【第87回アカデミー賞予想 編集賞】 作品賞との直結度高い重要部門を制するのは?
■ 編集賞ノミニーと過去のアカデミー賞実績
⇒アカデミー賞実績
なし
ウィリアム・ゴールデンバーグ
(イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密)
⇒アカデミー賞実績
◎13年「アルゴ」
○13年「ゼロ・ダーク・サーティ」
○04年「シービスケット」
⇒アカデミー賞実績
なし
ジョエル・コックス、ゲイリー・ローチ
(アメリカン・スナイパー)
⇒アカデミー賞実績
○05年「ミリオンダラー・ベイビー」
◎93年「許されざる者」
⇒アカデミー賞実績
なし
【解説】
作品賞を狙ううえで落としてはならない部門とも言われる編集賞だが、事実、過去のデータを見ても作品賞とのつながりは強い。過去10年、作品賞を受賞した作品が編集賞も同時に受賞したケースは半分の50%。ただし、作品賞を惜しくも逃したものの2番手評価されていた作品まで含めれば、その確率は80%にまで上がる。つまり、作品賞を狙える位置にいなければ、この部門では用なしということだ。
また一方で、カット割りの多い技術的に特化した作品が選ばれやすいという傾向もある。デヴィッド・フィンチャー監督の「ソーシャル・ネットワーク」「ドラゴン・タトゥーの女」が2年連続でこの部門を制しているのがわかりやすい例で、他にも「ボーン・アルティメイタム」や「スラムドッグ$ミリオネア」など絶妙な編集技術が作品の個性を決定付けているような場合は得票に結びつきやすいと言えそうだ。
というわけで、作品賞部門で受賞を狙える「6才のボクが、大人になるまで。」「グランド・ブダペスト・ホテル」「アメリカン・スナイパー」の優位がまずは浮かび上がるが、3作品とも2つ目の傾向には当てはまらず、決定打はない。強いて挙げるなら過去に「ハート・ロッカー」や「ブラックホーク・ダウン」が受賞している戦争映画の「アメリカン・スナイパー」が有利と言えそうだが、これもオーソドックスな編集スタイルのイーストウッド作品だけに強調はしづらい。
となれば、近年の傾向から逆行することにはなるが、12年間の撮影素材を見事につなぎ合わせて物語を紡ぐ原動力となった「6才のボク〜」のストーリーテリング編集に票が集まるのではないか。独特のリズムによる編集で映画の世界観を構築した「グランド・ブダペスト・ホテル」も差はない。
【予想】
◎6才のボクが、大人になるまで。
○グランド・ブダペスト・ホテル
▲アメリカン・スナイパー