【第87回アカデミー賞有力作】「Inherent Vice」
アカデミー賞の常連ポール・トーマス・アンダーソン監督の新作は、人気作家トマス・ピンチョンの同名原作を映像化したコメディータッチのドラマ。これまで6本の長編映画を監督しているPTAだが、監督賞と脚本賞(脚色賞)で計4度アカデミー賞候補に挙がっている。ただ、意外にも作品賞にノミネートされたのは07年の「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のみ。前作「ザ・マスター」は演技賞部門に3人の候補を送り出したが、作品賞部門では選から漏れた。
原作は70年代のポップカルチャーへの言及が多々あり、トマス・ピンチョン小説の中でも軽さがあると評されており、その映画版も予告編からはPTA初期作をほうふつとさせるユーモアがにじみ出る。ここ2作「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」と「ザ・マスター」の重厚さとは裏腹な作風がアカデミー会員にどう受け取られるかが鍵だが、批評家からの反応はさすがPTA作品というべき絶賛ぶり。
ただし、前哨戦ではいつものPTA作品ほどの勢いは見られず、重要賞では軒並みノミネートを逃している。少なからずいるであろうPTAファンが熱烈な支持票を投じれば逆転の目がないではないが、冷静に見ればノミネートは厳しいか。
プラス要素/マイナス要素
+常連ポール・トーマス・アンダーソン監督作
+人気作家の原作を映画化
>-コメディー色の強さ
-PTA作品の中では目立たない評価
北米興収
$1,462,978
Metacriticスコア
81点(100点満点)
ロッテントマト
71%
前哨戦実績(◎受賞/○候補)
○ナショナル・ボード・オブ・レビュー
○オースティン映画批評家協会賞
○トロント映画批評家協会賞
○インディワイアー映画批評家協会賞
○ボストン・オンライン映画批評家協会賞
○ヒューストン映画批評家協会賞
○デンバー映画批評家協会賞
△ノミネート確率 : 25%
※データはすべて1/7現在の集計