第94回アカデミー賞全部門ノミネーション予想

※◯がノミネート予想
※並びはアルファベット順

作品賞
pic_being 愛すべき夫妻の秘密(Amazon)
主演男優・主演女優・脚本(3部門)
belfast ベルファスト(フォーカス・フィーチャーズ) ◯
作品・監督・助演男優・脚本・編集(5部門)
coda コーダ あいのうた(Apple) ◯
作品・助演男優・助演女優・脚色・主題歌(5部門)
dontlookup ドント・ルック・アップ(Netflix) ◯
作品・脚本・編集(3部門)
drivemycar ドライブ・マイ・カー(ヤヌスフィルムズ) ◯
作品・監督・脚色・国際長編映画(4部門)
dune DUNE/デューン 砂の惑星(ワーナー) ◯
作品・監督・撮影・編集・美術・衣装・メイク・作曲・録音・視覚効果(10部門)
greenknight The Green Knight(A24)
kingrichard ドリームプラン(ワーナー) ◯
作品・主演男優・脚本・主題歌(4部門)
licoricepizza リコリス・ピザ(ユナイテッド・アーティスツ) ◯
作品・監督・主演女優・助演男優・脚本(5部門)
nightmarealley ナイトメア・アリー(ディズニー) ◯
作品・撮影・美術・衣装・メイク(5部門)
pig Pig(Neon)
powerofthedog パワー・オブ・ザ・ドッグ(Netflix) ◯
作品・監督・主演男優・助演男優・助演女優・脚色・撮影・編集・作曲・録音(10部門)
ticktick tick, tick…BOOM!:チック、チック、ブーン!(Netflix)
主演男優(1部門)
macbeth マクベス(Apple)
主演男優・撮影・美術(3部門)
westsidestory ウエスト・サイド・ストーリー(ディズニー) ◯
作品・助演女優・脚色・美術・衣装・録音(6部門)
考察① 前哨戦実績TOP5「パワー・オブ・ザ・ドッグ」「リコリス・ピザ」「ベルファスト」「ウエスト・サイド・ストーリー」「DUNE/デューン 砂の惑星」はノミネートほぼ当確。残る5席は流動的。
考察② 重要3賞(組合賞、ゴールデン・グローブ賞、ブロードキャスト映画批評家協会賞)全てにノミネートされているのは前述5作品に加え、「コーダ あいのうた」「ドリームプラン」「tick, tick…BOOM!:チック、チック、ブーン!」「ドント・ルック・アップ」の4作品。順当ならこの4作品がノミネート圏内。
考察③ 中でもアカデミー会員にファンが多いアダム・マッケイ監督「ドント・ルック・アップ」は上位。これまでもマッケイ監督作は前哨戦実績で劣りながらもアカデミー賞で結果を出している。
考察④ 「tick, tick…BOOM!:チック、チック、ブーン!」にとっては、同じNetflix作品「パワー・オブ・ザ・ドッグ」と「ドント・ルック・アップ」の存在がマイナスに働きそう。Netflixから作品賞ノミニー3本は多すぎる…と投票を敬遠される可能性。
考察⑤ 「コーダ あいのうた」はサンダンス映画祭で史上初の4冠達成という話題作。フランス映画のリメイクという点がどう影響するかだが、配給権を獲得したAppleの援護射撃は大きな追い風になる。
考察⑥ 同じようにAmazonからの援護射撃が得られる「愛すべき夫妻の秘密」にもチャンスあり。重要3賞では組合賞ノミネートだけだが、アメリカ人になじみの深いテレビ番組の内幕を描くとあって、会員の支持を得やすいか。
考察⑦ ここ3年連続で非英語をメインとする作品が作品賞にノミネートされているのは、日本映画「ドライブ・マイ・カー」にとって心強いデータ。非アメリカ人の会員が増えてきたことで確実に傾向が変わってきている。
考察⑧ 批評家賞では高い評価を得た「Pig」および「The Green Knight」だが、個性が強いインディペンデント映画ということでアカデミー賞では票が集まりにくそう。どちらかでもノミネートされたら大きなサプライズ。
考察⑨ オスカー受賞作「シェイプ・オブ・ウォーター」以来となるギレルモ・デル・トロ監督作「ナイトメア・アリー」は前哨戦実績こそ控え目だが、逆転の可能性を秘める強力なコンテンダー。常にマイノリティの立場から物語を綴ってきた監督が、弱者を食い物にする強者の視点で社会のあり方に異を唱える内容は、タイムリーな時代性を多分に含んでいるのが強み。

監督賞
pta ポール・トーマス・アンダーソン(リコリス・ピザ) ◯
kennethbranagh ケネス・ブラナー(ベルファスト) ◯
joelcohen ジョエル・コーエン(マクベス)
guillermo ギレルモ・デル・トロ(ナイトメア・アリー)
julia ジュリア・デュクルノー(TITANE チタン)
reinaldo レイナルド・マーカス・グリーン(ドリームプラン)
maggie マギー・ギレンホール(ロスト・ドーター)
hamaguchi 濱口竜介(ドライブ・マイ・カー) ◯
sianheder シアン・ヘダー(コーダ あいのうた)
janekampion ジェーン・カンピオン(パワー・オブ・ザ・ドッグ) ◯
davidlowery デヴィッド・ロウリー(The Green Knight)
linmanuel リン=マニュエル・ミランダ(tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!)
spielberg スティーヴン・スピルバーグ(ウエスト・サイド・ストーリー)
denis ドゥニ・ヴィルヌーヴ(DUNE/デューン 砂の惑星) ◯
考察① 前哨戦では上位5人が他を引き離す実績を残した。ジェーン・カンピオン(パワー・オブ・ザ・ドッグ)、ドゥニ・ヴィルヌーヴ(DUNE/デューン 砂の惑星)、ケネス・ブラナー(ベルファスト)、スティーヴン・スピルバーグ(ウエスト・サイド・ストーリー)、ポール・トーマス・アンダーソン(リコリス・ピザ)。順当ならこの5人がノミネートされる。
考察② 上位5人中、重要3賞(組合賞、ゴールデン・グローブ賞、ブロードキャスト映画批評家協会賞)を唯一コンプリートできなかったのはポール・トーマス・アンダーソン(リコリス・ピザ)。ゴールデン・グローブ賞のみノミネートから外れた。
考察③ 一方、アカデミー賞ノミネート投票締め切り後に発表された英国アカデミー賞では、ヴィルヌーヴ、ブラナー、スピルバーグの3人が落選する波乱。前哨戦での独走ほどには絶対的な存在ではないとも言える。
考察④ ドゥニ・ヴィルヌーヴ(DUNE)は、対象作が二部作の前編であることがどう評価されるかが鍵。同様のケースは「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソンで、三部作の二本目にあたる「二つの塔」ではノミネートを逃している。
考察⑤ 「ウエスト・サイド・ストーリー」はボックスオフィスで大苦戦したのが大きなマイナス要因。名作のリメイクに挑んだスピルバーグの功績は高く評価されているが、市場の反応がアカデミー会員に波及すると…?
考察⑥ その英国アカデミー賞でノミネートされた濱口竜介(ドライブ・マイ・カー)は上位5人を逆転する可能性が最も高いコンテンダー。前哨戦実績でも6番手につけており、逆転の可能性は十分にある。
考察⑦ ここ3年連続で非英語作品の監督がノミネートされているのは、濱口竜介監督にとっては心強いデータ。かねてからこの部門は外国人監督が結果を出しやすい傾向にある。
考察⑧ 女性監督が初めて2人ノミネートされた昨年に続き、今年も女性監督が強い。ノミネート当確のジェーン・カンピオンに続き、シアン・ヘダー(コーダ あいのうた)、マギー・ギレンホール(ロスト・ドーター)、ジュリア・デュクルノー(TITANE チタン)らがノミネートされる可能性。

主演男優賞
javierbardem ハヴィエル・バルデム(愛すべき夫妻の秘密) ◯
nicolascage ニコラス・ケイジ(Pig)
dicaprio レオナルド・ディカプリオ(ドント・ルック・アップ)
dinklage ピーター・ディンクレイジ(シラノ)
benedict ベネディクト・カンバーバッチ(パワー・オブ・ザ・ドッグ) ◯
andrew アンドリュー・ガーフィールド(tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!) ◯
oscarisaac オスカー・アイザック(The Card Counter)
nishijima 西島秀俊(ドライブ・マイ・カー)
joaquin ホアキン・フェニックス(カモン カモン)
simonrex サイモン・レックス(Red Rocket)
willsmith ウィル・スミス(ドリームプラン) ◯
denzel デンゼル・ワシントン(マクベス) ◯
考察① 前哨戦でほかを圧倒したTOP5がベネディクト・カンバーバッチ(パワー・オブ・ザ・ドッグ)、アンドリュー・ガーフィールド(tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!)、ウィル・スミス(ドリームプラン)、ニコラス・ケイジ(Pig)、デンゼル・ワシントン(マクベス)の5人。
考察② そのうち、ニコラス・ケイジ(Pig)以外は重要3賞(アメリカ俳優組合賞、ゴールデン・グローブ賞、ブロードキャスト映画批評家協会賞)をコンプリートしており、ノミネートはかなり堅いと言えそう。
考察③ アメリカ俳優組合賞でニコラス・ケイジに代わりノミネートされたのは、ハヴィエル・バルデム(愛すべき夫妻の秘密)。バルデムは国際長編映画賞でスペイン代表に選ばれた「The Good Boss」にも主演しており、総合評価も期待できる。
考察④ 重要3賞のうち2賞でノミネートされたピーター・ディンクレイジ(シラノ)も有力なコンテンダー。大人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」で知名度を高めたことも得票にプラスになりそう。
考察⑤ 前哨戦では振るわなかったが、レオナルド・ディカプリオ(ドント・ルック・アップ)も逆転候補。これまで演じてきた役柄とは一線を画す冴えない学者役はインパクト十分。業界内の支持の厚さは大きな武器に。
考察⑥ 同じく、これまで演じてきた役柄とは正反対のおだやかな一面を見せたホアキン・フェニックス(カモン カモン)にも逆転のチャンス。あの映画を観たら、ホアキンとウッディ・ノーマンの2人に投票せずにはいられなくなる。
考察⑦ 西島秀俊(ドライブ・マイ・カー)は前哨戦で2つの賞を受賞し、オスカーノユクエ集計によるポイントランキングでは堂々の9番手につけている。もしノミネートされれば日本人俳優として初の快挙となるが、ハードルは果てしなく高い。

主演女優賞
jessicachastain ジェシカ・チャステイン(タミー・フェイの瞳) ◯
oliviacoleman オリヴィア・コールマン(ロスト・ドーター) ◯
malion マリオン・コティヤール(アネット)
penelopecruz ペネロペ・クルス(Parallel Mothers)
gaga レディー・ガガ(ハウス・オブ・グッチ) ◯
alanahaim アラナ・ハイム(リコリス・ピザ) ◯
jenniferhudson ジェニファー・ハドソン(リスペクト)
emiliajones エミリア・ジョーンズ(コーダ あいのうた)
nicolekidman ニコール・キッドマン(愛すべき夫妻の秘密) ◯
jenniferlawrence ジェニファー・ローレンス(ドント・ルック・アップ)
renate レナーテ・レインスヴェ(The Worst Person in the World)
agathe アガット・ルーセル(TITANE チタン)
kristenstewart クリステン・スチュワート(スペンサー)
tessa テッサ・トンプソン(PASSING 白い黒人)
rachelzegler レイチェル・ゼグラー(ウエスト・サイド・ストーリー)
考察① 前哨戦で他を圧倒する独走を見せたクリステン・スチュワート(スペンサー)が、最重要視されるアメリカ俳優組合で落選するというビッグサプライズ。受賞まで手が届くかと思われていた最有力候補がノミネートすら怪しい状況に追い込まれた。過去にあまり例のないレアケースで取捨が非常に難しい。
考察② 重要3賞をコンプリートしたのはオリヴィア・コールマン(ロスト・ドーター)、ジェシカ・チャステイン(タミー・フェイの瞳)、レディー・ガガ(ハウス・オブ・グッチ)、ニコール・キッドマン(愛すべき夫妻の秘密)の4人。
考察③ チャステイン、ガガ、キッドマンの3人はいずれも実在の人物を演じており、特殊メイクも駆使した変身ぶりでインパクトは大きい。演技賞部門では実在の人物を演じるコンテンダーのほうが評価されやすい傾向あり。
考察④ オリヴィア・コールマンは「女王陛下のお気に入り」ですでに主演女優賞を受賞済み。そのときに見せたチャーミングな受賞スピーチは語り草になるほどで、会員内にもファンが多数。実はもっともノミネート確実と言えるかも。
考察⑤ 若手女優の躍進にも注目。アラナ・ハイム(リコリス・ピザ)、レイチェル・ゼグラー(ウエスト・サイド・ストーリー)、エミリア・ジョーンズ(コーダ あいのうた)も初ノミネートを狙う。前哨戦でもっとも実績を残したのはハイムだが、ゼグラーとジョーンズにも逆転のチャンスはある。
考察⑥ 最重要アメリカ俳優組合にノミネートされたジェニファー・ハドソン(リスペクト)も強力なコンテンダー。圧倒的な歌唱力で実在の人気歌手アレサ・フランクリンを演じ、二度目のオスカーを狙う。
考察⑦ 非英語作品に主演したレナーテ・レインスヴェ(The Worst Person in the World)、ペネロペ・クルス(Parallel Mothers)、アガット・ルーセル(TITANE チタン)の2人にも注目。各地の批評家賞で多くの実績を残したレインスヴェはノミネートの資格十分。

助演男優賞
benafflek ベン・アフレック(僕を育ててくれたテンダー・バー)
jonbernthal ジョン・バーンサル(ドリームプラン)
bradleycooper ブラッドリー・クーパー(リコリス・ピザ) ◯
colmandomingo コールマン・ドミンゴ(Zola)
jamiedornan ジェイミー・ドーナン(ベルファスト)
mikefeist マイク・フェイスト(ウエスト・サイド・ストーリー)
robindejesus ロビン・デ・ヘスス(tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!)
ciaranhinds シアラン・ハインズ(ベルファスト) ◯
jasonisaacs ジェイソン・アイザックス(Mass)
troykotzer トロイ・コッツァー(コーダ あいのうた) ◯
jaredleto ジャレッド・レト(ハウス・オブ・グッチ)
kodi コディ・スミット=マクフィー(パワー・オブ・ザ・ドッグ) ◯
woodynorman ウッディ・ノーマン(カモン カモン) ◯
jesseplemons ジェシー・プレモンス(パワー・オブ・ザ・ドッグ)
jksimmons J・K・シモンズ(愛すべき夫妻の秘密)
jeffreywright ジェフリー・ライト(フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊)
考察① 前哨戦で圧倒的な強さを見せたのはコディ・スミット=マクフィー(パワー・オブ・ザ・ドッグ)。2位にダブルスコア近い差をつけてオスカー像に最も近い位置にいる。ノミネートは確実。
考察② 重要3賞をコンプリートしたのはコディ・スミット=マクフィーとトロイ・コッツァー(コーダ あいのうた)の2人だけ。他の演技賞と比べて票が割れている印象。
考察③ 重要3賞のうちゴールデン・グローブ賞とブロードキャスト映画批評家協会賞でノミネートされていた「ベルファスト」組(シアラン・ハインズ、ジェイミー・ドーナン)がともにアメリカ俳優組合で落選するというサプライズ。巻き返せるか。
考察④ 逆に批評家賞では名前が挙がらなかったものの、アメリカ俳優組合とゴールデン・グローブ賞の重要2賞でノミネートされたのがベン・アフレック(僕を育ててくれたテンダー・バー)。近年もバットマン役をめぐる騒動など苦労話が絶えず、俳優仲間からの同情票も?
考察⑤ アカデミー賞とラジー賞のダブルノミネートが噂されるのがジャレッド・レト(ハウス・オブ・グッチ)。昨年もグレン・クローズ(ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌)がこの栄誉ある?快挙を達成したばかり。
考察⑥ ジェフリー・ライト(フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊)も前哨戦で実績を残したひとり。ただ、ウェス・アンダーソン作品からはこれまでアカデミー賞演技賞部門にひとりのノミニーも送りこんでいないのが気になるところ。
考察⑦ ブラッドリー・クーパー(リコリス・ピザ)は前哨戦の前半戦ではそれほど目立たなかったが、アメリカ俳優組合にノミネートされたことで一躍トップコンテンダーに。俳優仲間からの支持も厚く、ノミネートまではほぼ堅いか。
考察⑧ 作品の評価の高さが得票を後押ししそうなのが、ジェシー・プレモンス(パワー・オブ・ザ・ドッグ)、マイク・フェイスト(ウエスト・サイド・ストーリー)、ロビン・デ・ヘスス(tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!)あたり。特にプレモンスは近年の活躍めざましく、逆転候補があってもおかしくない。
考察⑨ 個人的に推したいのがウッディ・ノーマン(カモン カモン)。現在11歳の子役だが、オスカー俳優ホアキン・フェニックスを相手に堂々たる演技を披露した。1999年のハーレイ・ジョエル・オスメント(シックス・センス)以降、子役のノミネートはなくハードルは高いが、23年ぶりの快挙に期待したい。

助演女優賞
katrinabalfe カトリーナ・バルフ(ベルファスト)
cateblanchett ケイト・ブランシェット(ナイトメア・アリー)
jessebuckley ジェシー・バックリー(ロスト・ドーター) ◯
anndowd アン・ダウド(Mass)
ariana アリアナ・デボーズ(ウエスト・サイド・ストーリー) ◯
judidench ジュディ・デンチ(ベルファスト)
kirstendunst キルスティン・ダンスト(パワー・オブ・ザ・ドッグ) ◯
aunjanueellis アーンジャニュー・エリス(ドリームプラン)
gabbyhoffman ギャビー・ホフマン(カモン カモン)
marleematlin マーリー・マトリン(コーダ あいのうた) ◯
ritamoreno リタ・モレノ(ウエスト・サイド・ストーリー)
ruthnegga ルース・ネッガ(PASSING -白い黒人-) ◯
考察① 重要3賞をコンプリートしたのはアリアナ・デボーズ(ウエスト・サイド・ストーリー)、キルスティン・ダンスト(パワー・オブ・ザ・ドッグ)、ルース・ネッガ(PASSING 白い黒人)、カトリーナ・バルフ(ベルファスト)の4人。
考察② 作品パワーが強いアリアナ・デボーズ(ウエスト・サイド・ストーリー)とキルスティン・ダンスト(パワー・オブ・ザ・ドッグ)はほぼ当確とみてよさそうだが、それ以外の3席は流動的か。
考察③ ナショナル・ボード・オブ・レビューの受賞で幸先よくスタートダッシュしたアーンジャニュー・エリス(ドリームプラン)だが、アメリカ俳優組合賞で落選する波乱。知名度の面でハンデを背負っているだけに不安が残る。
考察④ アメリカ俳優組合賞でサプライズノミネートされたのがケイト・ブランシェット(ナイトメア・アリー)。主人公を惑わすファム・ファタールをさすがの貫禄で演じており、オスカー候補があっても驚かない。
考察⑤ 「ウエスト・サイド・ストーリー」組からはリタ・モレノの逆転候補も。スピルバーグのオリジナルへの愛の象徴的な存在として見せ場をさらう。年齢層の高い会員たちから多くの得票がありそう。
考察⑥ すでにオスカー受賞の実績あるマーリー・マトリン(コーダ あいのうた)にも再びスポットライト。健聴者の娘を育てるろうかの母親役で観客の涙を誘った。父親役のトロイ・コッツァーと並んでノミネートの可能性も十分。
考察⑦ 個人的な推しはジェシー・バックリー(ロスト・ドーター)。育児とキャリアの間で揺れ動く若き母親の苦悩は、女性のみならず多くの共感を呼びそう。今にも壊れそうな狂気を孕んだ内面描写は見事というほかない。
考察⑧ もうひとりの推しはギャビー・ホフマン(カモン カモン)。こちらも育児に悩む母親役だが、キャリアを調べて驚いた。この方、「フィールド・オブ・ドリームス」でケヴィン・コスナーの娘として出演していたあの子役!たしかに面影あります。
考察⑨ ブロードキャスト映画批評家協会賞など各地の批評家賞で高い評価を得たアン・ダウド(Mass)にも要注目。前哨戦ポイントランキングでは堂々の6番手。対象作がマイナーで票が集まりにくそうなのがネックだが…。

脚本賞
愛すべき夫妻の秘密 ◯
ベルファスト ◯
The Card Counter
カモン カモン
ドント・ルック・アップ ◯
ドリームプラン ◯
フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊
英雄の証明
リコリス・ピザ ◯
Mass
ミッチェル家とマシンの反乱
Parallel Mothers
Pig
Red Rocket
TITANE チタン
The Worst Person in the World
考察
前哨戦最上位は「リコリス・ピザ」。ポール・トーマス・アンダーソンは特にこの部門で強く、ノミネートまでは当確と言ってよさそう。
ケネス・ブラナーが自身の幼少期を描いた「ベルファスト」もノミネートは堅そう。アメリカ脚本家組合賞は未エントリーのためノミネートには名を連ねていないが、その他の前哨戦では取りこぼしなく実績を残している。
賛否は割れたものの、アダム・マッケイの「ドント・ルック・アップ」も重要3賞をコンプリートしており、ノミネートまではいけそう。アカデミー会員にファンが多いのも強力な追い風。
同じく重要3賞コンプリートした「愛すべき夫妻の秘密」も有力。脚本・監督を手がけたアーロン・ソーキンはこの部門の常連。脚本・脚色賞通じて5度目のノミネートを狙う。
組合賞、ブロードキャスト映画批評家協会賞でノミネートされた「ドリームプラン」もノミネート圏内。誰もが知る有名テニスプレイヤーの物語というのも有利に働きそう。
各地の批評家賞で高く評価された「Mass」「Pig」「カモン カモン」は作品の知名度が大きなネック。ノミネートを勝ち取るには配給会社の強力な後押しが必要となる。
巨匠による非英語作品「英雄の証明」「Parallel Mothers」にもチャンス。アスガー・ファルハディは「別離」で、ペドロ・アルモドバルは「トーク・トゥ・ハー」でそれぞれ脚本賞ノミネート経験がある。

脚色賞
コーダ あいのうた ◯
シラノ
ドライブ・マイ・カー ◯
DUNE/デューン 砂の惑星
The Green Knight
イン・ザ・ハイツ
最後の決闘裁判
ロスト・ドーター ◯
ナイトメア・アリー
PASSING 白い黒人
パワー・オブ・ザ・ドッグ ◯
サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)
tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!
マクベス
ウエスト・サイド・ストーリー ◯
考察
作品賞部門でも最有力視される「パワー・オブ・ザ・ドッグ」がこの部門でも独走状態。アメリカ脚本家組合賞は未エントリーのためノミネートに名を連ねていないが、その他の賞はほぼ独占状態。
前哨戦ではその「パワー・オブ・ザ・ドッグ」に次ぐ実績を残したのが日本映画「ドライブ・マイ・カー」。重要3賞には名前が挙がらなかったが、各地の批評家賞で圧倒的な高評価で迎えられた。
オリジナルのフランス映画から大胆な飛躍を遂げた「コーダ あいのうた」も前哨戦で大活躍。キャストの好演も相まってシナリオの力強さにも評価が集まっている。
取捨が難しいのが「DUNE/デューン 砂の惑星」。二部作の前編にあたり、物語も完全に中断という作りなので、1本の映画としては評価しづらいというのが本当のところか。投票者はどう判断する?
活躍中の女優が手がけた2本の脚本が話題。マギー・ギレンホール「ロスト・ドーター」とレベッカ・ホール「PASSING 白い黒人」はどちらもノミネート圏内。前哨戦でより多くの実績を残した前者が有利か。
ピューリッツァー賞作家トニー・クシュナーが手がけた「ウエスト・サイド・ストーリー」は市場での不人気がどう影響するか。同じスピルバーグ作品「ミュンヘン」「リンカーン」でもオスカー候補の実績があり、順当ならノミネートも十分だが…。
組合賞にノミネートされた「tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!」と「ナイトメア・アリー」も有力候補。個人的には現代批評の視点も豊富な後者を推したい。

撮影賞
ベルファスト
カモン カモン
DUNE/デューン 砂の惑星 ◯
フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊
The Green Knight
イン・ザ・ハイツ
マクベス ◯
ラストナイト・イン・ソーホー
ナイトメア・アリー ◯
PASSING 白い黒人
パワー・オブ・ザ・ドッグ ◯
スペンサー
tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!
ウエスト・サイド・ストーリー ◯
考察
テクニカルに寄った撮影が評価される近年の傾向からしても、「DUNE/デューン 砂の惑星」優位は動かず。ノミネートはまず間違いなさそう。
「パワー・オブ・ザ・ドッグ」は前哨戦でも最上位。撮影監督アリ・ウェグナーがこの部門で女性として史上2人目となるノミネートの快挙となりそう。
取捨が難しいのがモノクロ作品「マクベス」「ベルファスト」「PASSING 白い黒人」の3本。いずれも前哨戦で好位につけたが、中でも高評価だった「マクベス」がノミニーに一番近いか。近年、特にモノクロ撮影の評価が高くなる傾向があり、この3年で2度受賞している。2018年には2本のモノクロ作品がノミネートされたが、今年も複数ノミネートとなるようなら「ベルファスト」にもチャンスがある。

編集賞
ベルファスト ◯
クルエラ
ドント・ルック・アップ ◯
ドライブ・マイ・カー
DUNE/デューン 砂の惑星 ◯
フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊
イン・ザ・ハイツ
ドリームプラン
最後の決闘裁判
ラストナイト・イン・ソーホー
リコリス・ピザ
007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
パワー・オブ・ザ・ドッグ ◯
サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時) ◯
tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!
ウエスト・サイド・ストーリー
考察
前哨戦でも実績上位の「パワー・オブ・ザ・ドッグ」「DUNE/デューン 砂の惑星」「ベルファスト」は作品の強さもありノミネートは堅いか。
「ウエスト・サイド・ストーリー」は組合賞でノミネートを逃したのが不安材料。長尺の物語をテンポよくまとめた功績は評価されるべきだが…?
変化球の編集という意味では「ドント・ルック・アップ」が目立つ存在。セリフが終わらないうちに場面転換させるなど、セオリーに逆らった手法でユーモアを演出している。
ドキュメンタリー映画「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)」にも大きなチャンス。作品に対する圧倒的支持ぶりを見ると、長編ドキュメンタリー映画賞部門の枠を超えて評価されそうな気配。

美術賞
ベルファスト
キャンディマン
クルエラ
ドント・ルック・アップ
DUNE/デューン 砂の惑星 ◯
フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊 ◯
ゴーストバスターズ アフターライフ
The Green Knight
イン・ザ・ハイツ
リコリス・ピザ
ラストナイト・イン・ソーホー
ロスト・ドーター
ナイトメア・アリー ◯
007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
パワー・オブ・ザ・ドッグ
シャン・チー テン・リングスの伝説
スペンサー
マクベス ◯
ウエスト・サイド・ストーリー ◯
考察
前哨戦上位は「DUNE/デューン 砂の惑星」「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」「ナイトメア・アリー」「ウエスト・サイド・ストーリー」の4本。いずれも美術/セットが作品の顔とも言える存在感。
大きくピリオド(歴史もの)、コンテンポラリー(現代もの)、ファンタジーの3種類に分類した場合、この部門で近年圧倒的な実績を残しているのがピリオド作品。史実に忠実に、あるいは史実をもとに想像力を羽ばたかせた美術/セットが高く評価される傾向にある。
「マクベス」はピリオド作品のカテゴリーにありながら、想像力豊かなセットが印象的。装飾が一切ないミニマムなデザインがどう評価されるか。

衣装デザイン賞
ベルファスト
星の王子ニューヨークへ行く2
クルエラ ◯
DUNE/デューン 砂の惑星 ◯
フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊
The Green Knight
ザ・ハーダー・ゼイ・フォール:報復の荒野
ハウス・オブ・グッチ ◯
最後の決闘裁判/td>
ラストナイト・イン・ソーホー
ナイトメア・アリー ◯
パワー・オブ・ザ・ドッグ
スペンサー
シラノ
ウエスト・サイド・ストーリー ◯
考察
美術賞との関連性も深いこの部門。美術賞部門で有力視される「DUNE/デューン 砂の惑星」「ウエスト・サイド・ストーリー」「ナイトメア・アリー」の3本はこの部門でも存在感を発揮しそう。
「クルエラ」は衣装デザイナーを目指す主人公が奇抜で卓越した作品を披露するという筋書きだけに、見た目麗しい絢爛な衣装が多数登場。筋書きに十分な説得力を与えた功績は大きい。
セレブリティたちの豪華な衣装を再現した「ハウス・オブ・グッチ」も有力候補。映画の主な舞台となった1980〜90年代の空気をとらえた衣装の数々は間違いなく映画の主役となった。

作曲賞
ドント・ルック・アップ
DUNE/デューン 砂の惑星 ◯
ミラベルと魔法だらけの家 ◯
フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊 ◯
The Green Knight
ザ・ハーダー・ゼイ・フォール:報復の荒野 ◯
最後の決闘裁判
007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
Parallel Mothers
パワー・オブ・ザ・ドッグ ◯
スペンサー
マクベス
考察
前哨戦でしのぎを削ったのが「DUNE/デューン 砂の惑星」と「パワー・オブ・ザ・ドッグ」の2本。両作品が他を圧倒する独走を見せており、本番でも受賞を争うことになりそう。
その「パワー・オブ・ザ・ドッグ」を手がけたジョニー・グリーンウッドは、もう1本「スペンサー」でも高く評価されている。2本同時のノミネートも可能性は十分。
過去11度ノミネート、2度受賞の実績を誇るアレクサンドル・デスプラが今年も「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」で参戦。ウェス・アンダーソン監督作では過去3度ノミネートされていて相性も抜群。
ピクサー/ディズニーアニメ作品もこの部門で実績多数。昨年も「ソウルフル・ワールド」が受賞している。前編が音楽で彩られた「ミラベルと魔法だらけの家」も当然有力。
前哨戦実績ではやや劣るものの、黒人スター勢揃いのNetflix作品「ザ・ハーダー・ゼイ・フォール:報復の荒野」が最大の逆転候補。監督のジェイムズ・サミュエル自身が手がけた音楽は高く評価されている。

主題歌賞
“So May We Start”(アネット)
“Down to Joy”(ベルファスト)
“Right Where I Belong”(Brian Wilson: Long Promised Road)
“Automatic Woman”(ブルーズド 打ちのめされても)
“Dream Girl”(シンデレラ)
“Beyond the Shore”(コーダ あいのうた) ◯
“The Anonymous Ones”(ディア・エヴァン・ハンセン)
“Just Look Up”(ドント・ルック・アップ)
“Dos Oruguitas”(ミラベルと魔法だらけの家) ◯
“Somehow You Do”(Four Good Days)
“Guns Go Bang”(ザ・ハーダー・ゼイ・フォール:報復の荒野) ◯
“Be Alive”(ドリームプラン) ◯
“No Time to Die”(007/ノー・タイム・トゥ・ダイ) ◯
“Here I Am (Singing My Way Home)”(リスペクト)
“Somehow You Do”(Four Good Days)
考察
前哨戦実績No.1は“No Time to Die”(007/ノー・タイム・トゥ・ダイ)。「007」主題歌はここ2作続けて同賞を受賞しており、今回も最有力と言ってよさそう。
人気曲が多数の「ミラベルと魔法だらけの家」からは、”Dos Oruguitas”(ミラベルと魔法だらけの家)がエントリー。サントラが全米アルバムチャートで1位を獲得するなど大ヒット。多数の曲がビルボードでランクインしており、総合力でビリー・アイリッシュを逆転する可能性も十分。
今年も有名シンガーたちが歌う楽曲がずらり。ビヨンセー“Be Alive”(ドリームプラン)、U2ー“Your Song Saved My Life”(SING シング:ネクストステージ)、アリアナ・グランデー“Just Look Up”(ドント・ルック・アップ)など。有名シンガーの知名度は得票に大きく貢献するだろう。
「コーダ あいのうた」で主演のエミリア・ジョーンズが歌う主題歌は、映画の感動を2倍3倍増しにする名曲。有名シンガーたちが歌う競合曲のなかでは目立たない存在だが、作品のファンから多くの得票が期待できそう。
昨年、この部門で受賞したH.E.R.の新曲“Automatic Woman”(ブルーズド 打ちのめされても)もエントリー。ただ、作品パワーが弱いのは大きなマイナス。

音響賞
ベルファスト
DUNE/デューン 砂の惑星 ◯
ラストナイト・イン・ソーホー
マトリックス レザレクションズ
007/ノー・タイム・トゥ・ダイ ◯
パワー・オブ・ザ・ドッグ ◯
クワイエット・プレイス 破られた沈黙
スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム ◯
tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!
ウエスト・サイド・ストーリー ◯
考察
昨年から録音賞と音響編集賞がひとつの賞に統一。“音”に関する技術はこの部門で総合的に評価されることになった。
前哨戦で一番の実績を残したのは「DUNE/デューン 砂の惑星」。この部門は近年ファンタジー作品が実績を残しにくい傾向にあるが、SFジャンルの本作はそのハンデを覆せるか。
ミュージカルまたは音楽を題材にした作品が結果を残している部門だけに、「ウエスト・サイド・ストーリー」「tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!」には有利に働きそう。
「ダンケルク」「1917 命をかけた伝令」など戦争映画にも有利な部門だが、今年は該当作がない。

メイクアップ&ヘアスタイリング賞
星の王子ニューヨークへ行く2 ◯
クルエラ ◯
シラノ
DUNE/デューン 砂の惑星 ◯
タミー・フェイの瞳 ◯
ハウス・オブ・グッチ ◯
ナイトメア・アリー
007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結
ウエスト・サイド・ストーリー
考察
前哨戦をリードしたのは「クルエラ」「タミー・フェイの瞳」「DUNE/デューン 砂の惑星」「ハウス・オブ・グッチ」の4本。組合賞および各地の批評家賞で共通して評価されている4本で、ノミネートに近いトップコンテンダーと見てよさそう。
「星の王子ニューヨークへ行く2」は1988年の一作目もこの部門でノミネートを受けている。エディ・マーフィーおよびアーセニオ・ホールの七変化も作品の見所のひとつで、メイクアップが大きく貢献している。

視覚効果賞
ブラック・ウィドウ
DUNE/デューン 砂の惑星 ◯
エターナルズ
フリー・ガイ
ゴーストバスターズ アフターライフ
ゴジラvsコング
マトリックス レザレクションズ ◯
007/ノー・タイム・トゥ・ダイ ◯
シャン・チー テン・リングスの伝説 ◯
スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム ◯
考察
MCU作品や「スター・ウォーズ」などの超ヒット作が受賞しにくい傾向が顕著になってきた同部門では、派手さよりも新しさが重視される。今年も多くの超ヒット作がエントリーしているが、意外と厳しい戦いを強いられることになるかもしれない。
一次選考を突破した10作品のうち、MCU作品が実に4本。ノミネートは多くても2本までか。前哨戦実績どおりなら「シャン・チー」と「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」が有力。

国際長編映画賞
greatfreedom Great Freedom(オーストリア)
playground Playground(ベルギー)
lunana ブータン 山の教室(ブータン)
flee Flee(デンマーク) ◯
compartment6.jpg Compartment No. 6(フィンランド)
imyourman アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド(ドイツ)
lamb Lamb(アイスランド)
ahero 英雄の証明(イラン) ◯
handofgod The Hand of God(イタリア) ◯
drivemycar ドライブ・マイ・カー(日本) ◯
hive Hive(コソヴォ)
prayersforthestolen Prayers for the Stolen(メキシコ)
worst The Worst Person in the World(ノルウェー) ◯
plazacatedral Plaza Catedral(パナマ)
goodboss The Good Boss(スペイン)
考察① 前哨戦をぶっちぎった「ドライブ・マイ・カー」のノミネートは堅い。受賞もほぼ手中におさめたと言って過言でない状況で、ノミネートを外れることはまずない。
考察② 前哨戦で2番手につけたのはノルウェーの「The Worst Person in the World」。「ドライブ・マイ・カー」同様、カンヌ国際映画祭に出品され、主演のレナーテ・レインスヴェが女優賞を獲得している。
考察③ Netflixの「The Hand of God」が3番手。監督のパオロ・ソレンティーノは「グレート・ビューティー/追憶のローマ」で外国語映画賞を受賞済み。配信で観やすい環境にあるのは大きな強み。
考察④ アカデミー賞実績という点では抜きん出ているアスガー・ファルハディ監督「英雄の証明」もさすがの存在感。前哨戦実績では5番手につけている。知名度は抜群で、今回もノミネートまでは堅いか。
考察⑤ デンマーク代表「Flee」は今年一番の変わり種。アニメーション作品でありながらドキュメンタリー作品でもあり、今年のアカデミー賞でも国際長編映画賞、長編アニメーション映画賞、長編ドキュメンタリー映画賞の3部門で同時ノミネートを期待されている。もし実現すれば史上初の快挙だ。
考察⑥ 前哨戦実績では劣るものの、常連国ドイツ代表「アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド」、スペイン代表「The Good Boss」が一次選考を突破。逆転のノミネートがあっても不思議はない。

長編アニメーション映画賞
ryuusoba 竜とそばかすの姫
bossbaby2 ボス・ベイビー ファミリー・ミッション
encanto ミラベルと魔法だらけの家 ◯
flee.jpg Flee ◯
luca あの夏のルカ ◯
mitchell ミッチェル家とマシンの反乱 ◯
mysunnymaad My Sunny Maad
raya ラーヤと龍の王国 ◯
ron.jpg ロン 僕のポンコツ・ボット
sing2 SING シング:ネクストステージ
kamigami 神々の山嶺
vivo ビーボ
考察① 前哨戦でNo.1の実績を残したのはNetflix「ミッチェル家とマシンの反乱」。同部門の受賞作「スパイダーマン:スパイダーバース」製作陣による新作とあってクオリティは折り紙付き。ピクサー、ディズニーら強豪ライバルを蹴散らすことができるか。
考察② 国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー映画賞部門でも有力視される「Flee」が前哨戦実績2番手。非英語作品でありドキュメンタリー作品であるという異色ぶりがどう評価されるか。
考察③ ピクサー/ディズニーアニメは今年も強い。「ミラベルと魔法だらけの家」「あの夏のルカ」「ラーヤと龍の王国」が前哨戦実績で3〜5番手を独占した。いずれも劇場&配信の同時リリースもしくは配信のみのリリースとなったことがどう影響するか。
考察④ ディズニー組への偏りが敬遠された場合、ユニバーサル配給「SING シング:ネクストステージ」に票が集まりそう。ただ、一作目はノミネートされていない。
考察⑤ 日本勢ではやはり「竜とそばかすの姫」が最もノミネートの可能性が高い。細田守監督作は前作「未来のミライ」がノミネートを果たしており、アカデミー会員間の知名度も高まっている。

短編アニメーション映画賞
Affairs of the Art
Angakusajaujuq: The Shaman’s Apprentice
Bad Seeds
Bestia
ボクシングバレー
Flowing Home
Mum Is Pouring Rain
The Musician
Namoo ◯
Only a Child ◯
ことりのロビン ◯
Souvenir Souvenir
Step into the River
あの頃をもう一度 ◯
The Windshield Wiper ◯

長編ドキュメンタリー映画賞
ascention Ascension ◯
attica Attica
billieeilish ビリー・アイリッシュ:世界は少しぼやけている
fayadayi Faya Dayi
thefirstwave The First Wave ◯
flee Flee ◯
inthesamebreath COVID-19 2つの大国の過ち / IN THE SAME BREATH
julia Julia
president President
procession プロセッション 救済への行進
therescue THE RESCUE/奇跡を起こした者たち ◯
simpleaswater Simple as Water
summerofsoul.jpg サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時) ◯
velvetunderground ヴェルヴェット・アンダーグラウンド
writingwithfire 燃え上がる記者たち
考察① 前哨戦で他に圧倒的な大差をつけたのが「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放送されなかった時)」。昨年のアカデミー賞授賞式で音楽監督を務めたクエストラブが監督した本作は、Black Lives Matter文脈における重要作として高く評価されている。
考察② デンマークの異色作「Flee」がここでも前哨戦実績2番手の好位置。国際長編映画賞、長編アニメーション映画賞との3部門同時ノミネートも決して夢ではない。快挙達成に期待。
考察③ 前哨戦実績3番手の「THE RESCUE/奇跡を起こした者たち」は2018年にタイで起きた洞窟遭難事故の舞台裏に迫った作品。奇跡の救出劇がどのように実現したのか、詳細に解説されている。
考察④ コロナ関連では「The First Wave」と「COVID-19 2つの大国の過ち / IN THE SAME BREATH」の2作品が有力視されている。タイムリーな題材という意味ではアカデミー会員間でも大きな注目を集めることになりそう。

短編ドキュメンタリー映画賞
Águilas
オーディブル: 鼓動を響かせて ◯
A Broken House
Camp Confidential: America’s Secret Nazis
Coded: The Hidden Love of J. C. Leyendecker
Day of Rage
The Facility
私の帰る場所 ◯
Lynching Postcards: ‘Token of A Great Day’/td>
The Queen of Basketball ◯
Sophie and the Baron ◯
Takeover
Terror Contagion
ベナジルに捧げる3つの歌 ◯
When We Were Bullies

短編実写映画賞
Ala Kachuu – Take and Run
Censor of Dreams
The Criminals
Distances
The Dress
Frimas ◯
あのクリスマス
The Long Goodbye ◯
On My Mind
Please Hold
Stenofonen ◯
Tala’vision
天空の下で ◯
When the Sun Sets ◯
You’re Dead Helen

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