第88回アカデミー賞ノミネーション主要部門予想

【作品賞】
本命いまだ不在の大混戦。批評家に愛される「キャロル」はノミネートされるのか?

作品賞 ノミネーション予想
 bigshort マネー・ショート 華麗なる大逆転(パラマウント)
 
– 4部門:作品・助演男優・脚色・編集
 bridgeofspy ブリッジ・オブ・スパイ(タッチストーン)
 
– 5部門:作品・助演男優・脚本・美術・録音
 brooklyn Brooklyn(FOXサーチライト)
 
– 3部門:作品・主演女優・衣装
 madmaxfuryroad マッドマックス 怒りのデス・ロード(ワーナー)
 
– 12部門:作品・監督・主演女優・撮影・編集・美術・衣装・作曲・メイク・録音・音響編集・視覚効果
 themartian オデッセイ(20世紀フォックス)
 
– 10部門:作品・監督・主演男優・脚色・撮影・編集・美術・録音・音響編集・視覚効果
 revenant レヴェナント:蘇えりし者(20世紀フォックス)
 
– 7部門:作品・監督・主演男優・撮影・編集・メイク・録音
 room ルーム(A24)
 
– 4部門:作品・主演女優・助演男優・脚色
 sicario ボーダーライン(ライオンズゲート)
 
– 5部門:作品・監督・脚本・撮影・音響編集
 spotlight スポットライト 世紀のスクープ(オープンロード)
 
– 5部門:作品・監督・助演女優・脚本・編集

 
【その他有力コンテンダー】
キャロル
ストレイト・アウタ・コンプトン
スター・ウォーズ/フォースの覚醒
スティーブ・ジョブズ
サウルの息子
クリード チャンプを継ぐ男
ヘイトフル・エイト
インサイド・ヘッド

今年の作品賞ノミネートは何作品になるのか?現行では、1位票を5%以上獲得した作品の中から上位5〜10本というルール。ここ3年は9本、9本、8本というノミネート数だが、混戦模様の今年は9〜10本が圏内に入っても不思議はない。

重要前哨戦3賞=アメリカ製作者組合賞(PGA)、ブロードキャスト映画批評家協会賞(BFCA)、ゴールデン・グローブ賞(GG賞)すべてにノミネートされている5作品はノミネート確率が高いが、中でも前哨戦をリードする「スポットライト 世紀のスクープ」「マッドマックス/怒りのデス・ロード」、ゴールデングローブ賞を制した「レヴェナント:蘇えりし者」「オデッセイ」の4作品はほぼ当確ランプが点灯。残る「マネー・ショート 華麗なる大逆転」もブラッド・ピットやクリスチャン・ベールなど業界内で人気の高い俳優たちが多く出演する強みを生かして候補入りする可能性が高い。

GG賞こそ候補から漏れたものの、「ブリッジ・オブ・スパイ」も有力。スピルバーグ監督作のベストという評価ではないものの、水準を大きく上回るクオリティで批評家たちも舌を巻いている。アメリカの良心を描く内容もウケがいいだろう。

取捨が難しいのがSAGで選から漏れた「キャロル」「ルーム」だ。前者はお堅い批評家たちには大人気だが、女性同士の愛憎物語という内容に老会員たちが眉をひそめそう。後者はアカデミー賞と相性のいいトロント国際映画祭観客賞を受賞するも、制作・配給を担当するA24は設立4年の若い会社でオスカーレースを戦い抜くノウハウに疑問が残る。

一方、FOXサーチライトはここ2年連続で作品賞受賞作(「それでも夜は明ける」「バードマン」)を輩出し、5年連続でノミネート作を送り込んでいるツワモノ。今年は「Brooklyn」1本にオスカーキャンペーンを集中させるとあって、確実に票を集めてくるだろう。

PGA、BFCAにノミネートされている「ボーダーライン」は、まさにボーダーライン上。前哨戦でもノミネート止まりで受賞はなく、5%以上の1位票獲得という条件はハードルが高いかもしれないが、メキシコの麻薬カルテル殲滅を目指す特殊部隊の活躍を描く内容はアカデミー会員たちのウケがよさそう。逆転でのノミネートはありそうだ。

その他、伏兵としてPGAにサプライズノミネートされた「ストレイト・アウタ・コンプトン」と、BFCAに追加ノミネートされた「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」をマークしておく必要あり。どちらも市場で大ヒット。熱狂的ファンをもつ作品だけに、1位票5%以上というノミネート条件をクリアしてくる可能性はある。

 

【監督賞】
映画界を支えてきた両巨匠がオスカー像に王手か?最後の椅子は外国人監督に勝機。

監督賞 ノミネーション予想
alejandro_revenant アレハンドロ・G・イニャリトゥ(レヴェナント:蘇えりし者)
tommccarthy_spotlight トーマス・マッカーシー(スポットライト 世紀のスクープ)
georgemiller_madmax ジョージ・ミラー(マッドマックス 怒りのデス・ロード)
ridleyscott_martian リドリー・スコット(オデッセイ)
denisvilleneuve_sicario ドゥニ・ヴィルヌーヴ(ボーダーライン)

 
【その他有力コンテンダー】
トッド・ヘインズ(キャロル)
アダム・マッケイ(マネー・ショート 華麗なる大逆転)
スティーヴン・スピルバーグ(ブリッジ・オブ・スパイ)
レニー・アブラハムソン(ルーム)
ラースロー・ネメス(サウルの息子)
ライアン・クーグラー(クリード チャンプを継ぐ男)
ダニー・ボイル(スティーブ・ジョブズ)
ジョン・クローリー(Brooklyn)
ピート・ドクター(インサイド・ヘッド)
クエンティン・タランティーノ(ヘイトフル・エイト)
キャリー・ジョージ・フクナガ(ビースト・オブ・ノー・ネーション)
F・ゲイリー・グレイ(ストレイト・アウタ・コンプトン)

前哨戦実績から上位4人まではほぼノミネート当確と見ていい。トーマス・マッカーシー(スポットライト 世紀のスクープ)ジョージ・ミラー(マッドマックス 怒りのデス・ロード)リドリー・スコット(オデッセイ)アレハンドロ・G・イニャリトゥ(レヴェナント:蘇えりし者)まではよほどのことがないかぎり落選することはないだろう。

問題は5つ目の席。ゴールデングローブ賞(GG賞)、ブロードキャスト批評家協会賞(BFCA)の2つでノミネートされ、批評家賞でも強さを見せていたトッド・ヘインズ(キャロル)が、最重要となるアメリカ監督組合賞(DGA)でまさかの落選。対象作「キャロル」はアメリカ製作者組合賞でもノミネートを逃しており、批評家に愛されているほどには同業者から支持を得られていない。ヘインズの過去作「エデンより彼方に」とそっくりな軌跡を描く、典型的なCritics Darling作品となってしまっている。

ヘインズを追い落としてDGAノミネートを勝ち取ったのは、これまでコメディー畑で活躍してきたアダム・マッケイ(マネー・ショート 華麗なる大逆転)。金融業界を舞台にした異ジャンルへの突然の転身のように見えるが、実は2010年の監督作「アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!」でも金融業界の闇をユーモアたっぷりに描いているように、実は得意とするジャンル。もともと演出力には定評があり、今回の高評価は意外でもなんでもない。ただし、頭の固い老会員の中には、彼のフィルモグラフィを軽視する向きがいることも想像にかたくなく、得票が伸びない可能性もある。

前哨戦実績上位のスティーヴン・スピルバーグ(ブリッジ・オブ・スパイ)だが、5枠目に滑り込むのは厳しいか。何しろ、今年はジョージ・ミラーにリドリー・スコットと、長きにわたってヒット作を量産してきた業界の至宝がすでに賞を競い合っている。そのうえ会員たちはスピルバーグにまで投票する気になれようか?

そこで浮上するのが外国人監督。ここ5年の監督賞受賞者はイギリス人、フランス人、台湾人、メキシコ人、メキシコ人ということで、アカデミー協会はやたらと海外の才能をありがたがる傾向にある。当確ランプの4人もトーマス・マッカーシー以外は外国人で、最後の椅子も外国人が奪い去ってもおかしくない。

その筆頭は、カナダ人監督のドゥニ・ヴィルヌーヴ(ボーダーライン)。アカデミー外国語映画賞にノミネートされた「灼熱の魂」で才能を見出され、その後はアメリカに渡って「プリズナーズ」「複製された男」と高評価を連発。渡米3作目の本作も高い評価を受けている。このあとは「ブレードランナー」続編のメガホンをとることも決まっており、期待値込みでの得票が期待できそうだ。

他、相性のいいトロント国際映画祭で実績を残したアイルランド人のレニー・アブラハムソン(ルーム)、外国語映画賞部門で大本命視されるハンガリー人のラースロー・ネメス(サウルの息子)あたりも逆転可能な位置にいる。

 

【主演男優賞】
ディカプリオの独走を止めるのは?最後の椅子をマット・デイモン&ジョニー・デップが争う

主演男優賞 ノミネーション予想
bryancranston_trumbo ブライアン・クランストン(Trumbo)
mattdamon_themartian マット・デイモン(オデッセイ)
leonardodicaprio_revenant レオナルド・ディカプリオ(レヴェナント:蘇えりし者)
michaelfassbender_stevejobs マイケル・ファスベンダー(スティーブ・ジョブズ)
eddieredmayne_thedanishgirl エディ・レッドメイン(リリーのすべて)

 
【その他有力コンテンダー】
ジョニー・デップ(ブラック・スキャンダル)
マイケル・B・ジョーダン(クリード チャンプを継ぐ男)
スティーヴ・カレル(マネー・ショート 華麗なる大逆転)
トム・ハンクス(ブリッジ・オブ・スパイ)
マイケル・ケイン(Youth)
ゲザ・レーリヒ(サウルの息子)
ウィル・スミス(Concussion)
アル・パチーノ(Dearダニー 君へのうた)
マーク・ラファロ(Infinitely Polar Bear)

主要部門の中で比較的予想しやすいのが主演男優賞部門。前哨戦実績は上位6人がその他を引き離しており、この中から5人の候補者が選ばれる可能性が高い。

中でも、重要3賞(SAG、BFCA、GG賞)すべてにノミネートされている4人、レオナルド・ディカプリオ(レヴェナント:蘇えりし者)マイケル・ファスベンダー(スティーブ・ジョブズ)エディ・レッドメイン(リリーのすべて)ブライアン・クランストン(Trumbo)はほぼ当確。残る1つの席をマット・デイモン(オデッセイ)ジョニー・デップ(ブラック・スキャンダル)が争う構図となる。

デップ、デイモンともに実績・人気は甲乙つけがたく、得票の分かれ目は作品人気と役柄のインパクト、役柄の好感度ということになりそう。作品人気ではデイモンが圧勝だが、役柄のインパクトではデップに軍配が上がる。というわけで、役柄の好感度で勝るデイモンが2対1で勝利すると予想する。

 

【主演女優賞】
カテゴリー間での票割れで番狂わせも。フュリオサのサプライズノミネートはあるか?

主演女優賞 ノミネーション予想
cateblanchett_carol ケイト・ブランシェット(キャロル)
brielarson_room ブリー・ラーソン(ルーム)
siorseronan_brooklyn シアーシャ・ローナン(Brooklyn)
charlizetheron_madmax シャーリーズ・セロン(マッドマックス 怒りのデス・ロード)
aliciavicander_thedanishgirl アリシア・ヴィキャンデル(リリーのすべて)

 
【その他有力コンテンダー】
シャーロット・ランプリング(さざなみ)
ルーニー・マーラ(キャロル)
ヘレン・ミレン(黄金のアデーレ 名画の帰還)
ジェニファー・ローレンス(Joy)
マギー・スミス(The Lady in the Van)
サラ・シルヴァーマン(I Smile Back)
エミリー・ブラント(ボーダーライン)
リリー・トムリン(愛しのグランマ)

今年は2人の若手女優が前哨戦を引っぱる異例の展開。一昨年の「ショート・ターム」で脚光を浴びた新星ブリー・ラーソン(ルーム)26歳と、「つぐない」でオスカー候補実績のあるシアーシャ・ローナン(Brooklyn)21歳がしのぎを削った。この若手2人は重要3賞にもすべてノミネートされており、オスカー候補はまず間違いない。また、同じく重要3賞をコンプリートしているケイト・ブランシェット(キャロル)も当確と見てよさそうだ。

残る2枠は予想が難しい。予想をややこしくしているのが、助演部門とのカテゴリー分けが判然としない2人の女優の存在だ。前出「キャロル」でケイト・ブランシェットとW主演の重責を全うしたルーニー・マーラと、今年大ブレイクを果たした新進女優アリシア・ヴィキャンデル(リリーのすべて)だ。どちらも前哨戦では主演・助演の双方で実績を残しており、アカデミー賞でもどちらのカテゴリーで票を集めるのか予想しにくい。まっぷたつに票割れして落選の憂き目にあう可能性も大いにあるから困ったものだ。

おそらく、ルーニー・マーラのほうは受賞の可能性が高い助演部門でプッシュされるであろうこと、アリシア・ヴィキャンデルはもう1本の出演作「Ex Machina」でも助演部門で有力視されていることを考えると、前者は助演、後者は主演での得票に傾くのではないか。というわけで、助演部門もふくめれば重要3賞すべてにノミネートされているアリシア・ヴィキャンデルがこちらの部門でノミネートされるのではないかと予想する。

残る1人は前哨戦実績からすればシャーロット・ランプリング(さざなみ)の出番だが、同じ大ベテランならSAGでサプライズノミネートされたヘレン・ミレン(黄金のアデーレ 名画の帰還)にもチャンスがある。

また、アカデミー会員からの人気も絶大のジェニファー・ローレンス(Joy)が通算4度目のノミネートを獲得する可能性もある。あるいは、熱狂的ファンの多い「マッドマックス 怒りのデス・ロード」から作品の魂とも言えるシャーリーズ・セロンが台頭するシナリオも捨てきれない。

難しい選択だが、ここは作品人気を重視してシャーリーズ・セロン(マッドマックス/怒りのデス・ロード)を推す。

 

【助演男優賞】
スタローンのノミネートに一抹の不安。16年ぶりの子役ノミネートも

助演男優賞 ノミネーション予想
christianbale_thebigshort クリスチャン・ベール(マネー・ショート 華麗なる大逆転)
markrylance_bridgeofspies マーク・ライランス(ブリッジ・オブ・スパイ)
michaelshannon_99homes マイケル・シャノン(ドリーム ホーム/99%を操る男たち)
sylvesterstallone_creed シルベスター・スタローン(クリード チャンプを継ぐ男)
jacobtrainbrei_room ジェイコブ・トレンブレイ(ルーム)

 
【その他有力コンテンダー】
マーク・ラファロ(スポットライト 世紀のスクープ)
イドリス・エルバ(ビースト・オブ・ノー・ネーション)
ポール・ダノ(ラブ&マーシー 終わらないメロディー)
トム・ハーディ(レヴェナント:蘇えりし者)
ベニチオ・デル・トロ(ボーダーライン)
マイケル・キートン(スポットライト 世紀のスクープ)

前哨戦はなかなかの混戦模様で、重要3賞すべてにノミネートされたのはマーク・ライランス(ブリッジ・オブ・スパイ)マイケル・シャノン(ドリーム ホーム/99%を操る男たち)のみ。後者は作品認知も低く磐石とは言い切れないが、この混戦のなかでの重要3賞コンプリートは信頼性の高いデータとみていいはずで、ノミネートを逃すことはないだろう。

知名度と話題性で勝るシルベスター・スタローン(クリード チャンプを継ぐ男)だが、アメリカ俳優組合賞(SAG)を逃したのは気になるところ。アカデミー賞の投票母体は俳優組合賞と少なからず被っているだけに、同業者からの支持が得られなかったのは痛い。ともあれ、76年の「ロッキー」から長きに渡って映画人気を支えてきた立役者に対するリスペクトが得票につながらないわけはなく、問題なくノミネートされると信じたい。もしノミネートされるなら、オスカー像まで一直線だろう。

前哨戦実績からすれば、4番手につけるのはポール・ダノ(ラブ&マーシー 終わらないメロディー)だ。GG賞とBFCAでのノミネートに加え、批評家賞でも多くの実績を残した。SAGでの落選は作品の低認知が原因と思われ、その不利を覆せるかどうかがポイントとなる。

イドリス・エルバ(ビースト・オブ・ノー・ネーション)はSAG、GG賞でノミネートされるも、BFCAで落選。まさにビーストを演じた役柄のインパクトは強く、過去にでアミン大統領を演じてオスカー受賞を果たしたフォレスト・ウィテカー(ラストキング・オブ・スコットランド)の姿がだぶる。劇場公開と同時にネット配信するネットフリックスのビジネス形態がアカデミー老会員たちの不興を買う可能性はあるが、有力候補の一角なのは間違いない。

作品力の強い「スポットライト 世紀のスクープ」組だが、前哨戦ではマイケル・キートンマーク・ラファロリーヴ・シュライバーの3人がいくつかの賞で実績を残した。3人の中ではBFCAにノミネートされたラファロが上位だが、昨年「バードマン」で受賞を逃したマイケル・キートンに同情票が集まる可能性もある。ともあれ、3人のあいだで票割れが起こるのは避けられず、割り引いて考える必要がある。

同じく票割れの危険がある「マネー・ショート 華麗なる大逆転」組だが、ここはクリスチャン・ベールに票が集まりそうだ。SAGで「マネー・ショート~」組からただひとりだけノミネートされたのは偶然ではなく、現在の充実ぶりと同業者からの支持が反映されてのものであることは明らか。「アメリカン・ハッスル」の時も前哨戦実績はそこそこに逆転でオスカー候補を勝ち取ったように、今回も最終5人に名を連ねる可能性は高い。

最大の惑星は子役のジェイコブ・トレインブレイ(ルーム)。助演男優部門での子役ノミネートは99年のハーレイ・ジョエル・オスメント(シックス・センス)まで遡る必要があるが、久々の快挙があってもおかしくない頃。母親役を演じたブリー・ラーソンも主演女優部門で本命視されており、セットでの得票も見込めそうだ。

 

【助演女優賞】
大ブレイクの新生アリシア・ヴィキャンデルが鍵。2作品でのノミネートも?

助演女優賞 ノミネーション予想
rooneymala_carol ルーニー・マーラ(キャロル)
rachelmcadams_spotlight レイチェル・マクアダムス(スポットライト 世紀のスクープ)
helenmirren_trumbo ヘレン・ミレン(Trumbo)
aliciavicander_exmachina アリシア・ヴィキャンデル(Ex Machina)
katewinslet_stevejobs ケイト・ウィンスレット(スティーブ・ジョブズ)

 
【その他有力コンテンダー】
アリシア・ヴィキャンデル(リリーのすべて)
ジェニファー・ジェイソン・リー(ヘイトフル・エイト)
エリザベス・バンクス(ラブ&マーシー 終わらないメロディー)
ジョアン・アレン(ルーム)
ジェーン・フォンダ(Youth)
クリステン・スチュワート(アクトレス 女たちの舞台)

重要前哨戦3賞=アメリカ製作者組合賞(PGA)、ブロードキャスト映画批評家協会賞(BFCA)、ゴールデン・グローブ賞(GG賞)すべてにノミネートされているのはわずかに2人。オスカー受賞経験のあるケイト・ウィンスレット(スティーブ・ジョブズ)ヘレン・ミレン(Trumbo)がともに2度目のオスカーに王手をかける可能性は高そうだ。

また、主演賞とのカテゴリ割れはありつつも、重要3賞をコンプリートしたルーニー・マーラ(キャロル)もこちらの部門でノミネートされる公算が大。主演賞との票割れなく無事にノミネートされれば、受賞の最右翼となるだろう。

同じく主演賞との票割れが懸念されるアリシア・ヴィキャンデルだが、彼女には対象作品での票割れもありうる。今年大ブレイクしたこの新進女優は、才能を見いだされるきっかけとなった「Ex Machina」「リリーのすべて」の双方で多くの得票が見込める。うち、「リリーのすべて」はSAGとBFCAで助演部門、GG賞では主演部門にノミネートされた。アカデミー賞でもカテゴリーでの票割れは避けられないが、ここは主演・助演のWノミネートを期待して「Ex Machina」での助演賞候補を予想する。

GG賞ノミネートこそ逃したが、レイチェル・マクアダムス(スポットライト 世紀のスクープ)も強力なコンテンダーだ。対象作は男優陣がこぞって助演男優部門の有力候補として名を連ねているが、幸いなことに女優部門ではマクアダムスのみが存在感を放っている。票割れの心配がないとなれば、作品力も手伝ってノミネートを勝ちとる可能性は高い。

他、タランティーノ新作で重要な役どころを演じるジェニファー・ジェイソン・リー(ヘイトフル・エイト)も、GG賞とBFCAにノミネートされるなど実績上位。SAGでの落選は気になるところだが、過去にも数多くの演技賞ノミネートを輩出しているタランティーノ作品だけに、逆転の選出があっておかしくない。
 
 

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その他部門ノミネート予想

【脚本賞】
ブリッジ・オブ・スパイ
ボーダーライン
スポットライト 世紀のスクープ
ヘイトフル・エイト
インサイド・ヘッド
 
【脚色賞】
マネー・ショート 華麗なる大逆転
キャロル
オデッセイ
スティーブ・ジョブズ
ルーム
 
【撮影賞】
キャロル
マッドマックス 怒りのデス・ロード
レヴェナント:蘇えりし者
ボーダーライン
オデッセイ
 
【編集賞】
マッドマックス 怒りのデス・ロード
オデッセイ
レヴェナント:蘇えりし者
マネー・ショート 華麗なる大逆転
スポットライト 世紀のスクープ
 
【美術賞】
マッドマックス 怒りのデス・ロード
オデッセイ
スター・ウォーズ/フォースの覚醒
ブリッジ・オブ・スパイ
クリムゾン・ピーク
 
【衣装デザイン賞】
マッドマックス 怒りのデス・ロード
Brooklyn
キャロル
リリーのすべて
シンデレラ
 
【作曲賞】
キャロル
リリーのすべて
ヘイトフル・エイト
マッドマックス 怒りのデス・ロード
スター・ウォーズ/フォースの覚醒
 
【主題歌賞】
“Love Me Like You Do”(フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ)
“See You Again”(ワイルド・スピード SKY MISSION)
“Simple Song #3″(Youth)
“Strong”(シンデレラ)
“Writing’s on the Wall”(007/スペクター)
 
【メーキャップ&ヘアスタイリング賞】
マッドマックス 怒りのデス・ロード
ブラック・スキャンダル
レヴェナント:蘇えりし者
 
【録音賞】
ブリッジ・オブ・スパイ
マッドマックス 怒りのデス・ロード
レヴェナント:蘇えりし者
オデッセイ
ジュラシック・ワールド
 
【音響編集賞】
マッドマックス 怒りのデス・ロード
オデッセイ
ジュラシック・ワールド
スター・ウォーズ/フォースの覚醒
ボーダーライン
 
【視覚効果賞】
ジュラシック・ワールド
マッドマックス 怒りのデス・ロード
オデッセイ
スター・ウォーズ/フォースの覚醒
ザ・ウォーク

【外国語映画賞】
The Brand New Testament(ベルギー)
顔のないヒトラーたち(ドイツ)
Mustang(フランス)
サウルの息子(ハンガリー)
A War(デンマーク)

【長編アニメーション映画賞】
Anomalisa
アーロと少年
インサイド・ヘッド
I LOVE スヌーピー/THE PEANUTS MOVIE
ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム

【長編ドキュメンタリー映画賞】
Amy
Going Clear: Scientology and the Prison of Belief
わたしはマララ
ルック・オブ・サイレンス
Where to Invade Next

【短編実写映画賞】
Bad Hunter
Day One
Everything Will Be Okay (Alles Wird Gut)
自由人
Winter Light

【短編アニメーション映画賞】
Carface (Autos Portraits)
If I Was God…
My Home
Prologue
World of Tomorrow

【短編ドキュメンタリー映画賞】
50 Feet from Syria
A Girl in the River: The Price of Forgiveness
Last Day of Freedom
Minerita
Starting Point


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