第88回アカデミー賞ノミネート、12のサプライズ
「キャロル」作品賞OUT!
トッド・ヘインズ監督作は2002年の「エデンより彼方に」も前哨戦で実績を残しながらアカデミーには無視された。ゲイを公言するヘインズ監督にとって女性同士の愛は普遍的なものであっても、年配者の多いアカデミーにとっては異質に見えるのかもしれない。
リドリー・スコット(オデッセイ)監督賞OUT!
今年のノミネート発表で最大の驚き。御年79歳。まだまだ元気いっぱいだが、映画界に対するこれまでの貢献を考えれば、ここで落選する理由がまったく思いつかない。近い将来、名誉賞でお茶を濁される前に、ぜひキャリア最高傑作をぶちかましてオスカー像を獲得してほしい。
「スティーブ・ジョブズ」脚色賞OUT!
ゴールデングローブ賞受賞の直後だけに落選ショックは大きい。「ソーシャル・ネットワーク」でオスカー受賞経験もあるアーロン・ソーキンの大胆な脚色は、アカデミー老会員の処理能力を超えていたのかもしれない。
“See You Again”(ワイルド・スピード SKY MISSION)主題歌賞OUT!
エンドクレジットでファンの涙を搾り取った名曲が落選。曲の認知度でいえば100を超えるエントリー曲の中でも群を抜いていたはずで、授賞式でのパフォーマンスは盛り上がること間違いなしだったのだが…。
「ヘイトフル・エイト」脚本賞OUT!
過去、2度の受賞経験があるタランティーノもアカデミーからの寵愛が厚いひとり。前評判は高かったものの、前作「ジャンゴ 繋がれざる者」と同じジャンルであることが嫌われたか。
マイケル・シャノン(ドリーム ホーム/99%を操る男たち)助演男優賞OUT!
重要前哨戦3賞すべてにノミネートされていたが、作品の知名度の低さが祟って落選。
レニー・エイブラハムソン(ルーム)監督賞IN!
トロント国際映画祭の相性のよさ、アカデミーの外国人監督好きを考えればそう意外でもないのだが、何しろ御大リドリー・スコットを差し置いてのノミネート。前作「FRANK -フランク-」も風変わりながら見ごたえある作品で、この先ハリウッドでの活躍が期待される。
ジェニファー・ローレンス(Joy)主演女優賞IN!
25歳にして4度目のノミネートは最年少記録。今回は相手関係にめぐまれた感も否めないが、それにしてもアカデミーの寵愛ぶりには驚きを隠せない。若くしてこれだけの実績を残してしまうと、逆にこの先が不安になってしまうのだが…。ぜひとも順調なキャリアを積んでいただきたい。
トム・ハーディ(レヴェナント:蘇えりし者)助演男優賞IN!
前哨戦では目立った実績を残せていなかったが、作品の強さに引っぱられるかたちでの逆転ノミネート。今年は「マッドマックス/怒りのデス・ロード」主演もあり、主演作「Legend」も好評。今もっともノッてる男が勢いでノミネートをかっさらった感。
「ストレイト・アウタ・コンプトン」脚本賞IN!
ノミネート発表時、タイトルがコールされると会場から歓声があがった。脚本賞ノミネートは快挙だが、逆にその他の部門で無視されたことを嘆く声も大きい。
「Ex Machina」脚本賞IN!
アメリカ製作者組合賞では作品賞候補に選出されるなど事前の評価も高かったが、小品ながら見事に脚本賞ノミネートを果たした。
「レヴェナント:蘇えりし者」視覚効果賞IN!
エントリー20作品中、おそらくもっとも視覚効果の出番が少なく、しかも目立たない作品であるはずの本作。メガヒット映画「ジュラシック・ワールド」や「アベンジャーズ」続編をさしおいてのノミネートは、総合的な作品評価と無関係ではなさそう。