【第87回アカデミー賞有力作】「Unbroken」
原作はニューヨーク・タイムズのベストセラーリストで14週も1位を獲得した人気小説だが、その内容は日本軍の捕虜虐待やカニバリズムを描くなど物議を醸した。日本人にとっては観るのがつらそうな内容だが、監督を務めたアンジェリーナ・ジョリー自身は日本軍を糾弾する意図はなく、あくまでも平和へのメッセージこそが作品の核心であるとコメントしている。
第二次世界大戦をモチーフにした映画はアカデミー会員の受けがよく、特に外国語映画賞部門ではナチスの悪を糾弾する内容の映画が高く評価される傾向にある(「ヒトラー ~最期の12日間~」「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」「ヒトラーの贋札」など)。
とはいえ、扱いの難しい題材であることは間違いなく、本作も批評家の反応は賛否割れている。前哨戦でも苦戦を強いられており、作品評価と前哨戦実績だけをものさしとするなら、アカデミー賞での活躍は厳しいといわざるをえない。
近年、ソフィア・コッポラやキャスリーン・ビグローなど女性監督に対する寛容な姿勢が目立つアカデミー賞だけに、アンジェリーナ・ジョリーがスポットライトを浴びる可能性はある。ただし、女性監督というなら今年は「Selma」のエヴァ・デュヴルネが実績でリード。知名度の差でどこまで逆転できるか。
プラス要素/マイナス要素
+ボックスオフィスで期待上回るヒット
+原作は大ベストセラー
+会員受けがいい第二次世界大戦もの
-アンチ多いアンジェリーナ・ジョリー監督
-物議をかもす題材
北米興収
$87,651,495
Metacriticスコア
59点(100点満点)
ロッテントマト
49%
前哨戦実績(◎受賞/○候補)
○ブロードキャスト映画批評家協会賞
○ナショナル・ボード・オブ・レビュー
○ワシントンD.C.映画批評家協会賞
○アフリカン・アメリカン映画批評家協会賞
○アメリカ映画協会(AFI)Top10
△ノミネート確率 : 40%
※データはすべて1/7現在の集計