【第87回アカデミー賞有力作】「アメリカン・スナイパー」
御大クリント・イーストウッドが放つ2014年2本目の作品は、イラク戦争で160人を射殺(公称)した海兵隊史上最強のスナイパー、クリス・カイルの回顧録を映像化した骨太な戦争映画。4館限定で北米公開されるや、1館あたりのアベレージが15万ドルという驚異的な大ヒットとなった。これは「グランド・ブダペスト・ホテル」に次ぐ今年2位となる快記録。イラク戦争ものは集客が難しいという定説を覆した。
イーストウッド監督作は常にアカデミー賞戦線の常連だが、もう1本の対象作「ジャージー・ボーイズ」もファンが多く、票割れの危険は残る。また、本作がイーストウッドの輝かしいキャリアにおけるベスト作品という評価も聞かれず、高すぎるハードルが徒になっている印象はある。
前哨戦でもナショナル・ボード・オブ・レビューで監督賞を受賞してさい先の良いスタートを切ったものの、その後勢いを失ってしまった。重要3賞のうち2つ(ゴールデン・グローブ賞、ブロードキャスト映画批評家協会賞)でノミネートを逃したのも大きな痛手だ。
プラス要素/マイナス要素
+クリント・イーストウッド御大の新作
+ボックスオフィスで館アベレージ年間2位の好記録
-イーストウッド御大は今年もう1本の対象作
-前哨戦では存在感を示せず
-実はオスカー向きでないイラク戦争もの
北米興収
$2,229,288
Metacriticスコア
74点(100点満点)
ロッテントマト
74%
前哨戦実績(◎受賞/○候補)
○アメリカ製作者組合賞
○ナショナル・ボード・オブ・レビュー
○アメリカ映画協会(AFI)Top10
○デンバー映画批評家協会賞
△ノミネート確率 : 40%
※データはすべて1/7現在の集計