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第93回アカデミー賞サプライズ落選(解説)

アカデミー賞 記事:2021.03.16

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第93回アカデミー賞ノミネーション サプライズ(残念)落選

監督賞:レジーナ・キング(あの夜、マイアミで)

助演男優賞:ビル・マーレイ(オン・ザ・ロック)

脚本賞:Mank マンク

作曲&主題歌賞:TENET テネット

アカデミー賞史上はじめて監督賞部門で複数の女性監督がノミネートされる快挙(「ノマドランド」のクロエ・ジャオと「プロミシング・ヤング・ウーマン」のエメラルド・フェネル)が達成されましたが、実は事前の下馬評では3人目もいけるのでは?と囁かれていました。

その3人目が「あの夜、マイアミで」のレジーナ・キング。一昨年、「ビール・ストリートの恋人たち」で助演女優賞を受賞すると、人気ドラマシリーズ「ウォッチメン」に主演するだけでなく、長編映画の監督デビューまで果たしているのですから、その活躍ぶりは目をみはるものがありました。業界内の支持も厚いに違いない彼女ですから、監督賞ノミネートがあってもおかしくないと思っていたのですが、予想以上に壁は厚かったようです。

助演男優賞部門でビル・マーレイ(オン・ザ・ロック)が落選したのはとても残念です。前哨戦では常に上位につけていたのですが、終盤の最重要前哨戦、アメリカ俳優組合賞でノミネートされなかったことで、本番での候補入りを不安視する声は出ていました。オスカー受賞にあと一歩のところまで迫った「ロスト・イン・トランスレーション」で組んだソフィア・コッポラ監督との再タッグであり、実質主演と言ってもいい役柄でしたから、ぜひ2度目のノミネートを見たかったというのが本音です。

脚本賞を受賞した名作「市民ケーン」の脚本執筆秘話を描いた「Mank マンク」の脚本がまさかの落選。デヴィッド・フィンチャー監督の亡き父ジャック・フィンチャーが遺した形見のような脚本を息子が映像化するというドラマ性も相まって、受賞まであると予想していたので、この落選には驚きました。時制を組み替えた複雑な構成や強い政治的メッセージなど、観るものを選ぶシナリオだったことが、得票を妨げたのかもしれません。題材となった「市民ケーン」は映画史に残る傑作と評されながら、アカデミー賞では脚本賞のみの受賞に終わりましたが、逆に「Mank マンク」は計10部門の大量ノミネートを受けながら、脚本賞だけ落選するという皮肉な結果となってしまいました。

映画ファンの期待を一身に背負った「TENET テネット」でしたが、結果、ノミネートされのは美術賞と視覚効果賞のみ。主要部門はともかく、技術賞部門では無双してもおかしくなかっただけに、この低評価は意外でした。特に、「ブラックパンサー」でオスカー受賞の新星ルドウィグ・ゴランソンが手がけたスコアと主題歌がともに候補落ちしたことは、アカデミー会員のこの作品への評価を物語っているのかもしれません。また、推測するに、ワーナーによる劇場&配信同時リリースの決定が巻き起こした一連の騒動が関係しているのではないかとも思います。これまで蜜月の関係だったクリストファー・ノーラン監督が決別宣言を発するなど、業界内での同社批判はヒートアップしています。同業者からの投票で決定するアカデミー賞で、その影響は決して小さくなかったのではないでしょうか。


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