第88回アカデミー賞は「レヴェナント:蘇えりし者」が最多12部門でノミネート!「マッドマックス/怒りのデス・ロード」が10部門で続く!
混戦模様と言われていた第88回アカデミー賞だが、ノミネート結果は予想を裏切り「レヴェナント:蘇えりし者」が一極集中で大量のノミネートを獲得し、押しも押されぬ大本命に躍り出た。蚊帳の外かと思われた美術、衣装、メイク、視覚効果賞部門でもノミネートを獲得しているあたりは、作品の総合的な評価がいかに高いかを証明している。ゴールデングローブ賞でも主要3部門を独占して強さを見せつけていたが、ノミネート段階でこれだけの差を見せつけたとあっては、授賞式までその勢力図は変わりそうもない。
ただ1点、「レヴェナント~」に死角があるとすれば、脚本賞部門でノミネートされていないことだ。どうやら映画はほぼ台詞が削ぎ落とされた野心的なつくりのようなので落選の原因ははっきりしているのだが、過去に脚本賞部門でノミネートされずに作品賞を受賞するケースは稀。実は2番目に多いノミネートを獲得した「マッドマックス/怒りのデス・ロード」も脚本賞部門にノミネートされておらず、対照的な台詞劇「スポットライト 世紀のスクープ」あたりにつけいる隙があるかもしれない。
最大のサプライズは監督賞部門で起きた。「オデッセイ」でノミネートを確実視されていたリドリー・スコットがまさかの落選。前哨戦でも存在感を発揮し、あわよくば初のオスカー像もと思われていただけに、名前が呼ばれなかったことには驚きだ。御年78歳のスコットは新作の企画が目白押しでまだまだ元気だが、それにしてもあまりにも冷たすぎやしないか。名誉賞でお茶を濁すようなことはご勘弁願いたい。
主演女優部門でもサプライズというか何というか。ジェニファー・ローレンス(Joy)がまたしてもノミネートを獲得。アカデミー会員はどれだけこの若いミューズが好きなんだと。それでも、シャーロット・ランプリング(さざなみ)のようなベテランにもちゃんと光を当てるあたりは拍手を送りたい。アメリカ俳優組合賞にノミネートされ、主演・助演のWノミネートも視野に入っていたヘレン・ミレン(黄金のアデーレ 名画の帰還)は両部門で涙を飲んだ。
助演男優賞のアナウンスでは冷や汗が出た。クリスチャン・ベール(マネー・ショート 華麗なる大逆転)の名前がコールされるまでは予想通りだったが、トム・ハーディ(レヴェナント:蘇えりし者)、マーク・ラファロ(スポットライト 世紀のスクープ)と想定外の名前が続く。マーク・ライランス(ブリッジ・オブ・スパイ)の名前が呼ばれた時点で残すはあと1人。おい、まさかスタローンの名前を呼ばない気じゃないだろうな!!と一瞬肝を冷やしたところへ、無事にシルベスター・スタローン(クリード チャンプを継ぐ男)の名前が読み上げられて心から安堵。重要3賞すべてにノミネートされていたマイケル・シャノン(ドリーム ホーム/99%を操る男たち)が落選の憂き目にあった。
助演女優賞は終わってみれば順当な結果に。アリシア・ヴィキャンデル(リリーのすべて)とルーニー・マーラ(キャロル)は主演・助演で票割れが起きる危険があったが、どちらも助演に票が集中したようだ。
撮影賞はなかなか興味深い受賞争いになる。なにしろ、3年連続での受賞を狙うエマニュエル・ルベツキ(レヴェナント:蘇えりし者)と、過去11回ノミネートで受賞ゼロのロジャー・ディーキンス(ボーダーライン)がそろってノミネートされたからだ。どちらが受賞しても話題性たっぷり。受賞スピーチが楽しみだ。