例年、クオリティ高い良作を多数市場に送り出しているFOXサーチライトだが、今年はオスカー戦線で渋滞を引き起こしてしまうほど手駒が多い。「バードマン～」が先頭集団をひた走るかと思えば、「グランド・ブダペスト・ホテル」もすぐ後ろにピタリとつけている。おかげで「ダラス・バイヤーズクラブ」監督の新作として本来であれば注目度抜群の本作がかすんでしまうほどだ。

リース・ウィザースプーンが久々の快演を見せていると評判の本作は、昨年「ダラス～」で2人の男優にオスカー像をもたらしたカナダの才人ジャン＝マルク・ヴァレの新作で、脚本を「ハイ・フィデリティ」などの人気小説家にして映画「17歳の肖像」でアカデミー賞にもノミネートされたニック・ホーンビィが手がけるクオリティ保証付き作品。もちろん批評家の反応も上々で、前哨戦でもウィザースプーンの女優賞を中心に実績を残した。

作品賞部門でのノミネートはやや厳しい情勢と言わざるをえないが、昨年アカデミー会員にも人気の高かった「ダラス～」余波で票を集める可能性もあり、逆転は十分に可能と見る。