【第87回アカデミー賞有力作】「フォックスキャッチャー」
「カポーティ」「マネーボール」と監督した長編劇映画が2本とも作品賞にノミネートされている才人ベネット・ミラー監督の新作は、一足お先にカンヌ国際映画祭でお披露目されるや、高い評価を集めてみごと監督賞を受賞した。
オリンピック金メダリストの射殺事件をモチーフにした骨太な問題作はアカデミー賞向きの題材と言えるが、主人公のモデルとなったマーク・シュルツ(射殺された金メダリストの弟)が事実関係との相違を告白してマスコミを賑わせたのはマイナス材料。加害者であるデュポン家が映画化に協力的だったと言われており、まさかの事態に陣営も頭を悩ませていることだろう。
とはいえアメリカという国家の性質や愛国心の闇にまで踏み込んだ内容は批評家から絶賛を浴びており、作品のクオリティ自体を傷つけるものではない。前哨戦で期待ほど目立っていないのは気がかりだが、重要賞のアメリカ製作者組合賞とゴールデン・グローブ賞ではともにノミネートされているだけに、本番での巻き返しがあってもおかしくない。
プラス要素/マイナス要素
+カンヌ国際映画祭で監督賞受賞
+ベネット・ミラー監督の長編劇映画は過去すべて作品賞候補
+有名な事件をモチーフにしたドラマ
-主人公のモデルとなった人物がネガティブ発言
-前哨戦、ボックスオフィスでともに目立たず
北米興収
$7,943,000
Metacriticスコア
81点(100点満点)
ロッテントマト
86%
前哨戦実績(◎受賞/○候補)
○アメリカ製作者組合賞
○ゴールデン・グローブ賞
○アメリカ映画協会(AFI)Top10
○デンバー映画批評家協会賞
△ノミネート確率 : 35%
※データはすべて1/7現在の集計