作品賞 | 監督賞 | 主演男優賞 | 主演女優賞 | 助演男優賞 | 助演女優賞
脚本賞 | 脚色賞 | 撮影賞| 編集賞 | 美術賞 | 衣装デザイン賞
作曲賞 | 主題歌賞 | メーキャップ賞 | 録音賞 | 音響編集賞 | 視覚効果賞
外国語映画賞 | 長編アニメーション映画賞 | 短編アニメーション映画賞
長編ドキュメンタリー映画賞 | 短編ドキュメンタリー映画賞 | 短編実写映画賞
脚本賞 | 脚色賞 | 撮影賞| 編集賞 | 美術賞 | 衣装デザイン賞
作曲賞 | 主題歌賞 | メーキャップ賞 | 録音賞 | 音響編集賞 | 視覚効果賞
外国語映画賞 | 長編アニメーション映画賞 | 短編アニメーション映画賞
長編ドキュメンタリー映画賞 | 短編ドキュメンタリー映画賞 | 短編実写映画賞
作品賞 |
作品賞部門の予想が年々難しくなってきている。最終的には二択まで絞れるものの、ここ数年はその二者択一で4年連続予想が外れていいる。今年も「スリー・ビルボード」か「シェイプ・オブ・ウォーター」かという二択まで絞りこみはできている。おそらくこの2作品以外の受賞はありえないだろう。ではどちらが受賞するのか? ◎は「スリー・ビルボード」。個人的な好みもあるが、過去5年のうち4度に渡って作品賞と監督賞の受賞が一致していないという見逃せないデータもある。また、作品賞部門は順位をつけての投票制になっているので、例えば2位票がずば抜けて多い作品が受賞するケースもある。逆に1位票では最多でもアンチが多い作品は受賞を逃すこともありうる。「シェイプ・オブ・ウォーター」のような監督の偏愛が具現化した映画では、感性が合わずに毛嫌いする会員も出てくるだろう。その点、ウィットに飛んだ台詞や予想のつかない物語展開ですごさが伝わりやすい「スリー・ビルボード」は2位〜3位票も取りこぼすことがなさそうだ。 ということで、4年連続予想を外しているオスカーノユクエが選ばなかった「シェイプ・オブ・ウォーター}が作品賞を受賞する可能性がもっとも高いのではないでしょうか。 |
監督賞 |
ポール・トーマス・アンダーソン(ファントム・スレッド) | ||
◎ | ギレルモ・デル・トロ(シェイプ・オブ・ウォーター) | |
グレタ・ガーウィグ(レディ・バード) | ||
クリストファー・ノーラン(ダンケルク) | ||
ジョーダン・ピール(ゲット・アウト) |
作品賞は混戦だが、ここは鉄板。ギレルモ・デル・トロ(シェイプ・オブ・ウォーター)の受賞は揺るがないだろう。オタク監督が幼少期からこじらせてきたモンスター愛、そしてクリエイティビティがついに最高の形で評価される…というわかりやすい美談になっているのがミソ。ギレルモ・デル・トロという存在を全面的に肯定することで、ハリウッドは自身の存在価値を全世界に発信できる。という穿った見方は脇においておくとしても、今回ギレルモ・デル・トロが生み出したものは、芸術的にもメッセージ的にも大きな価値を持っている。作品賞を争う「スリー・ビルボード」の監督がノミネートされていないここで、もはや敵はいない。 |
主演男優賞 |
ダニエル・カルーヤ(ゲット・アウト) | ||
ダニエル・デイ=ルイス(ファントム・スレッド) | ||
◎ | ゲイリー・オールドマン(ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男) | |
◯ | ティモシー・シャラメ(君の名前で僕を呼んで) | |
デンゼル・ワシントン(Roman J. Israel, Esq.) |
デンゼル・ワシントン(Roman J. Israel, Esq.)とダニエル・デイ=ルイス(ファントム・スレッド)はともに6回目の主演賞ノミネート。デンゼルは2つ、デイ=ルイスは3つのオスカー像をすでに手にしており、さすがに今回の受賞はないだろう。 それならば逆にフレッシュ度満点なティモシー・シャラメ(君の名前で僕を呼んで)に投票しようという心理が働いてもおかしくない。22歳でのノミネートは史上3番目に若い。ちなみに最年少はジャッキー・クーパー(スキピイ)の9歳、2番目はミッキー・ルーニー(青春一座)の19歳。 ただ、今年は前哨戦を序盤から最後まで独走し続けたゲイリー・オールドマン(ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男)の受賞で紛れはなさそう。長いキャリアを持ちながらノミネートはまだ2度目と過小評価されてきた存在だけに、受賞となれば場内はスタンディングオベーションで彼を祝福することになるだろう。 |
主演女優賞 |
◯ | サリー・ホーキンス(シェイプ・オブ・ウォーター) | |
◎ | フランシス・マクドーマンド(スリー・ビルボード) | |
マーゴット・ロビー(アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル) | ||
シアーシャ・ローナン(レディ・バード) | ||
メリル・ストリープ(ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書) |
ハリウッドでの女性問題が大きくクローズアップされた今年、女性パワーをあらためて誇示するような傑作たちが世に送り出されたのは興味深い事実。主演女優賞を争うのは当然、その傑作を彩った女優たちだ。中でも主人公のインパクトという点では、フランシス・マクドーマンド(スリー・ビルボード)が頭一つ抜けている。もしマクドーマンドが受賞すれば、主演女優賞を2度受賞した史上14人目の女優となる。つまり、ジョディ・フォスターやジェーン・フォンダらと肩を並べる大女優として認められるということだ。 初受賞を狙うサリー・ホーキンス(シェイプ・オブ・ウォーター)にも逆転のチャンスは十分にある。今年はもう一本「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」にも主演して高く評価されている。どちらも身体的なハンデを背負った女性を演じながらも、芯の強さで観客を魅了した。 23歳9ヶ月にして3度目のノミネートという史上2番目の記録を達成したシアーシャ・ローナン(レディ・バード)にも注目だ。前哨戦をリードしたマクドーマンドとホーキンスのどちらかが受賞するというのが大方の予想だが、ローナンの逆転もあっておかしくない。 |
助演男優賞 |
◎ | ウィレム・デフォー(フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法) | |
ウッディ・ハレルソン(スリー・ビルボード) | ||
リチャード・ジェンキンス(シェイプ・オブ・ウォーター) | ||
クリストファー・プラマー(ゲティ家の身代金) | ||
◯ | サム・ロックウェル(スリー・ビルボード) |
ウィレム・デフォーがまたオスカーを逃すかもしれないと思うと、涙を禁じ得ない。最初のノミネートは87年。「プラトーン」で助演男優賞にノミネートされ、共演者トム・ベレンジャーとどちらが受賞するのか!?と注目を集めるも、マイケル・ケイン(ハンナとその姉妹)にオスカー像をさらわれた。2度目のチャンスは01年の「シャドウ・オブ・ヴァンパイア」。吸血鬼役を演じた俳優にして本物の吸血鬼という難しい役柄を見事にこなし前哨戦を快走したが、ベニチオ・デル・トロ(トラフィック)に敗れた。 そして3度目のチャンスとなる今年。前2回に増して前哨戦では強さを発揮した。今年はウィレム・デフォーで決まり。誰もがそう思っていたはずだが、前哨戦終盤から雲行きが怪しくなってきた。重要賞に限って「スリー・ビルボード」のサム・ロックウェルの後塵を拝するという結果が続いたのだ。こうなると、下馬評は完全にロックウェルに傾き、今ではすっかり追う立場になってしまっている。 まだ対象作「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」は鑑賞できていないが、ガラは悪くも超絶いい人を演じているとのことで、はまり役での初受賞を期待したいところ。業界内での人望も厚いはずで、初ノミネートから30年後となる涙の戴冠シーンを見てみたい気持ちも込めて◎。 |
助演女優賞 |
メアリー・J・ブライジ(マッドバウンド 哀しき友情) | ||
◎ | アリソン・ジャニー(アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル) | |
レスリー・マンヴィル(ファントム・スレッド) | ||
◯ | ローリー・メトカーフ(レディ・バード) | |
オクタヴィア・スペンサー(シェイプ・オブ・ウォーター) |
前哨戦をほぼ独占したアリソン・ジャニー(アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル)とローリー・メトカーフ(レディ・バード)は、どちらもTVを主戦場に活躍してきた女優。ジャニーは傑作TVドラマ「ザ・ホワイトハウス」でエミー賞を4度受賞、メトカーフは「ロザンヌ」でエミー賞を3度受賞している。そんな大ベテランの2人が同じタイミングで最高の役柄にめぐりあい、アカデミー賞を争うことになるというのは偶然でもあり、彼女たちの実力からすれば必然でもある。 前哨戦では受賞数自体はメトカーフが上回るものの、前哨戦終盤の重要賞は軒並みジャニーが制した。ジャニーは映画での実績も少なくなく、アカデミー会員からの支持も味方につけることができそうだ。 |
脚本賞 |
ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ | |
◯ | ゲット・アウト |
レディ・バード | |
シェイプ・オブ・ウォーター | |
◎ | スリー・ビルボード |
映画はシナリオが命ということで、当然脚本賞・脚色賞と作品賞が一致するケースはずば抜けて多い。ここ10年で作品賞受賞作が脚本・脚色賞を受賞しなかったのは一例だけ(台詞のない「アーティスト」のみ)。今年も作品賞で有力視されている「スリー・ビルボード」と「シェイプ・オブ・ウォーター」のどちらかが受賞する可能性が高い。こと脚本という視点に限れば、物語の起伏が激しくウィットに飛んだ台詞が矢継ぎ早に飛び出す「スリー・ビルボード」がインパクトに勝るだろう。 ただ、「スリー・ビルボード」にとってライバルとなるのは、実は「ゲット・アウト」の方かもしれない。作品賞含む4部門にノミネートされた今年を代表する“ブラック映画”だが、もっとも受賞を期待できるのがこの部門だ。この部門を逃せば無冠に終わる可能性が高く、「ゲット・アウト」を評価する会員の票が集中するとすればここだろう。 |
脚色賞 |
◎ | 君の名前で僕を呼んで |
The Disaster Artist | |
◯ | LOGAN ローガン |
モリーズ・ゲーム | |
マッドバウンド 哀しき友情 |
まもなく90歳になろうとする巨匠ジェームズ・アイヴォリーが受賞すれば、アカデミー賞史上最年長の受賞記録となる。ちなみに現記録保持者のクリストファー・プラマー(受賞時82歳、現在88歳)も今年助演男優賞にノミネートされている。「眺めのいい部屋」「ハワーズ・エンド」「日の名残り」で3度監督賞にノミネートされているアイヴォリーだが、実はまだ受賞がない。本来、名誉賞を授与されても不思議のない実績の持ち主だけに、脚色賞部門での初戴冠を期待する会員も多くいるだろう。 |
撮影賞 |
◎ | ブレードランナー 2049 |
ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男 | |
ダンケルク | |
マッドバウンド 哀しき友情 | |
◯ | シェイプ・オブ・ウォーター |
いよいよこの時がやってきた。過去13回のノミネートで1度も受賞のない無冠の帝王ロジャー・ディーキンスが最大のチャンスを迎える。2009年の「アバター」以降、この部門での評価は明らかに技術志向に傾いている。CGやVFXなどポストプロダクションでの映像作成も評価の対象となっており、今回の「ブレードランナー 2049」はまさにピタリと当てはまる。光と影を巧みに操ってきたフィルム時代からの大御所が、最新の映像技術を駆使したSF大作で初のオスカー像を手にすることになるだろう。 逆転候補の一番手はレイチェル・モリソン(マッドバウンド 哀しき友情)。90年におよぶアカデミー賞の歴史の中でこの部門初めてとなる女性のノミニーだ。候補入りの時点ですでに快挙だが、女性が大きくクローズアップされる今年だけに、多くの得票があるかもしれない。 |
編集賞 |
◯ | ベイビー・ドライバー |
◎ | ダンケルク |
アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル | |
シェイプ・オブ・ウォーター | |
スリー・ビルボード |
かつては作品賞とのセット受賞傾向が強い部門だったが、2010年以降は1度しかセット受賞がない。編集技術そのものが際立った作品が受賞する傾向が強くなっている印象だ。 今年の前哨戦も同じ傾向が見られ、音楽とのシンクロ率が映画史上初レベルだった「ベイビー・ドライバー」と、3つの時間軸を鑑賞者の混乱を招くことなくつなぎきった「ダンケルク」の一騎打ちとなった。本番でもこの2本が最有力だが、最重要視されるアメリカ編集監督組合賞では「ダンケルク」に軍配が上がっている(「ベイビー・ドライバー」はコメディ部門で「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」に敗北)。 また、今回は「ダンケルク」のリー・スミス以外はすべて初ノミネートというフレッシュな顔ぶれ。3度目のノミネートで初戴冠を狙うスミスが最有力か。 |
美術賞 |
美女と野獣 | |
◯ | ブレードランナー 2049 |
ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男 | |
ダンケルク | |
◎ | シェイプ・オブ・ウォーター |
前哨戦は完全に「ブレードランナー 2049」と「シェイプ・オブ・ウォーター」の一騎打ち。最重要視されるアメリカ編集監督組合賞でも、ファンタジー部門とピリオド部門で2作品が賞を分け合っており、優劣はつけられない。とすれば、予想の根拠としうるのは、過去10年で作品賞ノミネート作が7回受賞しているというデータくらいだが、はっきり言ってどちらに転んでもまったく不思議はない。 ちなみに、今では映画史を変えたという最大級の賛辞を集めている「ブレードランナー」の美術はアカデミー賞を受賞していない(受賞は「ガンジー」)。 |
衣装デザイン賞 |
◯ | 美女と野獣 |
ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男 | |
ファントム・スレッド | |
◎ | シェイプ・オブ・ウォーター |
Victoria and Abdul |
キャリア豊富な大御所デザイナーがとにかく強いこの部門。2001年以降の過去17回でコリーン・アトウッドが4回、サンディ・パウエル、ミレーナ・カノネロ、キャサリン・マーティンがそれぞれ2回ずつ受賞している。今年もすでに受賞歴のあるジャクリーヌ・デュランとマーク・ブリッジスが2度目の戴冠に王手をかけるほか、ノミネート3回の実績を持つコンソラータ・ボイルも初受賞を狙う。 そんな中、ただひとり初ノミネートとなったルイス・セケイラ(シェイプ・オブ・ウォーター)だが、前哨戦実績ではオスカー常連組を上回った。対象作が作品賞部門で有力視されていることも有利に働くはずで、初ノミネート初受賞も十分にありそうだ。 |
作曲賞 |
◯ | ダンケルク |
ファントム・スレッド | |
◎ | シェイプ・オブ・ウォーター |
スリー・ビルボード | |
スター・ウォーズ/最後のジェダイ |
大御所ジョン・ウィリアムズが実に51回目のノミネート。ウォルト・ディズニー(59回)に次ぐ記録で、現役では最多となる。ただ、そんなレジェンドも今回は受賞争いに絡むことはなさそうだ。この部門は作品賞との結びつきが強く、2000年以降、受賞作が作品賞にノミネートされていなかったのは2例しかない。今年も「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」以外は作品賞ノミネート作がずらりと並んでおり、その傾向は踏襲されている。 受賞最有力は「シェイプ・オブ・ウォーター」のアレクサンドル・デスプラ。2007年の初候補から早9回目のノミネートとなるが、「グランド・ブダペスト・ホテル」に続く2つ目のオスカー像も見えてきた。前哨戦でそのデスプラと好勝負を演じたジョニー・グリーンウッド(ファントム・スレッド)だが、頭の固い老会員たちからの支持は得にくそう。「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」の野心的なスコアも前哨戦では大いに評価されたが、アカデミー賞にはノミネートすらされなかった。 |
主題歌賞 |
“Mystery of Love”(君の名前で僕を呼んで) | |
◯ | “Remember Me”(リメンバー・ミー) |
◎ | “This Is Me”(グレイテスト・ショーマン) |
“Stand Up for Something”(Marshall) | |
“Mighty River”(マッドバウンド 哀しき友情) |
前哨戦で頭ひとつ抜きん出たのは“Remember Me”(リメンバー・ミー)。作品の評価もすこぶる高く、多くの得票がありそうだ。ただ、アニメ映画の主題歌は90年代のアラン・メンケン作を筆頭に猛威を振るったものの、近年はかつてほどの勢いはない。 そんな中、昨年の「ラ・ラ・ランド」に続きミュージカル映画から“This Is Me”(グレイテスト・ショーマン)がノミネートされた。作詞・作曲を手掛けたのも「ラ・ラ・ランド」のベンジ・パセック&ジャスティン・ポールで、もし今年も受賞となれば、史上3人目の連続受賞となる。対象作となる「グレイテスト・ショーマン」には他にも名曲がズラリそろっており、サントラも売れまくっている。映画は昨年末の公開からいまだにロングランを続けており、興収で「ラ・ラ・ランド」を上回る人気ぶり。勢いでは完全にライバルを圧倒しており、このまま戴冠があってもおかしくない。 |
メイクアップ&ヘアスタイリング賞 |
◎ | ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男 |
Victoria and Abdul | |
Wonder |
かつてはファンタジーやSFジャンルが強かった部門だが、ヘアスタイリング賞の冠が追加された2012年以降は傾向がガラリと一変。役者の素材を活かしたリアル路線のメイク&ヘアスタイリングが重視されている。2011年に「マーガレット・サッチャー 鉄の女」で主演女優賞を受賞したメリル・ストリープが受賞スピーチでヘアスタイリストに賛辞を述べたことが、現在のトレンドのひとつのきっかけになっているのではないか。 今年もファンタジー系の作品はすべて候補から漏れ、リアル路線の3作品が賞を争う。前哨戦データは根拠とするほどボリュームがないが、わずかに「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」が実績上位。主演男優賞で最有力視されているゲイリー・オールドマンの初オスカーを後押しする重要な要素だけに、高く評価されることは間違いない。日本人アーティスト、辻一弘のオスカー受賞に期待したい。 |
録音賞 |
◯ | ベイビー・ドライバー |
ブレードランナー 2049 | |
◎ | ダンケルク |
シェイプ・オブ・ウォーター | |
スター・ウォーズ/最後のジェダイ |
2000年以降、大別すれば戦争映画とミュージカル映画が受賞しやすい傾向にある。その傾向からすると、今年は「ダンケルク」と「ベイビー・ドライバー」が有力か。どちらも甲乙つけがたいが、現場の臨場感をこれ以上ないほど伝えていた「ダンケルク」のインパクトは絶大。また、過去の受賞作は作品賞にノミネートされていることが多く、その傾向も「ダンケルク」受賞を後押しする。 |
音響編集賞 |
ベイビー・ドライバー | |
ブレードランナー 2049 | |
◎ | ダンケルク |
◯ | シェイプ・オブ・ウォーター |
スター・ウォーズ/最後のジェダイ |
今年は録音賞と音響編集賞のノミネート作品がすべて一致したが、この2部門の受賞作が一致することは意外と少ない(2000年以降で6回)。両部門を受賞する作品はいずれもスケールの大きな戦闘シーンを含む場合がほとんど。今回は「ダンケルク」がそのケースに当てはまり、録音賞とともに受賞する可能性は少なくないと見る。 |
視覚効果賞 |
◯ | ブレードランナー 2049 |
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス | |
キングコング 髑髏島の巨神 | |
スター・ウォーズ/最後のジェダイ | |
◎ | 猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー) |
今年4部門でノミネートされている「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」だが、この部門でも受賞は難しそう。視覚効果の代名詞的な存在とも言える「スター・ウォーズ」シリーズだが、実はこれまで技術部門を中心に計33部門にノミネートされるも受賞したのは最初の3部作のみで、以降は34年間受賞がない。ある意味衝撃的な事実だが、常に高いレベルを要求されるだけに、課せられたハードルはとてつもなく高いのかもしれない。 前哨戦では「ブレードランナー 2049」と「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」が好勝負を演じた。アカデミー賞もこの2作品の争いになると思われるが、降り積もる雪と猿のコンビネーションが同業者から賞賛された後者が優勢か。ちなみに両者とも過去のシリーズ作品はこの部門での受賞がなく、今回初の受賞を狙う。 |
外国語映画賞 |
◎ | ナチュラルウーマン(チリ) | |
心と体と(ハンガリー) | ||
The Insult(レバノン) | ||
◯ | ラブレス(ロシア) | |
ザ・スクエア 思いやりの聖域(スウェーデン) |
前哨戦からは受賞の傾向が読みづらい部門だが、強いて言えばこの10年で親和性が高いのはゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞の2つ。両賞を受賞して盤石の体制でアカデミー賞をも制したのが「サウルの息子」「グレート・ビューティー 追憶のローマ」「愛、アムール」の3本。ただ、今年は前哨戦の結果もバラけており、両賞にノミネートされた作品も「ラブレス」のみ。両賞の受賞作はアカデミー賞にはノミネートすらされていない。 下馬評ではカンヌ国際映画祭パルムドール受賞の「ザ・スクエア 思いやりの聖域」(スウェーデン)が最有力との見方が強いが、2000年以降、両賞の結果が一致したのは「愛、アムール」の一度だけで、相性は良くない。ならば、授賞式プレゼンターとしてトランスジェンダーの主演女優が招待されている「ナチュラル・ウーマン」(チリ)の逆転受賞があっても不思議はない。 |
長編アニメーション映画賞 |
ボス・ベイビー | ||
The Breadwinner | ||
◎ | リメンバー・ミー | |
Ferdinand | ||
ゴッホ 最期の手紙 |
この部門が創設されてからまだ17年だが、とにもかくにもピクサーが強い。これまで実に半数となる8回にわたってピクサー作品が受賞を果たしている。そして今年も前哨戦を総なめした「リメンバー・ミー」で9度目のピクサー戴冠が確実だ。もし「リメンバー・ミー」が受賞すれば、監督のリー・アンクリッチは「トイ・ストーリー3」に続いて2回目。過去にはブラッド・バード(「Mr.インクレディブル」「レミーのおいしいレストラン」)、アンドリュー・スタントン(「ファインディング・ニモ」「ウォーリー」)、ピート・ドクター(「カールじいさんの空飛ぶ家」「インサイド・ヘッド」)がそれぞれ2回ずつ受賞している。 |
短編アニメーション映画賞 |
Dear Basketball | |
ガーデンパーティー | |
◎ | LOU |
◯ | Negative Space |
Revolting Rhymes |
長編アニメ部門ほどではないが、やはりピクサー&ディズニーが強い。ここ5年で3本が受賞しており、人気作との併映という強みを十二分に発揮している。今年も「カーズ3」に併映されたピクサー作品「LOU」が最有力視されうが、他にも話題作は多い。桑畑かほる氏が日本人女性として初めて同部門にノミネートされた「Negative Space」に大きな期待がかかるが、話題性という意味ではバスケットボールのスター選手コービー・ブライアントが製作に名を連ねる「Dear Basketball」も負けてはいない。ピクサーの牙城を崩せるか。 |
長編ドキュメンタリー映画賞 |
Abacus: Small Enough to Jail | |
◎ | Faces Places |
◯ | イカロス |
アレッポ 最後の男たち | |
Strong Island |
前哨戦で一番人気だった「Jane」が候補落ちするというサプライズにより、次いで実績を残した「Faces Places」が本命に押し出されるかたちに。この作品はヌーヴェルヴァーグの祖母と呼ばれる女流映画監督アニエス・ヴァルダ(89歳)とアーティストJR(35歳)が各地を旅しながら映画作りをする姿を追ったドキュメンタリー。世代も感性も違う2人のコラボレーションが新たな芸術を生む瞬間を捉える。Netflixで鑑賞できる「イカロス」と「ストロング・アイランド」も強力な2本。前者は自転車競技に勤しむ監督がドーピングについて調査しているうちに、意図せずロシアが国絡みで行っていた巨大不正問題に巻き込まれていく姿が恐ろしくも面白い快作だ。 |
短編ドキュメンタリー映画賞 |
◯ | Edith+Eddie |
◎ | Heaven Is a Traffic Jam on the 405 |
Heroin(e) | |
Knife Skills | |
Traffic Stop |
短編実写映画賞 |
◎ | DeKalb Elementary |
◯ | The Eleven O’Clock |
My Nephew Emmett | |
The Silent Child | |
Watu Wote: All of us |