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「ボヘミアン・ラプソディ」が10倍楽しくなる(?)トリビア集

column 記事:2019.01.09

2010年頃に映画化の第一報が報じられて以来、映画の完成まで多くの紆余曲折を経てきた映画「ボヘミアン・ラプソディ」。その過程を知ると、映画の大成功がおよそ奇跡のよう。映画化までの厳しい道程や出演者たちの苦労、その裏側に隠された演出意図など、映画にまつわるトリビアを知ると、新たな魅力を発見していっそう作品が好きになるはず?

▼フレディは映画のヒットを予言していた!?
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●フレディ・マーキュリーは生前、自身の伝記映画が作られることを予言していた。“自分の人生を描く映画が作られるんじゃないかと思うよ。…自分がしてきたことを描くわけだけど、きっとレイティングはトリプルエックス(XXX)になるだろうね!”。

▼フレディ役の変遷
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●一番最初にフレディ役をオファーされたのは、「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」で大ヒットを飛ばして時の人となっていた英国人俳優サシャ・バロン・コーエン。その後、「007」シリーズのQ役や「パディントン」の声でも知られる英国人俳優ベン・ウィショーが検討されるも、最終的にエジプト人の血を引く米国人俳優ラミ・マレックが抜擢された。

●サシャ・バロン・コーエンはフレディ役を降板した理由をこう語る。
“ブライアン・メイとロジャー・テイラーの2人は、フレディの死後、残されたメンバーがその悲劇をどう乗り越えたかを描きたがっていたんだ。そんな映画、誰も見たくないから”。

●しかし、これにブライアン・メイが反論。
“脚本の初期段階では、常にライブ・エイドのシーンを結末にしようと話していた。何も知らない誰かがメディアにいろいろ言っているようだけど、ライブ・エイドのシーンが頂点だと皆感じていたよ”。

●ラミ・マレックがフレディ役に抜擢された理由は、プロデューサーが「MR. ROBOT/ミスター・ロボット」での彼の演技を気に入っていたことと、彼のアゴのラインがフレディに似ていたから。サシャ・バロン・コーエンに比べると外見はフレディに似ても似つかないことから、当初は不安視する声も上がったが、蓋を開けてみれば大正解の結果に。
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▼一流監督たちが候補に浮上
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●最初に監督候補として名前が挙がったのは、英国人監督スティーヴン・フリアーズ。「グリフターズ 詐欺師たち」「ハイ・フィデリティ」などで知られるフリアーズは、06年にダイアナ元皇太子妃の事故死に揺れる英国女王の姿を描いた映画「クィーン」を監督している。

●続いて監督候補として浮上したのは、「英国王のスピーチ」でオスカー受賞の英国人監督トム・フーパー。候補として浮上する前年にミュージカル映画「レ・ミゼラブル」を大成功に導いたばかりで適役かと思われたが、スケジュールの都合もあり実現に至らなかった。

●ちなみに「セブン」「ファイトクラブ」のデヴィッド・フィンチャー監督も候補に挙がっていたが、ブライアン・メイ&ロジャー・テイラーの意向によりオファーは見送られた。

 ▼主演俳優ラミ・マレックの苦労
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●フレディ役の話がきたとき、ラミ・マレックはクイーンについてあまり知らなかった。その後、フレディになりきるため、マレックは英国人振付師ポリー・ベネットからつきっきりの厳しいレッスンを受けることになる。視線の投げ方から気取った歩き方、マイク使いの所作まで、フレディの一挙手一投足を細かく仕込まれた。

●また、マレックは「キャバレー」でのライザ・ミネリの所作や、ジミ・ヘンドリックス、デヴィッド・ボウイ、アレサ・フランクリンなど、フレディに影響を与えた人物たちのパフォーマンスも猛勉強した。

●ラミ・マレックは自身がクイーンの楽曲を熱唱する動画をブライアン・メイとロジャー・テイラーに送ったが、初めて面会するまで2人はその動画を見ていなかった。おかげで2人の面前でその動画を一緒に見る羽目になったという。フレディを間近で見てきた伝説のメンバー2人に目の前でパフォーマンスを評価されるというハードなシチュエーションは、想像するだけで背筋がひやり。

●ラミ・マレックは撮影前にもとんだ苦労を強いられた。フレディが好んだ極小サイズの靴から数えきれないぴっちぴちのパンツまで、衣装合わせは50時間にも及んだそう。

●マレックがお気に入りのクイーン楽曲は、♪谷間のゆり(Lily of the Valley)と♪愛にすべてを(Somebody to Love)。

●ラミ・マレックはフレディを演じるにあたり、特別仕様の義歯を装着した。撮影後、マレックはその義歯を黄金に着色して記念品として保管しており、先日のゴールデン・グローブ賞授賞式にも持参したという。受賞をもたらしたその義歯は最強のラッキーアイテム?

▼マイク・マイヤーズのセルフパロディ
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●“♪ボヘミアン・ラプソディは若者が頭を揺らすようなノリの音楽じゃない”と難癖をつける憎たらしいレコード会社の社長レイ・フォスターを演じたのは、「オースティン・パワーズ」など多くのヒット作に主演したマイク・マイヤーズ。そのマイヤーズといえば、出世作となった映画「ウェインズ・ワールド」で仲間たちと一緒に♪ボヘミアン・ラプソディを歌いながらノリノリで頭を揺らすシーンが有名。つまりこれはセルフパロディとも言えるキャスティング。

●実はその「ウェインズ・ワールド」撮影時、♪ボヘミアン・ラプソディの選曲は間違いだとお偉方に反対されていたという。しかしマイヤーズはこれに猛反発し、自身の直感を信じて曲を採用させた。結果、このシーンは様々な場面で引用されてマイヤーズの代名詞となり、♪ボヘミアン・ラプソディもこの映画の影響で再びヒットチャートを賑わせることとなった。

▼撮影現場は大混乱
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●大ヒット映画の撮影現場は実はカオス状態だった。ブライアン・シンガー監督が突如現場を放棄。病気の母親を看病するためだったという訴えは聞き入れられず、監督を解雇されてしまった。その後、代役を立てて撮影はなんとか完了。混乱を乗り越えての大成功はまさに奇跡。

●解雇されたブライアン・シンガー監督に代わって現場の指揮を採ったのは、俳優としても有名なデクスター・フレッチャー。フレッチャーはその後、フレディ・マーキュリーの親友であるエルトン・ジョンの伝記映画「Rocketman」を監督している。

▼伝説のライブ・エイドはこうして再現された
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●映画では、実際にクイーンがライブ・エイドで演奏した曲目から♪愛という名の欲望(Crazy Little Thing Called Love)と♪ウィ・ウィル・ロック・ユー(We Will Rock You)がカットされている。近日発売されるブルーレイ/DVDにはライブ・エイド完全版が収録される模様。

●ライブ・エイドのステージは、フレディが演奏するピアノの上に置かれたペプシのプラスチックグラスに至るまで隅々まで完璧に再現されている。これは「X-MEN」など大作を手がけてきたブライアン・シンガー監督にとっても、過去に経験のない最大規模のセットとなった。

●ライブ・エイドでの“ボヘミアン・ラプソディ”歌唱パフォーマンスは撮影第1日目に行われた。理由は天気で、撮影が10月末から開始されたため、寒くなりすぎないうちに屋外での撮影を済ませる必要があった模様。

●ライブ・エイドのパフォーマンス撮影は、曲ごとに複数回のテイクが重ねられたが、ラミ・マレックは実際のクイーンがステージ上で体験した魔法を再現させるために、最初から最後までカメラを止めずに撮影することが必要だと力説。結果、全曲をノンストップで披露するバージョンの撮影も敢行された。マレックによれば、“最高のテイクだった。アドレナリンが全身を駆け巡ったよ”。

▼ディーコン役はジョゼフ・マゼロしかありえなかった?
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●ジョン・ディーコン役を演じたジョゼフ・マゼロは、映画史を変えたあの大ヒット作「ジュラシック・パーク」に子役として出演。「マイ・フレンド・フォーエバー」「サイモン・バーチ」などで引き続き売れっ子子役として活躍した後、しばしの休息期間を経て復活。「ソーシャル・ネットワーク」に出演するなど子役からの脱却に成功している。

●フレディ役のラミ・マレックとジョン・ディーコン役のジョセフ・マゼロは10年来の友人。ともに第二次世界大戦を描くドラマ「ザ・パシフィック」に出演している。ちなみにそのドラマでマゼロが演じたキャラクターは、“ディーコン”という名の犬を飼っている。

●そんなマゼロだが、インタビューでクイーン楽曲の思い出を問われると、“(音楽共有サービス)Napsterで初めてダウンロードしたのが♪ボヘミアン・ラプソディだった”とユーモアたっぷりに回答している。

▼その他いろいろ
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●アメリカツアーに出たフレディが故郷のメアリーに電話をかけているシーンで、フレディに意味深な視線を投げながらトイレに消えていくトラック運転手を演じたのは、フレディ亡き後のクイーンでボーカルを務めるアダム・ランバート。

●劇中の歌唱パフォーマンスは、フレディ本人、主演のラミ・マレック、そしてカナダ人歌手マーク・マーテルの歌声がミックスされている。マーク・マーテルが歌う♪ボヘミアン・ラプソディはこちら。

●フレディが主催するパーティーに、自転車に乗った女性とホットパンツをはいた女性が登場するが、これはクイーンのヒット曲“バイシクル・レース”と“ファット・ボトムド・ガールズ”の引用。

●ジョン・リードがクイーンのマネージャーに就任したのは弱冠26歳のときだったが、映画でリードを演じるエイダン・ギレン(ゲーム・オブ・スローンズ)は撮影当時すでに49歳だった。
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●「アリー/スター誕生」で類まれな演技力を見せつけたレディ・ガガの芸名は、ライブ・エイドのステージでもクイーンが披露したヒット曲“Radio Ga Ga”に由来する。

●シルベスター・スタローンは当初、映画「ロッキー3」の主題歌としてジョン・ディーコン作曲の♪地獄へ道づれ(Another One Bites the Dust)を熱望。だがクイーンの許可が下りなかったため、代わりにサバイバーが歌う♪アイ・オブ・ザ・タイガーが採用された。

●劇中にも多数の猫が登場してフレディの猫好きが示唆されているが、現実の偏愛ぶりを示すエピソードがすごい。フレディはツアー先から猫たちと話すためにしょっちゅう電話をよこし、猫たちがライブ中の自分の姿を見られるようTVをつけさせていたという。
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