作品賞 | 監督賞 | 主演男優賞 | 主演女優賞 | 助演男優賞 | 助演女優賞
脚本賞 | 脚色賞 | 撮影賞| 編集賞 | 美術賞 | 衣装デザイン賞
作曲賞 | 主題歌賞 | メーキャップ賞 | 録音賞 | 音響編集賞 | 視覚効果賞
外国語映画賞 | 長編アニメーション映画賞 | 短編アニメーション映画賞
長編ドキュメンタリー映画賞 | 短編ドキュメンタリー映画賞 | 短編実写映画賞
脚本賞 | 脚色賞 | 撮影賞| 編集賞 | 美術賞 | 衣装デザイン賞
作曲賞 | 主題歌賞 | メーキャップ賞 | 録音賞 | 音響編集賞 | 視覚効果賞
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長編ドキュメンタリー映画賞 | 短編ドキュメンタリー映画賞 | 短編実写映画賞
作品賞 |
大混戦だった前哨戦。主要3賞とされるアメリカ製作者組合賞(以下PGA)、ゴールデン・グローブ賞(以下GG賞)、ブロードキャスト映画批評家協会賞(以下BFCA)の結果も割れた。とはいえ、例年ならその3賞を受賞したいずれかの作品が受賞する確率は高く、候補は自ずと3作品以下に絞られるというのが常道なのだが、今年はそうもいかない。何しろ最多タイノミネートの「女王陛下のお気に入り」はその3賞で受賞を果たしていないのだ。 また、ここにきてスパイク・リー監督の長年の功績に対する評価の気運も高まってきており、「ブラック・クランズマン」受賞を予想する声も大きくなってきている。4〜5作品での票割れが起きれば、アカデミー会員の大半を占める老会員たちが大好きな「アリー/スター誕生」にもチャンスが巡ってくるかもしれない。いや、それなら監督賞にもノミネートされている「バイス」にだって可能性はある。ここまで候補が絞り込めない年もめずらしい。 とはいえ、授賞式直前での下馬評は「ROMA ローマ」に傾きつつある。Netflix配信という大きな阻害要因はあるものの、アルフォンソ・キュアロンという圧倒的な才能をアカデミー会員たちは否定しようがないらしい。「ROMA ローマ」が受賞すれば、ある意味、アカデミー賞は映画のクオリティを評価するという役割においては正常に機能していることになるだろう。 ここ5年ほど、2作品まで候補を絞りながら逆張りし続けているオスカーノユクエ予想だが、今年は「ROMA ローマ」と「グリーンブック」まで絞り込んだうえで前者受賞と予想する。 |
監督賞 |
◯ | アルフォンソ・キュアロン(ROMA ローマ) | |
ヨルゴス・ランティモス(女王陛下のお気に入り) | ||
◎ | スパイク・リー(ブラック・クランズマン) | |
△ | アダム・マッケイ(バイス) | |
パヴェウ・パヴリコフスキ(COLD WAR/あの歌、2つの心) |
順当ならアルフォンソ・キュアロン(ROMA ローマ)の受賞で決まりだ。前哨戦でも主要賞はすべて制しており、死角はない。ただし、不安要素は2つある。ひとつはキュアロン自身がすでに監督賞を受賞していること、もうひとつは強力すぎるメキシカン・パワーの揺り戻しだ。2013年にキュアロンが「ゼロ・グラビティ」で受賞して以来の5年間で、実にメキシコ人監督が4度受賞している。トランプ大統領でなくともこのメキシカン・パワーには脅威を感じずにはいられないだろう。 そんな状況にバランスを持たせようという気持ちをもしアカデミー会員が持ったとしたら、代わりに投票するに値する打って付けの候補がいる。スパイク・リーだ。89年の「ドゥ・ザ・ライト・シング」でハリウッドにおけるブラック・パワーの第一人者として台頭したが、アカデミーは作品賞と監督賞でノミネートの栄誉すら与えず、大バッシングを食らっている。以降、アカデミーとリーの確執は長く続くことになる。2015年にアカデミーがリーに名誉賞を授与してようやく雪解けなったかに思われたが、今度はいわゆる“白すぎるオスカー”問題が勃発し、リーが授賞式をキャンセル。両者の関係はまたこじれてしまった。 このくっつきそうでくっつかない焦らし恋愛ドラマのような両者の関係が、今年いよいよハッピーエンドを迎えるのか?強力すぎるメキシコ人の恋敵をはねのけての受賞となれば、授賞式は大きな盛り上がりを見せるだろう。ただし、問題児のリーがアカデミーの求愛を素直に受けるとは限らない。過激な受賞スピーチで祝福ムードをぶち壊す可能性は大いにある。そんな予想のつかないドラマ展開もふくめ、レジェンドの受賞を期待したい。 |
主演男優賞 |
ブラッドリー・クーパー(アリー スター誕生) | ||
ヴィゴ・モーテンセン(グリーンブック) | ||
◯ | クリスチャン・ベール(バイス) | |
◎ | ラミ・マレック(ボヘミアン・ラプソディ) | |
ウィレム・デフォー(永遠の門 ゴッホの見た未来) |
実在の人物を演じた2人が受賞を争う。ラミ・マレック(ボヘミアン・ラプソディ)は主要賞のうちアメリカ俳優組合賞とGG賞を、クリスチャン・ベール(バイス)はBFCAを制した。直前の下馬評ではマレック優位だが、ベール逆転の可能性は低くない。 マレックの強みは何と言ってもフレディ・マーキュリーという人物の人気だ。実際、映画「ボヘミアン・ラプソディ」の成功もマーキュリー人気によって後押しされている。正直に言えば、マーキュリーとは似ても似つかない容姿のマレックが、マーキュリーを演じるのに最適な人選だったかどうか疑問が残る。だが、ライブエイドというわかりやすい見せ場を与えられたマレックが、観客の期待に答えるパフォーマンスを披露したのは間違いない。 一方のベールが演じたのは、逆にまったく人気のないディック・チェイニーという人物。人気投票なら10対0で完敗だ。ベールの強みは大幅な体重増による肉体改造で、こちらはチェイニーその人かと見紛うほどの見た目完成度となっている。演技賞においてはこうした肉体改造は受賞に結びつきやすいのだが、ベールの場合、太ったり痩せたりの幅が毎回大きすぎて、インパクトに欠けてしまっているのも事実。逆に言えば、それでも2度目のオスカーを有力視されているのは、純粋な演技力への評価とも言える。実際、その演技には舌を巻く。個人的には演技力だけでいえばベールの受賞を確信している。 ともあれ、演技賞というのは、演じたキャラクターの魅力に左右されることが大きい。その一点において、マレック=マーキュリーに票が傾くのではないかと予想する。 |
主演女優賞 |
レディー・ガガ(アリー スター誕生) | ||
◎ | グレン・クローズ(天才作家の妻 40年目の真実) | |
◯ | オリヴィア・コールマン(女王陛下のお気に入り) | |
メリッサ・マッカーシー(ある女流作家の罪と罰) | ||
ヤリーツァ・アパリシオ(ROMA ローマ) |
前哨戦序盤ではレディ・ガガ(アリー/スター誕生)を大本命とする下馬評にあふれていたが、今ではガガの受賞を予想する声は小さい。受賞はグレン・クローズ(天才作家の妻 40年目の真実)でほぼ決まりだろう。これまで6度ノミネートされながら1度も受賞していない大女優が、ようやくオスカー像を授与されることになりそうだ。大女優へのスタンディングオベーションと感動のスピーチを座して待ちたい。 唯一の対抗馬はオリヴィア・コールマン(女王陛下のお気に入り)だが、映画は実質3人の主演女優が見せ場を分け合っている。コールマンが演じたエキセントリックな女王陛下も見せ場は多いが、大女優を押しのけての受賞は厳しいのでは。 |
助演男優賞 |
◎ | マハーシャラ・アリ(グリーンブック) | |
リチャード・E・グラント(ある女流作家の罪と罰) | ||
◯ | サム・エリオット(アリー スター誕生) | |
アダム・ドライヴァー(ブラック・クランズマン) | ||
サム・ロックウェル(バイス) |
前哨戦を圧勝したマハーシャラ・アリ(グリーンブック)の1強状態。2年前に「ムーンライト」で受賞したばかりということが唯一の不安材料だが、近年の充実ぶりはもはやオスカー2度受賞の格に恥じない。2度目のオスカーを阻む要素はないだろう。 一発逆転があるとすればサム・エリオット(アリー スター誕生)。これまでのキャリアで演技派という評価はまったくといっていいほど受けてこなかったが、だからこそ今回のノミネートは大きな意味がある。見せ場も多く、俳優としての長いキャリアが評価されて多くの票を獲得するかもしれない。 |
助演女優賞 |
◎ | レジーナ・キング(ビール・ストリートの恋人たち) | |
△ | エイミー・アダムス(バイス) | |
エマ・ストーン(女王陛下のお気に入り) | ||
レイチェル・ワイズ(女王陛下のお気に入り) | ||
◯ | マリーナ・デ・タヴィラ(ROMA ローマ) |
この部門も大混戦。前哨戦をリードしたレジーナ・キング(ビール・ストリートの恋人たち)だが、最重要賞であるアメリカ俳優組合賞でノミネートすらされなかったというのは大きな不安材料だ。「ザ・エージェント」で演じたキューバ・グッディング・Jr.の勝ち気な奥さん役などハリウッドでのキャリアは長いが、これまで賞というものには縁がなかった。これまでの貢献も含め、大いに評価されるだろう。 サプライズ候補となったマリーナ・デ・タヴィラ(ROMA ローマ)だが、下馬評以上に強力な存在だ。何より作品の評価が高いのが一番の強みだが、役柄的にもキーパーソンといっていい存在。大きな感情の振り幅を求められる役を見事に演じている。ハリウッドでの知名度はほとんどないが、今回の混戦なら浮上の目はある。 今回が6度目のノミネートとなるエイミー・アダムス(バイス)は、アカデミー会員に愛された存在でありながら、未だに受賞がない。混戦の今回こそはチャンスとも言えるが、彼女ほどの存在となると、どの作品で受賞するのかも重要になってくる。今回「バイス」で演じたチェイニー夫人が彼女のベストアクトか?と問われて、YESと答える人がいったいどれだけいるか。 「女王陛下のお気に入り」でノミネートされた2人は、どちらもオスカー受賞経験のある演技派だけに、さすがの安定感。どちらの演技も甲乙つけがたく、作品の支持派からも票は真っ二つに割れるだろう。 |
脚本賞 |
◯ | ニック・ヴァレロンガ、ブライアン・カリー、ピーター・ファレリー(グリーンブック) |
◎ | アルフォンソ・キュアロン(ROMA ローマ) |
アダム・マッケイ(バイス) | |
△ | デボラ・デイヴィス、トニー・マクマナラ(女王陛下のお気に入り) |
ポール・シュレイダー(魂のゆくえ) |
作品賞の有力候補がこちらの部門にひしめき合う。オリジナル脚本の不足が嘆かれる昨今のハリウッドで、脚色賞部門よりもこちらのほうが充実するのは大変喜ばしいことだ。作品賞部門で最有力視される「ROMA ローマ」がここでも本命だが、複数部門でノミネートされるアルフォンソ・キュアロンだけに、票割れの危険は残る。 そうなると、作品賞部門で対抗馬とされる「グリーンブック」が有力視されることになるが、こちらも賞レースの最中にいろいろなバックラッシュのネタが噴出するなど一筋縄ではいかない。 「女王陛下のお気に入り」も史実をベースとした思いもよらぬ物語だけにアカデミー会員の人気は高そう。主に技術賞部門での活躍が見込めそうだが、この部門でもチャンスはある。 |
脚色賞 |
◎ | チャーリー・ワックテル、スパイク・リー他(ブラック・クランズマン) |
ニコール・ホロフセナー、ジェフ・ウィッティ(ある女流作家の罪と罰) | |
バリー・ジェンキンス(ビール・ストリートの恋人たち) | |
◯ | エリック・ロス、ブラッドリー・クーパー、ウィル・フェッターズ(アリー スター誕生) |
ジョエル&イーサン・コーエン(バスターのバラード) |
監督賞部門で、スパイク・リーへのオスカー授与で長年の確執の雪解けなるかを説いたが、もしかしたらこの部門で早々に叶ってしまうかもしれない。というか、アカデミー会員はこの部門でオスカーを授与すればそれで良し(監督賞はあげなくてもいい)と判断する可能性もある。強敵がすべて脚本賞部門に集中したおかげで、「ブラッククランズマン」の受賞確率は跳ね上がった。 対抗馬は「アリー スター誕生」。他の部門では受賞が厳しい情勢だけに、作品のファンはこの部門で票を投じるだろう。 |
撮影賞 |
△ | ロビー・ライアン(女王陛下のお気に入り) |
◯ | アルフォンソ・キュアロン(ROMA ローマ) |
マシュー・リバティーク(アリー スター誕生) | |
◎ | ウカシュ・ジャル(COLD WAR/あの歌、2つの心) |
キャレブ・デシャネル(Never Look Away) |
ノミネート作のうち3本が外国語映画という珍しい事態となった今年の撮影賞。撮影監督の出身地もアイルランド、メキシコ、ポーランドなど、アカデミー協会が標榜する“多様性”を体現する結果となっている。また、うち2本がモノクロ作品というのも象徴的。過去10年でモノクロ作品がノミネートされたのは2本のみで、1年に2本のモノクロ作品がノミネートされるのはとても珍しい。 この10年はSF作品やファンタジー作品など、技術的な側面が評価の対象となる傾向があり、同時に「ラ・ラ・ランド」や昨年の「ブレードランナー 2049」など、色彩や陰影が豊かな画づくりが高く評価されている。そういった中でフィルム撮影されたモノクロ作品がこれだけクローズアップされるということは、旧来の技術が再評価される機運の現れかもしれない。 というわけで、モノクロ撮影の2本のどちらかが受賞と予想するが、「ROMA ローマ」は監督のアルフォンソ・キュアロンが撮影も兼ねているという事実がどう影響するか。ハリウッドでは各部門に組合が存在し、1人の人間が複数の部門にクレジットされることを嫌う(故にコーエン兄弟も編集部門ではロデリック・ジェインズという偽名でクレジットしている)。今回はNetflix作品ということでその縛りがないのだろうが、投票するのは組合にも登録している業界人たち。すんなりとキュアロンに票が集まるとは思えない。 となると受賞はポーランド人のウカシュ・ジャル(COLD WAR/あの歌、2つの心)ということになるが、もし受賞したら驚きの快挙だ。 |
編集賞 |
△ | バリー・アレクサンダー・ブラウン(ブラック・クランズマン) |
ジョン・オットマン(ボヘミアン・ラプソディ) | |
◯ | ヨルゴス・マフロプサリディス(女王陛下のお気に入り) |
ハンク・コーウィン(バイス) | |
◎ | パトリック・J・ドン・ビト(グリーンブック) |
作品賞との結びつきが強いこの部門で「ROMA ローマ」が漏れたのは、監督のアルフォンソ・キュアロンが編集も兼ねているからだろう。それぞれの部門で組合が強い力を持っており、特にこの部門では編集を兼任した監督の名前がクレジットされることを嫌う。かのコーエン兄弟も監督と編集を兼任しているのだが、そんな事情もあってロデリック・ジェインズという編集者の名義を使っている。 鬼才ヨルゴス・ランティモスの世界を異質たらしめている独特の編集が冴え渡る「女王陛下のお気に入り」が強敵だが、鬼(ROMA ローマ)のいぬここは作品賞の対抗馬「グリーンブック」がぜひとも制しておきたいところだ。 |
美術賞 |
◎ | ハンナ・ビークラー、ジェイ・ハート(ブラックパンサー) |
◯ | フィオナ・クロンビー、アリス・フェルトン(女王陛下のお気に入り) |
ネイサン・クロウリー、キャシー・ルーカス(ファースト・マン) | |
ジョン・マイヤー、ゴードン・シム(メリー・ポピンズ リターンズ) | |
△ | エウヘニオ・カバレロ、バーバラ・エンリケ(ROMA ローマ) |
美術賞を占う上で重要視されるアメリカ美術監督組合賞は、Period(歴史作品)、Fantasy(ファンタジー作品)、Contemporary(現代作品)の3部門に分けて発表される。アカデミー賞過去10年の傾向を見ると、この分類ではFantasyとContemporaryが強いが、実は一番強いのはその両方の要素をもった作品だ。つまり、“設定は現代だがファンタジーの要素を持っている”作品こそが一番強い。 今回、最も強くその要素を持つのは「ブラックパンサー」だと言える。しかも、ハリウッドにとっては目新しく華やかなアフリカンテイストの美術で、今年を代表する美術として投票にふさわしい。 |
衣装デザイン賞 |
メアリー・ゾフレス(バスターのバラード) | |
◯ | ルース・カーター(ブラックパンサー) |
◎ | サンディ・パウエル(女王陛下のお気に入り) |
サンディ・パウエル(メリー・ポピンズ リターンズ) | |
アレクサンドラ・バーン(ふたりの女王 メアリーとエリザベス) |
美術賞と同様、ここも「ブラックパンサー」が受賞してもおかしくない。アフリカンテイストのデザインが最もインパクトを放つのは、ワカンダ王国の住民たちが身にまとうその衣装だからだ。しかし、ここには強敵がいる。すでに3度のオスカー受賞を誇る重鎮サンディ・パウエルだ。今回パウエルは2作品でノミネートされているが、票が集まるのは「女王陛下のお気に入り」のほうだろう。作品の美しさを際立たせる衣装は、過去にパウエルがデザインしてきた数々のコスチュームの中でも屈指だ。 |
作曲賞 |
◯ | ルドウィグ・ゴランソン(ブラックパンサー) |
◎ | テレンス・ブランチャード(ブラック・クランズマン) |
△ | ニコラス・ブリテル(ビール・ストリートの恋人たち) |
アレクサンドル・デスプラ(犬ヶ島) | |
マーク・シェイマン(メリー・ポピンズ リターンズ) |
前哨戦で実績を残した「ファースト・マン」がノミネートから漏れ、受賞を争うのは奇しくも黒人俳優たちが主演を張る3本となった。「ブラックパンサー」「ブラック・クランズマン」「ビール・ストリートの恋人たち」はいずれも前哨戦で同等の実績があるが、そうなると表の多寡を分けるのは、作曲者のプロフィールかもしれない。いずれも黒人が監督し、黒人が主演する映画だが、作曲も黒人が手がけているのは「ブラック・クランズマン」だけ。作曲を担当したテレンス・ブランチャードはジャズ・トランペット奏者として活躍するかたわら、主にスパイク・リー監督映画の作曲を手がけてきた。スパイク・リーとの30年間に渡る共同作業に光が当たるか。 |
主題歌賞 |
◯ | “All the Stars”(ブラックパンサー) |
“The Place Where Lost Things Go”(メリー・ポピンズ リターンズ) | |
“I’ll Fight”(RBG) | |
◎ | “Shallow”(アリー スター誕生) |
“When a Cowboy Trades His Spurs for Wings”(バスターのバラード) |
今年の授賞式では主題歌賞パフォーマンスが2曲のみに限定されるとの信じがたい発表が。その2曲とは人気歌手が歌う”All the Stars”(ブラックパンサー)と”Shallow”(アリー スター誕生)。賞を争うのはその2曲だろうと巷では噂されているものの、だからといって他の候補者たちをないがしろにするような決定にはとても賛成できない。撮影賞ほか4部門の授与をCMブレイク中に行うという愚挙は結果的に撤回されたようだが、主題歌賞パフォーマンスについての決定も何とか覆ってほしいと願うばかりだ。 受賞するのは”Shallow”(アリー スター誕生)だろう。映画の命とも言える本当の意味での主題歌で、曲の素晴らしさも考えれば賞を逃すことは考えられない。 |
メイクアップ&ヘアスタイリング賞 |
ふたりの女王 メアリーとエリザベス | |
◎ | バイス |
Border |
あのクリスチャン・ベールがディック・チェイニーに!?ベール自身の肉体改造もさることながら、メイクの貢献も当然大きい。ベールだけでなく、サム・ロックウェルなど有名俳優を、さらに有名な大統領や閣僚たちに変身させた手腕は評価されてしかるべきだ。 |
録音賞 |
ブラックパンサー | |
◎ | ボヘミアン・ラプソディ |
◯ | ファースト・マン |
△ | アリー スター誕生 |
ROMA ローマ |
録音賞と音響編集賞はセットで語られることが多いが、実際、過去10年で両者の受賞作は6度にわたって一致している。また、傾向としては戦闘シーンを含む映画が両部門で圧倒的に強く、戦争をモチーフにした映画がノミネートされていたら受賞の確率は高い。 今回は戦争映画がないが、その代り2本の音楽映画がノミネートされているのが特徴だ。どちらも興行的に大成功した映画だけに甲乙つけがたいが、人気面では「ボヘミアン・ラプソディ」が一歩リードか。実際にあった伝説のステージを再現したのも票を集めやすいポイントになりそうだ。 作品は高評価ながらサウンド部門以外で無視された「ファースト・マン」にもチャンスあり。 |
音響編集賞 |
ブラックパンサー | |
◯ | ボヘミアン・ラプソディ |
◎ | ファースト・マン |
クワイエット・プレイス | |
ROMA ローマ |
録音賞と受賞作品が一致する確率が高いが、こちらは「ファースト・マン」の受賞と予想。宇宙開発のあらゆる局面でのリアルな音作りは相当に綿密な調査と大変な苦労があったと想像する。 |
視覚効果賞 |
△ | アベンジャーズ インフィニティ・ウォー |
◎ | ファースト・マン |
◯ | レディ・プレイヤー1 |
プーと大人になった僕 | |
ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー |
マーベルが猛威を振るったこの10年だが、実は1度も視覚効果賞は受賞していない。ついでに言えば、「フォースの覚醒」以降の「スター・ウォーズ」シリーズも1度も受賞していない。興行的な成功を収めた超大作は実は受賞しにくいというのがこの部門の傾向だ。 ファンタジーの世界はCGでほぼ何もかもビジュアル化できる時代にあり、むしろリアルを感じさせる映像を作り出すことが評価されそうだ。 |
外国語映画賞 |
Capernaum(レバノン) | ||
◯ | COLD WAR/あの歌、2つの心(ポーランド) | |
Never Look Away(ドイツ) | ||
◎ | ROMA ローマ(メキシコ) | |
△ | 万引き家族(日本) |
日本から参戦の「万引き家族」にとっては、ツキがないというか何というか、ここ数年で最もライバルが充実した年になってしまった。カンヌ国際映画祭パルムドールの実績は、本来であれば堂々の主役となっておかしくないのだが、今年は「ROMA ローマ」という大横綱がずっしりと鎮座しており、逆転は厳しい情勢だ。また、監督賞にもノミネートされたポーランドの「COLD WAR/あの歌、2つの心」も強力。この作品も、もし「ROMA ローマ」がいない年なら受賞していておかしくない。 史上初の外国語映画賞&作品賞のW受賞を狙う「ROMA ローマ」にとって、ここは落とすはずのない鉄板部門。Netflix配信作品であることのマイナスはここでも少なからず得票に影響はあるだろうが、よもや受賞を逃すことはないだろう。 |
長編アニメーション映画賞 |
◯ | 犬ヶ島 | |
インクレディブル・ファミリー | ||
◎ | スパイダーマン:スパイダーバース | |
シュガー・ラッシュ:オンライン | ||
未来のミライ |
ディズニー勢2作品に例年ほどの勢いがないだけに、妥当ディズニーを目論む他スタジオにとっては大きなチャンス。前哨戦で予想外の大活躍を見せたのは「スパイダーマン:スパイダーバース」で、このまま順当にいけばマーベル作品としてはじめての栄誉に浴すことになるだろう。 日本から参戦の「未来のミライ」にもチャンスがあると言いたいところだが、逆転までは厳しいか。それよりは、日本を舞台にした「犬ヶ島」のほうがチャンスは大きい。 |
短編アニメーション映画賞 |
Animal Behaviour | |
◯ | Bao |
◎ | Late Afternoon |
△ | One Small Step |
Weekends |
長編ドキュメンタリー映画賞 |
◯ | Free Solo | |
Hale County This Morning, This Evening | ||
△ | Minding the Gap | |
Of Fathers and Sons | ||
◎ | RBG 最強の85才 |
前哨戦で実績を残した作品が軒並みノミネート落ちという異常事態。候補作の中では「Minding the Gap」がもっとも前哨戦実績を残しているが、5作品とも横並びと考えていいだろう。だが、5作品の中で抜群の知名度とインパクトを持つ作品が存在する。「RBG 最強の85才」だ。85歳でなお現役の米国最高裁女性判事、ルース・ベイダー・ギンズバーグの軌跡を追ったドキュメンタリー映画だが、RBGといえばアメリカでは誰もが知る存在のようで、それは当然得票に優位に働くだろう。インパクトという意味では命を賭けたクライミングに挑む様を追った「Free Solo」にも分があるが、アカデミー会員のジャッジやいかに。 |
短編ドキュメンタリー映画賞 |
◎ | Black Sheep |
◯ | End Game |
Lifeboat | |
A Night at the Garden | |
Period. End of Sentence. |
短編実写映画賞 |
Detainment | |
◯ | Fauve |
◎ | Marguerite |
Mother | |
Skin |