カウボーイハット ― 「ゴースト・エージェント R.I.P.D.」レビュー
ゴーストを相手にするという意味では「ゴースト・バスターズ」の現代版だが、実のところ何から何まで「メン・イン・ブラック」の踏襲だ。見せ方の工夫はそれなりにあるが、既視感たっぷりの世界観はちょっとやそっとの努力でリニューアルできるものでもない。
ただ、1点だけ本家より優れた見どころがある。ジェフ・ブリッジスのカウボーイハット姿だ。おそらく現役ハリウッド俳優でもっともカウボーイハットが似合う男がひさしの陰から鋭くも愛嬌たっぷりな眼光を覗かせる様は、どんなに金をかけたCG映像でも生み出せない魅力を放つ。作り手もそのあたりは心得ていて、物語序盤であえてそのハットをブリッジスから奪い取る「おあずけ作戦」を敢行。その作戦は映画の終盤、ブリッジスの手にハットが戻ったときに効力を発揮する。