今度は逆上したキャル(ローズの婚約者)にまた階下へと追われるのである。限定された舞台で角度を変え、見せ方を変えて繰り返し見せ場を演出するキャメロンの粘着質なアクションはもはや芸術だ。