【第87回アカデミー賞予想 外国語映画賞】 常連国ポーランドが本命視される「イーダ」で初受賞なるか
■外国語映画賞ノミネート作品
【解説】
今年のアカデミー賞はとにかくカンヌ国際映画祭との直結度が高いのが特徴だ。カンヌで監督賞を受賞した「フォックスキャッチャー」が5部門でノミネートされたほか、マイク・リー監督「ターナー、光に愛を求めて」も4部門でノミネートされている。そして外国語映画賞部門にノミネートされた5作品中、実に3作品がカンヌでパルムドールを競った作品たちだ。
アルゼンチンの「Wild Tales」、モーリタニアの「Timbuktu」、ロシアの「Leviathan」はそれぞれカンヌでコンペ部門に出品され、高い評価を獲得。「Leviathan」は脚本賞を受賞している。(ただし、カンヌで最高賞パルムドールを受賞したトルコの「Winter Sleep」はノミネートされなかった。)
アカデミー会員のカンヌ贔屓な傾向はここ数年のトレンドで、昨年の「グレート・ビューティー/追憶のローマ」も一昨年の「愛、アムール」もカンヌ出品組。前哨戦をリードしたのはポーランドのモノクロ映画「イーダ」だが、アカデミー会員たちの好みがカンヌに集中していることを考えると、前述の3作品が本命視される「イーダ」を逆転するシナリオも見えてくる。
逆転候補の1番手はロシアの「Leviathan」。アンドレイ・ズビャギンツェフ監督は長編デビュー作となる「父、帰る」でいきなりヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞、その後もクオリティの高い作品を次々発表し、長編4作目となる本作でアカデミー賞初ノミネートを果たした。国際映画祭での実績は他候補者たちを上回っており、監督の知名度が得票につながりやすい同部門では有利といえる。
本命視される「イーダ」は前哨戦実績で大きくリード。英国アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞、NY・LAの両海岸批評家賞を受賞するなど他4候補を圧倒している。前哨戦で受賞数を競った「ツーリスト」(スウェーデン)が落選したことで一強ムードすらただよっている。「イーダ」を出品するポーランドはこの部門の常連で、過去9回のノミネートを誇る(うち5回は巨匠アンジェイ・ワイダ作品)。ただし、まだ1度の受賞もなく、今回こそは順番だとみるのが妥当だ。
すでに日本での公開が決まっている「Wild Tales」にもチャンスあり。出品国アルゼンチンは過去6回ノミネートされ2度の受賞を誇る。3度目の受賞となれば、ドイツやオランダと並んで4位タイの記録となる。
【予想】
◎イーダ
○Leviathan
▲Wild Tales