【第87回アカデミー賞予想 撮影賞】 前代未聞の長回し撮影で度肝を抜いたエマニュエル・ルベツキが2年連続受賞の可能性大
■撮影賞ノミニーと過去のアカデミー賞実績
エマニュエル・ルベツキ
(バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡))
⇒アカデミー賞実績
◎14年「ゼロ・グラビティ」
○12年「ツリー・オブ・ライフ」
○07年「トゥモロー・ワールド」
○06年「ニュー・ワールド」
○00年「スリーピー・ホロウ」
○96年「リトル・プリンセス」
⇒アカデミー賞実績
なし
⇒アカデミー賞実績
07年「幻影師 アイゼンハイム」
⇒アカデミー賞実績
14年「プリズナーズ」
13年「007/スカイフォール」
11年「トゥルー・グリット」
09年「愛を読むひと」
08年「ノーカントリー」
08年「ジェシー・ジェームズの暗殺」
02年「バーバー」
01年「オー・ブラザー!」
98年「クンドゥン」
97年「ファーゴ」
95年「ショーシャンクの空に」
⇒アカデミー賞実績
なし
【解説】
まずはとにもかくにもロジャー・ディーキンス(Unbroken)だ。これまで実に11回ノミネートされながら、いまだ戴冠無しの巨匠が今年こそ受賞なるかが注目される。この5年間で4度目のノミネートになるが、今年の対象作はアンジェリーナ・ジョリー監督による戦争映画。日本軍の捕虜虐待を描く原作の映画化ということで物議を醸しているが、ディーキンスの撮影をはじめ技術部門では高い評価を獲得している。相変わらずの美しい撮影は今度こそを思わせるクオリティだが、インパクトという面では一昨年の「007/スカイフォール」4年前の「トゥルー・グリット」には及ばない印象。12度目の挑戦もやはり実らずか・・・というのが大方の見解だ。
前哨戦で圧倒的な強さを見せつけたのは、去年も「ゼロ・グラビティ」で受賞しているエマニュエル・ルベツキ。今年の対象作「バードマン」では、全編をあたかもワンカットの長回しで撮影しているように見せるという高等技術を披露した。この疑似ワンカットを実現させるため、ルベツキは撮影現場の隅から隅まで計算し尽くし、役者の動きや移動のタイミングなどを細かく設計したという。
近年、VFXとの共存をうまく果たした技術的な撮影がこの部門のトレンド。昨年の「ゼロ・グラビティ」しかり、「アバター」「ライフ・オブ・パイ」「ヒューゴの不思議な発明」など、VFXありきの撮影が高く評価されている。
今年の候補作にその傾向はなく、強いて挙げれば「グランド・ブダペスト・ホテル」がミニチュア撮影などで一部VFXとの融合があるくらいで、技術的にもっとも特化しているのはどれかと問われれば、間違いなく「バードマン」という回答が返ってくるだろう。昨年、6度目の正直でオスカー像を獲得したルベツキだが、2年連続の栄誉となる可能性は高そうだ。
【予想】
◎バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
○グランド・ブダペスト・ホテル
▲イーダ