【第87回アカデミー賞予想 美術賞】「グランド・ブダペスト・ホテル」と「インターステラー」の一騎打ち
■美術賞ノミニーと過去のアカデミー賞実績
アダム・ストックハウゼン、アンナ・ピノック
(グランド・ブダペスト・ホテル)
⇒アカデミー賞実績
14年「それでも夜は明ける」
マリア・ジャーコヴィク、タチアナ・マクドナルド
(イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密)
⇒アカデミー賞実績
なし
ネイサン・クロウリー、ゲイリー・フェティス
(インターステラー)
⇒アカデミー賞実績
09年「ダークナイト」
07年「プレステージ」
デニス・ガスナー、アンナ・ピノック
(イントゥ・ザ・ウッズ)
⇒アカデミー賞実績
○08年「ライラの冒険 黄金の羅針盤」
○03年「ロード・トゥ・パーディション」
◎92年「バグジー」
○92年「バートン・フィンク」
スージー・デイヴィス、シャーロット・ワッツ
(ターナー、光に愛を求めて)
⇒アカデミー賞実績
なし
【解説】
特に歴史映画とファンタジー映画が強さを発揮する部門だが、今年はそのどちらにも属さない2本の映画が有力視されている。
本命視されるのは最多9部門ノミネートの看板を背負う「グランド・ブダペスト・ホテル」。美術こそが映画の醍醐味とでもいうかのようなウェス・アンダーソンの作風からすれば、その集大成となる本作でこの部門を逃すわけにもいくまい。プロダクションデザインを手がけたアダム・ストックハウゼンは前作「ムーンライズ・キングダム」からアンダーソンとコンビを組み、それを契機にアンダーソンは更なる様式美の探求へと踏み込んでいったように見える。意外やアンダーソン作品としてこの部門で初めてのノミネートとなるが、これまでの作品への評価も込みで多くの票を得ることだろう。
強敵は「インターステラー」。なるべくCGに頼らないクリストファー・ノーランの本物志向により、宇宙船やロボットなどが模型で再現されるなど、質感豊かな美術セットが作品のクオリティ向上に大いに貢献した。ファンタジーや時代モノが受賞しやすい傾向にある部門だが、機能にもこだわった本作の科学的なデザインは高く評価されるだろう。豊かな想像力と科学考証に裏打ちされた本物力が融合した本作はオスカー受賞にふさわしい。
【予想】
◎グランド・ブダペスト・ホテル
○インターステラー