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【第87回アカデミー賞予想 作品賞】史上まれに見る大混戦を制する作品は?4作品に受賞の可能性

アカデミー賞 記事:2015.02.22

■作品賞ノミネート作品

87th-Academy-Awards-Oscar-Awards-Nominations-for-Best-Movie

アメリカン・スナイパー
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
6才のボクが、大人になるまで。
グランド・ブダペスト・ホテル
イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密
Selma
博士と彼女のセオリー
セッション

【解説】
今年のアカデミー賞は例年になく流れが読みづらく、授賞式前夜の段階でもいくつものシナリオが頭に浮かぶ大混戦だ。例年なら少なくとも受賞作は2本にまでは絞り込めるものだが、今年は4本までしか絞り込めない。この4本すべてに受賞にふさわしいシナリオがあり、最後のアナウンスの瞬間まで気が抜けない。

下馬評では、前哨戦を圧倒的な強さでリードした「6才のボクが、大人になるまで。」が本命視されている。最重要前哨戦のうち2つゴールデン・グローブ賞とブロードキャスト映画批評家協会賞を制しており、実績は申し分ない。

ただ、現時点でもっとも勢いがあるのは、全米製作者組合賞を制した「バードマン」だろう。前哨戦全体では「6才のボク〜」に遅れをとったが、監督組合賞、俳優組合賞も制して業界内では人気ナンバーワンであることを証明した。組合賞はアカデミー会員と票田がかぶっているだけに、そのままアカデミー賞の結果に反映されることも多い。最多9部門にノミネートされていることも大きなプラス要因で、うまくはまれば多部門受賞もありうるだろう。

同じく最多9部門ノミネートで存在感を誇示しているのが「グランド・ブダペスト・ホテル」だ。ウェス・アンダーソン監督作品は基本的にはアカデミー賞には不向きな作風と思われてきた。事実、キャリア最高傑作との呼び声も高かった前作「ムーンライズ・キングダム」は戦前の予想とは裏腹に脚本賞しかノミネートされず、老会員たちが若いアンダーソンの感性についてこれないのではないかと思わせた。しかし今回、1960年代という時代設定とノスタルジーあふれる作風で老会員のハートも見事にキャッチした。主に美術や衣装などの技術賞部門で有力視されているが、その勢いを駆って主要部門での受賞もあるかもしれない。

勢いならボックスオフィスで圧倒的な強さを見せた「アメリカン・スナイパー」も負けてはいない。興収は現時点で3億1200万ドルを突破。実は作品賞受賞作はこの10年ほど、1億ドル突破の大ヒット作とそうでない作品が交互に受賞。昨年は2億5000万ドル超の大ヒット作「ゼロ・グラビティ」を破って興収5600万ドルの「それでも夜は明ける」が受賞しているので、今年は大ヒット映画が受賞する順番となる。今年、興収1億ドル以上を売り上げているヒット作は「アメリカン・スナイパー」のみということで、昨年の揺り戻しでヒット作に票が投じられる可能性は少なくない。

というわけで、4作品それぞれに強みをもち、どの作品が受賞してもおかしくない情勢だ。予想は本当に難しいが、やはりアカデミー賞は映画史を写す鏡であることを考えれば、もっとも画期的で記憶に残る映画だった「6才のボクが、大人になるまで。」がオスカー像にふさわしいのではないか。残り3作品が受賞しても不思議はないが、受賞すべきはこの作品だろう。

【予想】
◎6才のボクが、大人になるまで。
○バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
▲アメリカン・スナイパー
△グランド・ブダペスト・ホテル


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