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【第86回アカデミー賞最終予想】 監督賞はアルフォンソ・キュアロン(ゼロ・グラビティ)で鉄板!

アカデミー賞 記事:2014.03.02

2013oscar_director

“作品は監督のもの”ということで、当然ながら作品賞と結果が一致することが多く、この10年でも8回までが作品賞とのセット受賞となっている。※ちなみに例外の2回はどちらもアン・リーが監督賞を受賞。

ただ、今年はセット受賞の目は薄いと考えるのが妥当なようだ。作品賞部門でTOP3と目されている「それでも夜は明ける」「ゼロ・グラビティ」 「アメリカン・ハッスル」が、主要部門を分け合うというのが大方の予想。中でも監督賞はアルフォンソ・キュアロン(ゼロ・グラビティ)を本命視する声が多数派だ。確かにこの部門でのキュアロンの 前哨戦実績はズバ抜けている。最重要前哨戦たる監督組合賞(DGA)、ゴールデン・グ ローブ賞、ブロードキャスト批評家賞を全勝し、各地の批評家賞もそのほとんどを手中にしている。前作「トゥモロー・ワールド」から7年の時を経て完成した 難産の新作は、それだけの時間を費やす理由がたしかにあったという評価で迎えられた。技術的な面で数々の障害をクリアして見せただけでなく、演技賞にもノ ミニーを送り出し(サンドラ・ブロック)、さらには物語自体にも人間の生命力という壮大なテーマをすべりこませた。どこをとってもケチのつけようがない完 璧な仕事ぶりで、オスカー受賞にふさわしい。

かの名優と同姓同名のスティーヴ・マックィーン(それでも夜は明ける)は、劇場用映画3作目とキャリアは浅いが、前2作「ハンガー」と「SHAME シェイム」がともに高い評価を得て、早くも一流監督の仲間入りを果たしている。もともと彫刻と写真を手がける現代芸術家としてキャリアをスタートさせているマックィーン監督だけに、映像作品にもその出自が色濃く反映されている。奴隷制という時代の闇を描く今回の作品においても、その美意識には目を瞠るものがあり、単なる問題提起映画には終わらない魅力を紡ぎ出した。もしマックィーンが監督賞を受賞することになれば、黒人としては史上初の栄冠を掴むことになる。

TOP3の中で2番手と目されるのはデヴィッド・O・ラッセル(アメリカン・ハッスル)だ。 昨年も「世界でひとつのプレイブック」で有力視され ていたが惜しくも落選している。今回の仕事も受賞にふさわしいものであることに間違いないが、どうも昨年の落選を見るかぎり、決してアカデミー会員から熱 狂的な支持を得ているわけではないようにも見える。昨年の監督賞レースは、作品賞で本命視された「アルゴ」が監督賞にノミネートされないという異常な状況 で、ラッセルにとっては大きな追い風が吹いていた。にもかかわらず、受賞経験のある外国人監督(アン・リー)に賞をさらわれたという事実は、実はラッセルの 不人気の現れと見ることもできる。実際、過去にはその気性の荒さで撮影現場でたびたびトラブルを起こし、かのジョージ・クルーニーとも修復不能なほどの不 和を引き起こしたという逸話を持つ。その後、気性の荒さは改善され、今では俳優たちから絶大な信頼を得る巨匠へと変貌したが、当時の悪童イメージが完全に 払拭されたわけではない。そのあたりのハンデがなければ今回受賞があってもおかしくないが、果たしてアカデミー会員はラッセルという人物をどう評価するか。

最終予想
◎ アルフォンソ・キュアロン(ゼロ・グラビティ)
○ デヴィッド・O・ラッセル(アメリカン・ハッスル)


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