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第94回アカデミー賞ノミネーション サプライズ落選/候補

アカデミー賞 記事:2022.02.09

日本映画「ドライブ・マイ・カー」が作品賞ほか4部門にノミネートされるという歴史的快挙に沸いた第94回アカデミー賞ノミネート発表。時間にして30分にも満たない短尺でアナウンスされた計23部門のノミネート結果の中には、いろいろな驚きがありました。一夜明けて興奮も落ち着いてきたいま、冷静にその結果を振り返ってみようと思います。

今年は主演男優賞以外の演技賞部門で驚きのノミネートが続出しました。

【主演女優賞】
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前哨戦でも序盤から着実に実績を積み重ね、ノミネートはほぼ当確かと思われていたレディー・ガガ(ハウス・オブ・グッチ)がまさかの落選。また、ポール・トーマス・アンダーソン監督に見出されて映画主演デビューした新生アラナ・ハイム(リコリス・ピザ)も落選しました。代わりにノミネートされたのが、ペドロ・アルモドバル監督のスペイン映画「Parallel Mothers」のペネロペ・クルス。非英語演技での候補入りはハードルが高いのですが、すでにオスカー受賞の実績を誇る世界的女優には小さなハンデだったようです。ちなみにペネロペ・クルスの夫ハヴィエル・バルデムも主演男優賞にノミネートされ、夫婦そろっての当選となりました。
そして、最重要賞アメリカ俳優組合賞の候補から漏れるという異常事態に見舞われていたクリステン・スチュワート(スペンサー ダイアナの決意)がノミネートを果たしました。それまでの前哨戦ではぶっちぎりの独走だったわけですから、本来であれば大本命だった存在です。無事ノミネートされたことで、受賞争いでは再び本命となるのか、それとも…?

レディー・ガガ(ハウス・オブ・グッチ)OUT
アラナ・ハイム(リコリス・ピザ)OUT
ペネロペ・クルス(Parallel Mothers)IN
クリステン・スチュワート(スペンサー ダイアナの決意)IN

【助演男優賞】
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この部門でも大きな波乱がありました。もともと前哨戦での結果も割れ気味で予想の難しい部門ではあったのですが、ノミネートはほぼ間違いないと思われていたブラッドリー・クーパー(リコリス・ピザ)の落選には驚きました。また、俳優仲間からの同情票(?)が見込まれていたベン・アフレック(僕を育ててくれたテンダー・バー)、ラジー賞とのダブルノミネートを期待されたジャレッド・レト(ハウス・オブ・グッチ)も選から漏れ、マーベルやDC映画に出演する人気者たちが軒並み敬遠される結果となりました。
とはいえ、逆転ノミネートを果たしたJ・K・シモンズ(愛すべき夫妻の秘密)もまたマーベル&DC双方の映画に出演する俳優なわけですが、彼については新作「ゴーストバスターズ:アフターライフ」の驚きのカメオ出演がもしかしたら得票に結びついているのかも…。
また、前哨戦実績では劣るジェシー・プレモンス(パワー・オブ・ザ・ドッグ)のノミネートもサプライズでした。対象作への評価が追い風になったのは間違いないですが、これで妻キルスティン・ダンストと夫婦そろっての嬉しいノミネートとなりました。

ブラッドリー・クーパー(リコリス・ピザ)OUT
ベン・アフレック(僕を育ててくれたテンダー・バー)OUT
ジャレッド・レト(ハウス・オブ・グッチ)OUT
J・K・シモンズ(愛すべき夫妻の秘密)IN
ジェシー・プレモンス(パワー・オブ・ザ・ドッグ)IN

【助演女優賞】
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「ベルファスト」から有力視されていたのはカトリーナ・バルフでしたが、オスカー候補として選ばれたのはデイム・ジュディ・デンチの方でした。これはまさに知名度とキャリア実績のなせる技…ということで、カトリーナ・バルフには少し気の毒な結果となってしまいました。
前哨戦実績ではTOP3に入っていたルース・ネッガ(PASSING 白い黒人)の落選にも驚きました。「ラビング 愛という名前のふたり」で主演女優賞ノミネートの実績もあり、資格は十分かと思いましたが…。今回、対象作「PASSING 白い黒人」は有力視されていた他の部門でも残念ながら落選しており、作品自体の知名度に足を引っ張られたのかもしれません。
逆に嬉しい驚きは個人的に推していたジェシー・バックリー(ロスト・ドーター)。もちろん受賞にも値する名演技ですが、前哨戦実績では逆転にはやや厳しい位置にいたというのが事実です。前年の「もう終わりにしよう。」でも主演女優賞ノミネートを期待されており、今後演技賞の常連となる可能性があります。

カトリーナ・バルフ(ベルファスト)OUT
ルース・ネッガ(PASSING 白い黒人)OUT
ジュディ・デンチ(ベルファスト)IN
ジェシー・バックリー(ロスト・ドーター)IN

【脚本賞】
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「ソーシャル・ネットワーク」や昨年の「シカゴ7裁判」などの売れっ子脚本家アーロン・ソーキンが手がけた「愛すべき夫妻の秘密」が落選したのは大きなサプライズでした。そして、逆転ノミネートを果たしたのがノルウェー映画「The Worst Person in the World」というのも二重の驚きです。今年は脚色賞ノミネートを果たした「ドライブ・マイ・カー」と合わせ、非英語による脚本が2本も評価されたことになります。

アーロン・ソーキン(愛すべき夫妻の秘密)OUT
ヨアキム・トリアー(The Worst Person in the World)IN

【国際長編映画賞】
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「別離」「セールスマン」で2度この部門を制しているイランの巨匠アスガー・ファルハディ監督の新作「英雄の証明」がまさかの落選。本作も例にもれずカンヌ国際映画祭で高く評価され、米国内の映画賞でも多くの実績を残していました。おそらく、ファルハディ監督の豊富すぎる実績が逆に敬遠された結果でしょうが、ノミネートに値する傑作だけに残念な結果です。
その国際的巨匠の作品を押しのけて逆転ノミネートを果たしたのが、「ブータン 山の教室」です。ブータンからの出品作品として初めてのノミネートとなりました。

「英雄の証明」(イラン)OUT
「ブータン 山の教室」(ブータン)IN


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