作品賞 | 監督賞 | 主演男優賞 | 主演女優賞 | 助演男優賞 | 助演女優賞
脚本賞 | 脚色賞 | 撮影賞| 編集賞 | 美術賞 | 衣装デザイン賞
メイクアップ&ヘア賞 | 作曲賞 | 主題歌賞 | 音響賞 | 視覚効果賞
国際長編映画賞 | 長編アニメーション映画賞 | 長編ドキュメンタリー映画賞
短編アニメーション映画賞 | 短編ドキュメンタリー映画賞 | 短編実写映画賞
脚本賞 | 脚色賞 | 撮影賞| 編集賞 | 美術賞 | 衣装デザイン賞
メイクアップ&ヘア賞 | 作曲賞 | 主題歌賞 | 音響賞 | 視覚効果賞
国際長編映画賞 | 長編アニメーション映画賞 | 長編ドキュメンタリー映画賞
短編アニメーション映画賞 | 短編ドキュメンタリー映画賞 | 短編実写映画賞
※並びは米予想サイトGold Derbyでの人気順
作品賞 |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(70%):「エブエブ」 ゴールデン・グローブ賞(50%):「フェイブルマンズ」「イニシェリン島の精霊」 クリティクス・チョイス・アワード(30%):「エブエブ」 英国アカデミー賞(30%):「西部戦線異状なし」 |
特殊な投票方式がどう影響する? 1位の作品だけに投票するのではなく、1位〜10位まで順位をつけて投票するという方式。1位に選ぶ人も多いが下位に選ぶ人も多いという好き嫌いの分かれる作品よりも、2位3位に選ぶ人が多い平均点の高い作品が受賞する傾向。昨年も批評家に愛された「パワー・オブ・ザ・ドッグ」ではなく、みんなが大好きな「コーダ あいのうた」が選ばれている。好き嫌いが分かれそうな「エブエブ」には不利に働くかも? |
トロント国際映画祭 観客賞 過去10年で「ノマドランド」「グリーンブック」「それでも夜は明ける」がオスカー受賞。今年の勝者は「フェイブルマンズ」。 |
女性が主人公の作品 「ノマドランド」「コーダ あいうのうた」と女性を主人公にした映画がここ2年続けて作品賞を受賞。今年は「エブエブ」「TAR」「ウーマン・トーキング」が対象。 |
最多ノミネート作品の強みは? 過去10年で最多ノミネート作品が作品賞を受賞したのは2回のみ。もはや最多ノミネート=作品賞本命ではなく、むしろ確率は低い。最多ノミニーの「エブエブ」にはありがたくないデータ。 「パワー・オブ・ザ・ドッグ」12−1 「Mank/マンク」 10−2 「ジョーカー」14−2 「ROMA」10−3「女王陛下のお気に入り」10−1 ◎「シェイプ・オブ・ウォーター」13−4 「ラ・ラ・ランド」14−6 「レヴェナント: 蘇えりし者」12−3 ◎「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」9-4「グランド・ブダペスト・ホテル」9-4 「アメリカン・ハッスル」10-0「ゼロ・グラビティ」10-7 「リンカーン」12−2 |
監督賞ノミネートなしだとノーチャンス? 監督賞ノミネートなしでの作品賞受賞は94回の歴史のなかでたったの6回のみだが、うち3回はこの10年の間に起きている。もはや必須条件ではない。 「つばさ」(1927/28) 「グランドホテル」 (1931/32) 「ドライビング・Miss・デイジー」(1989) 「アルゴ」(2012) 「グリーンブック」(2018) 「コーダ」(2021) |
続編作品が受賞する可能性は? 続編が作品賞にノミネートされたのは今回で8回目&9回目。うち受賞は2回。1作目がノミネートされず2作目が受賞した例はない。 「聖メリーの鐘」 ◎「ゴッドファーザー PART II」 「ゴッドファーザー PART III」 「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」 ◎「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」 「トイ・ストーリー3」 「マッドマックス:怒りのデス・ロード」 ?「トップガン マーヴェリック」 ?「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」 |
メジャー配給会社は劣勢 過去20年、メジャースタジオが配給した作品の受賞は5回だけ。独立系配給会社のほうがはっきりと優位に立っている。 |
興行収入は少ないほうが有利 作品賞受賞作の平均興行収入は年々下がっている。1990年代には1億9000万ドルだったが、2010年代は6900万ドルに下がり、2020年代の直近2作品はたったの185万ドル(370万ドルの「ノマドランド」と0ドルの「コーダ」)。市場全体の興収は右肩上がりだが、アカデミー賞で評価される作品は興収が低いものになっている。大ヒットした「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」「トップガン マーヴェリック」「エルヴィス」には不利なデータ。 |
人気作に受賞してほしい事情 映画業界のお祭りであるアカデミー賞授賞式の視聴率が近年下降気味。鑑賞した人の少ないクオリティ作品の受賞が続き、昨年はついに配信作品が初めて作品賞を受賞した。人気低下の歯止めをかけるには誰もが愛する大ヒット作の受賞がマスト。コロナ不況に揺れる映画界を救ったとも言われる「トップガン マーヴェリック」への業界からの支持は厚く、多くの票を獲得する可能性。 |
監督賞 |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(80%):ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート(エブエブ) ゴールデン・グローブ賞(70%):スティーヴン・スピルバーグ(フェイブルマンズ) クリティクス・チョイス・アワード(60%):ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート(エブエブ) 英国アカデミー賞(70%):エドワード・ベルガー(西部戦線異状なし) |
女性の活躍 ジェーン・カンピオン(パワー・オブ・ザ・ドッグ)、クロエ・ジャオ(ノマドランド)と2年連続で女性監督が受賞していた。今年もサラ・ポーリー(ウーマン・トーキング)、シャーロット・ウェルズ(アフターサン)などが有力視されていたが、残念ながらノミネートはなし。ただし、女性を主人公にした「エブエブ」「TAR ター」にはやや有利? |
アジア系監督の活躍 4年連続でアジア系の監督がノミネートされ、うち2回受賞。 ◎ポン・ジュノ(パラサイト 半地下の家族) ◎クロエ・ジャオ(ノマドランド) 濱口竜介(ドライブ・マイ・カー) 今年はダニエル・クワン(88年、アメリカ生まれの35才)。 |
作品賞との一致率 作品賞と監督賞の一致率は10年前までは75%だったが、過去10年では40%に下がっている。どちらかというと監督賞のほうが下馬評通りの決着が多く、作品賞で波乱が起きるケースが多い。今年の本命は「エブエブ」の2人。そのまま決着? |
スピルバーグが3回目の受賞なるか? ノミネート9回はマーティン・スコセッシと並ぶ歴代2位タイ。トップはウィリアム・ワイラーの12回。 3回目の受賞となればウィリアム・ワイラーに並ぶ。トップは「フェイブルマンズ」にも登場したジョン・フォードの4回。 |
主演男優賞 |
◎ | オースティン・バトラー(エルヴィス) 初ノミネート |
|
---|---|---|
◯ | ブレンダン・フレイザー(ザ・ホエール) 初ノミネート |
|
▲ | コリン・ファレル(イニシェリン島の精霊) 初ノミネート |
|
ビル・ナイ(生きる LIVING) 初ノミネート |
||
ポール・メスカル(aftersun/アフターサン) 初ノミネート |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(80%):ブレンダン・フレイザー(ザ・ホエール) ゴールデン・グローブ賞ドラマ部門(90%):オースティン・バトラー(エルヴィス) ゴールデン・グローブ賞コメディ・ミュージカル部門(0%):コリン・ファレル(イニシェリン島の精霊) クリティクス・チョイス・アワード(80%):ブレンダン・フレイザー(ザ・ホエール) 英国アカデミー賞(90%):オースティン・バトラー(エルヴィス) |
フレッシュな面々 全員が初めてノミネート。これは1934年以来88年ぶりの珍しい記録。 |
復活というキーワード 「ザ・ホエール」のブレンダン・フレイザーは90年代後半から2000年代前半に多数のヒット作に出演。しかしその後、権力者から受けたセクハラをきっかけにうつ病となり、長らく表舞台から姿を消した。 もともとは肉体派の小メディー俳優というイメージが強かったフレイザーが演技派として奇跡の復活というドラマは話題性抜群。同じ俳優たちから多くの支持を集めそう。 |
実在の人物を演じて受賞 実在の人物を演じてオスカー受賞したケースは過去10年で5回。今年は「エルヴィス」のオースティン・バトラーのみ。 ウィル・スミス(ドリームプラン)リチャード・ウィリアムズ ラミ・マレック(ボヘミアン・ラプソディ)フレディ・マーキュリー ゲイリー・オールドマン(ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男)ウィンストン・チャーチル エディ・レッドメイン(博士と彼女のセオリー)スティーヴン・ホーキング ダニエル・デイ=ルイス(リンカーン)エイブラハム・リンカーン |
将来有望株のポール・メスカル 「aftersun/アフターサン」でノミネートされたポール・メスカルは現在27才。もし受賞したら史上最年少の主演男優賞受賞者となる。「ロスト・ドーター」でも印象的な役柄を演じていたが、「グラディエーター」続編での主演が決定しているなど、将来を期待されている。 |
主演女優賞 |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(70%):ミシェル・ヨー(エブエブ) ゴールデン・グローブ賞(50%):ケイト・ブランシェット(TAR ター) ゴールデン・グローブ賞コメディ・ミュージカル部門(30%):ミシェル・ヨー(エブエブ) クリティクス・チョイス・アワード(50%):ケイト・ブランシェット(TAR ター) 英国アカデミー賞(80%):ケイト・ブランシェット(TAR ター) |
アジア人初の快挙なるか ミシェル・ヨー(エブエブ)がアジア人女優として初めて主演女優賞にノミネート。もし受賞すれば、当然これも初の快挙となる。前哨戦の勢いからしてチャンスは十分。 |
3度目の受賞なるか ケイト・ブランシェットは過去7度のノミネートで2回受賞。もし今回受賞すれば、主演2回、助演1回でメリル・ストリープの大記録に並ぶ。 |
アンドレア・ライズボロー(To Leslie)のFYC活動 アンドレアや監督のマイケル・モリスらの呼びかけを受け、彼女の演技に感銘を受けたグウィネス・パルトロウ、エイミー・アダムス、ケイト・ウィンスレットやジェニファー・アニストンらセレブたちが上映会を開催。一部活動に違反があったのではないかとアカデミー協会が調査したが、結果的にお咎めなしとの裁定が下った。むしろ、純粋な草の根活動に水をさしたアカデミー協会に対する不満をもらす俳優もおり、ライズボローの支持熱は上った? |
ラテン系として5人目のノミネート 「ブロンド」のアナ・デ・アルマスはラテン系女優(キューバ出身)てして5人目の主演女優賞ノミネート。フェルナンダ・モンテネグロ(セントラル・ステーション)、サルマ・ハエック(フリーダ)、カタリナ・サンディーノ・モレノ(そして、ひと粒のひかり)、ヤリツァ・アパリシオ(ROMA ローマ)に続く。 |
実在の人物を演じて受賞 実在の人物を演じてオスカー受賞したケースは過去10年で3回だが、ここ4年のあいだにその3回が起きている。今年は「ブロンド」のアナ・デ・アルマスのみ。 ジェシカ・チャステイン(タミー・フェイの瞳)タミー・フェイ・ベイカー レネー・ゼルウィガー(ジュディ 虹の彼方に)ジュディ・ガーランド オリヴィア・コールマン(女王陛下のお気に入り)アン女王 |
助演男優賞 |
◎ | キー・ホイ・クァン(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス) 初ノミネート |
|
---|---|---|
▲ | ブレンダン・グリーソン(イニシェリン島の精霊) 初ノミネート |
|
◯ | バリー・コーガン(イニシェリン島の精霊) 初ノミネート |
|
ジャド・ハーシュ(フェイブルマンズ) ノミネート2回/受賞0回 助演男優賞「普通の人々」(1980) |
||
ブライアン・タイリー・ヘンリー(その道の向こうに) 初ノミネート |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(80%):キー・ホイ・クァン(エブエブ) ゴールデン・グローブ賞(70%):キー・ホイ・クァン(エブエブ) クリティクス・チョイス・アワード(80%):キー・ホイ・クァン(エブエブ) 英国アカデミー賞(80%):バリー・コーガン(イニシェリン島の精霊) |
前哨戦スピーチでの好感度 前哨戦をぶっちぎったキー・ホイ・クァン(エブエブ)はゴールデン・グローブ賞など前哨戦での受賞スピーチも感動的で好感度100%。この「スピーチでの好感度」は得票においてとても重要。2018年のオリヴィア・コールマン(女王陛下のお気に入り)も、好感度MAXの素朴なスピーチが功を奏し、前哨戦での不利を覆して受賞に至った。 |
復活というキーワード 「ザ・ホエール」のブレンダン・フレイザー同様に、キー・ホイ・クァンも人気子役としてデビューした後に俳優としては芽が出ず長く苦労した時期がある。こうした苦労人に共感する会員は多く、得票に断然有利。ちなみにキー・ホイ・クァンとブレンダン・フレイザーは92年「原子のマン」で共演経験がある。 |
42年ぶりのノミネート この部門で唯一のノミネート経験者であるジャド・ハーシュ(フェイブルマンズ)だが、前回のノミネートは実に42年前。これはピーター・フォンダの記録を破る最長ブランク記録。また、出演時間8分3秒は「愛の追憶の日々」(83年)のジョン・リスゴー以来、この部門でも最も短い出演時間になる。 |
まさかの大逆転はあるか? 大本命キー・ホイ・クァンを逆転する可能性があるとすれば、英国アカデミー賞でサプライズ受賞を果たしたバリー・コーガン(イニシェリン島の精霊)のみか。2017年の「聖なる鹿殺し」「ダンケルク」で脚光を浴びた弱冠30才の新鋭だが、マーベル(エターナルズ)とDC(THE BATMAN ザ・バットマン)の両方に出演する人気ぶり。 |
大ベテランに優しい部門 過去、クリストファー・プラマー(受賞当時82歳)、アラン・アーキン(受賞当時72歳)、ジェームズ・コバーン(受賞当時70歳)など、豊富なキャリアを持つベテランが年下のライバルを破って受賞している。御年87歳のジャド・ハーシュ(フェイブルマンズ)の大逆転があるかも? |
助演女優賞 |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(90%):ジェイミー・リー・カーティス(エブエブ) ゴールデン・グローブ賞(70%):アンジェラ・バセット(ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー) クリティクス・チョイス・アワード(90%):アンジェラ・バセット(ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー) 英国アカデミー賞(70%):ケリー・コンドン(イニシェリン島の精霊) |
前哨戦でも結果が割れる大混戦 批評家賞を数多く受賞したケリー・コンドン(イニシェリン島の精霊)だが、組合賞ほかの主要前哨戦では苦戦。それでも英国アカデミー賞を受賞して望みをつなげた。ゴールデン・グローブ賞とクリティクス・チョイス・アワードをW受賞して実績一歩リードのアンジェラ・バセット(ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー)はこの部門唯一のノミネート経験者で、業界内での評価も高いのが強み。組合賞をサプライズ受賞したジェイミー・リー・カーティス(エブエブ)は勢いこのままに大逆転勝利も。長いキャリアで初のノミネートだけにチャンスをモノにしたい。 |
史上4人目の快挙 アンジェラ・バセットは94年「TINA ティナ」での主演女優賞以来のノミネート。ウーピー・ゴールドバーグ、ヴィオラ・デイヴィス、オクタヴィア・スペンサーに続き、オスカーに複数ノミネートされた4人目の黒人女優となった。この3人はいずれもオスカーを受賞しているだけに、バセットがあとに続く可能性は低くない。 |
MCUから初ノミネート アンジェラ・バセット(ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー)はMCU作品から初めての演技部門ノミネート。ちなみに、今年の演技賞ノミニーの中にもヒーロー映画出演経験者がズラリ。 コリン・ファレル ケイト・ブランシェット ミシェル・ウィリアムス バリー・コーガン ブライアン・タイリー・ヘンリー ケリー・コンドン |
アジア系俳優2人にもチャンスあり 混戦模様だけに、ステファニー・シュー(エブエブ)、ホン・チャウ(ザ・ホエール)の2人にも逆転のチャンスあり。ホン・チャウは2017年「ダウンサイズ」の時に有力視されながら助演女優賞候補を逃している。ステファニー・シューも今後の有望株で、この部門は若手女優の受賞が多いだけに期待は高まる。 |
キャリア40年以上のサラブレッド ジェイミー・リー・カーティスは、オスカーにノミネートされた両親を持ち、自身もオスカーノミネートを獲得した3人目の俳優。過去にはローラ・ダーンとライザ・ミネリ。その中で、カーティスは両親のノミネートから60年という最長ギャップの記録保持者となった。78年の「ハロウィン」でブレークし、その後も第一線で40年以上も活躍してきたベテランだけに、俳優たちからのリスペクトも厚いはず。 |
若手に優しい部門 テイタム・オニール(受賞当時10歳)、アンナ・パキン(受賞当時12歳)が目を引くが、それ以外にもマリサ・トメイやルピタ・ニョンゴ、アリシア・ヴィキャンデル、昨年のアリアナ・デボーズなど、若くキャリアも浅い新人を抜擢する傾向にある。ステファニー・シュー(エブエブ)には有利なデータ。 |
脚本賞 |
◯ | マーティン・マクドナー(イニシェリン島の精霊) |
---|---|
◎ | ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス) |
▲ | トッド・フィールド(TAR ター) |
スティーヴン・スピルバーグ、トニー・クシュナー(フェイブルマンズ) | |
リューベン・オストルンド(逆転のトライアングル) |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(50%):イニシェリン島の精霊 ゴールデン・グローブ賞(50%):イニシェリン島の精霊 クリティクス・チョイス・アワード(80%):エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 英国アカデミー賞(50%):イニシェリン島の精霊 |
作品賞との一致率 過去10年、作品賞受賞作が脚本賞部門の作品だったケースは5回。うち4作品が脚本賞を受賞している(唯一の例外は「シェイプ・オブ・ウォーター」で、受賞したのは「ゲット・アウト」)。作品賞部門で有力な「エブエブ」「イニシェリン島の精霊」には有利なデータ。 「パラサイト 半地下の家族」 「グリーンブック」 「スポットライト 世紀のスクープ」 「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」 |
マーティン・マクドナーRESPECT アイルランドが生んだ才能マーティン・マクドナーは3度目の正直での受賞を目指す。前回「スリー・ビルボード」も受賞に値する傑作だったが、人気抜群の快作「ゲット・アウト」の後塵を拝した。会員も今度こそはマクドナーに賞をあげたいという気持ちになるのでは? |
トッド・フィールドRESPECT トッド・フィールドもまた過去に2度ノミネート経験があり、3度目の正直を目指すひとり。「イン・ザ・ベッドルーム」「リトル・チルドレン」は原作ありの脚色賞ノミネートだったが、今回はオリジナル脚本。逆転があっても不思議はない。 |
脚色賞 |
◎ | サラ・ポーリー、ミリアム・トウズ(ウーマン・トーキング 私たちの選択) |
---|---|
◯ | エドワード・ベルガー、レスリー・パターソン、イアン・ストーケル(西部戦線異状なし) |
▲ | アーレン・クルーガー、エリック・ウォーレン・シンガー、クリストファー・マッカリー(トップガン マーヴェリック) |
ライアン・ジョンソン(ナイブズ・アウト:グラスオニオン) | |
カズオ・イシグロ(生きる LIVING) |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(60%): ゴールデン・グローブ賞(0%):なし クリティクス・チョイス・アワード(60%):ウーマン・トーキング 私たちの選択 英国アカデミー賞(60%):西部戦線異状なし |
作品賞との一致率 過去10年、作品賞受賞作が脚色部門の作品だったケースは5回。うち4作品が脚本賞を受賞している(唯一の例外は「ノマドランド」で、受賞したのは「ファーザー」)。作品賞部門で有力な「トップガン マーヴェリック」「西部戦線異状なし」には有利なデータ。 「コーダ あいのうた」 「ムーンライト」 「それでも夜は明ける」 「アルゴ」 |
非英語作品は不利 過去20年、非英語作品が受賞したケースはなく、昨年の「ドライブ・マイ・カー」も英語作品「コーダ あいのうた」の前に敗れた。ドイツ語の「西部戦線異状なし」には厳しいデータ。 |
子役女優出身の実力派監督 「ウーマン・トーキング 私たちの選択」でノミネートされたサラ・ポーリーはもともと子役女優として活躍。その後監督に転身し、「アウェイ・フロム・ハー君を想う」「物語る私たち」など良作を立て続けに発表している。この部門では前哨戦実績上位で初のオスカー受賞に期待がかかる。 |
カズオ・イシグロRESPECT 日本が誇る黒澤明監督の名作を日本生まれのノーベル賞およびブッカー賞受賞作家が脚色するという完璧なお膳立ての時点でノミネートは見えていた?作品の評判もよく、受賞があっても驚かない。 |
撮影賞 |
◯ | ジェームス・フレンド(西部戦線異状なし) |
---|---|
◎ | マンディ・ウォーカー(エルヴィス) |
フロリアン・ホーフマイスター(TAR ター) | |
ロジャー・ディーキンス(エンパイア・オブ・ライト) | |
▲ | ダリウス・コンジ(バルド、偽りの記録と一握りの真実) |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(70%):エルヴィス クリティクス・チョイス・アワード(80%):トップガン マーヴェリック 英国アカデミー賞(90%):西部戦線異状なし |
作品賞との一致率 作品賞との一致率は他部門と比べてもさほど高くない。全94回の一致率は26.6%だが、過去10年に限定すると10%まで下がる。作品賞とはあまりリンクしないと思ったほうがよさそう。 |
女性として史上3人目のノミネート 「エルヴィス」のマンディ・ウォーカーは、2017年のレイチェル・モリソン(マッドバウンド)、2021年のアリ・ウェグナー(パワー・オブ・ザ・ドッグ)に続き、女性撮影監督として史上3人目のノミネート。組合賞も受賞しているだけに、女性撮影監督として史上初の受賞が見えてきた。 |
撮影“技術”が重視される 近年の「Mank/マンク」「1917 命をかけた伝令」「ROMA/ローマ」等、VFXと合わせた技術的に特化した撮影が評価されやすい傾向にあるのがこの部門の特徴。今年もっとも技術的な面で目立つのはダリウス・コンジ(バルド、偽りの記録と一握りの真実)か。 |
国際色ゆたかな部門 過去10年の受賞者の国籍を見てみると実に国際色ゆたか。メキシコ、チリ、スウェーデン、オーストラリア、イギリス…。アメリカ人の受賞は1人しかいない。今年もドイツ、イラン、オーストラリアなどバラエティゆたか。 |
編集賞 |
◎ | エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス |
---|---|
◯ | トップガン マーヴェリック |
▲ | エルヴィス |
イニシェリン島の精霊 | |
TAR ター |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞 ドラマ部門(40%):トップガン マーヴェリック 組合賞 コメディ部門(40%):エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス クリティクス・チョイス・アワード(60%):エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 英国アカデミー賞(40%):エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス |
主要前哨戦独占で盤石 過去20年、主要前哨戦3賞すべてを独占したのは1作品のみで、オスカーも受賞している(マッドマックス 怒りのデス・ロード)。今年3賞独占を果たした「エブエブ」の勝利は堅い。 |
作品賞との一致率 技術部門のなかで最も作品賞との一致率が高いのが編集賞。ただし、この10年に限っては1作品のみしか一致しておらず、それほど親和性は高くない。 |
戦闘要素、音楽要素が目立つ作品が強い 「ダンケルク」「ハクソー・リッジ」など戦闘要素、「ボヘミアン・ラプソディ」「セッション」など音楽要素が目立つ作品が受賞しやすい傾向にある。音楽要素が目立つ「エルヴィス」「TAR ター」には有利なデータ。 |
美術賞 |
◯ | バビロン |
---|---|
◎ | エルヴィス |
▲ | アバター:ウェイ・オブ・ウォーター |
西部戦線異状なし | |
フェイブルマンズ |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞 ピリオド部門(50%):バビロン 組合賞 ファンタジー部門(30%):エブエブ 組合賞 コンテンポラリー部門(10%):ナイブズ・アウト:グラスオニオン クリティクス・チョイス・アワード(90%):バビロン |
ピリオド or ファンタジー ピリオド(歴史もの)か、ファンタジーか。毎年どちらのジャンルの作品が受賞するのか予想が難しい。過去10年ではピリオド6作品、ファンタジー3作品(コンテンポラリー=現代もの1作品)。ピリオドがやや有利だが、昨年はファンタジーの「DUNE/デューン 砂の惑星」が受賞。 |
ピリオドなら… 今年の受賞がピリオド作品の順番なら、組合賞を制した「バビロン」が最上位。ただし、作品の評価が今ひとつなのは得票に影響しそう。ならば、作品の評価が高い「エルヴィス」が逆転する可能性もある。 |
ファンタジーなら… 組合賞のファンタジー部門を制したのは「エブエブ」だがノミネート選外。唯一のノミネート作品である「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」に票が集まる可能性。 |
作品賞との一致率 過去10年の一致率はわずか10%。作品賞とはあまりリンクしない。 |
衣装デザイン賞との一致率 性質上、一致率の高い美術賞と衣装デザイン賞だが、近年はそれほどでもない。過去10年の一致率は40%で、ここ3年は連続して結果が割れている。今年、両部門でノミネートされているのは「バビロン」と「エルヴィス」。 |
クリティクス・チョイス・アワードとの一致率が高い 過去10年、クリティクス・チョイス・アワードで美術賞を受賞した作品が90%の確率でオスカーを受賞。今年の勝者は「バビロン」? |
衣装デザイン賞 |
◯ | エルヴィス |
---|---|
◎ | ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー |
バビロン | |
▲ | エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス |
ミセス・ハリス、パリへ行く |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞 ピリオド部門(40%):エルヴィス 組合賞 ファンタジー部門(20%):エブエブ 組合賞 コンテンポラリー部門(0%):ナイブズ・アウト:グラスオニオン クリティクス・チョイス・アワード(80%):ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエバー |
ピリオド or ファンタジー ピリオド(歴史もの)か、ファンタジーか。両者が拮抗している美術賞に比べ、衣装デザイン部門ではピリオドがやや優位。過去10年でピリオド作品が7回受賞している。 |
ピリオドなら… 今年の受賞がピリオド作品の順番なら、組合賞を制した「エルヴィス」が最上位。ただし、「バビロン」も差はない。「ミセス・ハリス、パリへ行く」にもチャンスあり。 |
ファンタジーなら… 組合賞のファンタジー部門を制したのは「エブエブ」だが、前作が同賞を受賞している「ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー」も有力。 |
作品賞との一致率 過去10年の一致率は0%。作品賞とはまったくリンクしない。 |
美術賞との一致率 過去10年の一致率は40%で、ここ3年は連続して結果が割れている。今年、両部門でノミネートされているのは「バビロン」と「エルヴィス」。作品評価の高い「エルヴィス」のほうにチャンス? |
クリティクス・チョイス・アワードとの一致率が高い 過去10年、クリティクス・チョイス・アワードで美術賞を受賞した作品が80%の確率でオスカーを受賞。今年の勝者は「ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエバー」? |
メイクアップ&ヘアスタイリング賞 |
◎ | エルヴィス |
---|---|
◯ | ザ・ホエール |
THE BATMAN -ザ・バットマン- | |
▲ | 西部戦線異状なし |
ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績 組合賞:エルヴィス、エブエブ、ザ・ホエール、ブラックパンサー クリティクス・チョイス・アワード:エルヴィス 英国アカデミー賞:エルヴィス |
ヘアスタイリングの重要性 第84回授賞式で主演女優賞を受賞したメリル・ストリープが自身のヘアスタイリストに謝意を表明し、その技術に対する評価の機運が一気に高まった。結果、翌年からメイクアップ賞→メイクアップ&ヘアスタイリング賞と名称が変更され、今に至る。今年ヘアスタイリングで最も印象的なのは「エルヴィス」。 |
実在の人物に寄せる技術 昨年まで5年続けて登場人物が実在の人物である作品が受賞している。今年の対象は「エルヴィス」のみ。 「タミー・フェイの瞳」 「マ・レイニーのブラックボトム」 「スキャンダル」 「バイス」 「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」 |
ファンタジー系も強い 過去20年まで遡れば、ファンタジー系の受賞作品も8本と数多い。「THE BATMAN -ザ・バットマン-」「ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー」には心強いデータ。 「スーサイド・スクワッド」 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」 「ウルフマン」 「スター・トレック」 「パンズ・ラビリンス」 「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」 「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」 「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」 |
作曲賞 |
◯ | ジャスティン・ハーウィッツ(バビロン) YouTubeで聴く |
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◎ | フォルカー・ベルテルマン(西部戦線異状なし) YouTubeで聴く |
▲ | ジョン・ウィリアムズ(フェイブルマンズ) YouTubeで聴く |
カーター・バーウェル(イニシェリン島の精霊) YouTubeで聴く |
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サン・ラックス(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス) YouTubeで聴く |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) ゴールデン・グローブ賞(70%):バビロン クリティクス・チョイス・アワード(70%):TAR ター 英国アカデミー賞(80%):西部戦線異状なし |
前哨戦をリードしたのは 各地の批評家賞をふくめ最も多くの賞を受賞したのは「バビロン」。「ラ・ラ・ランド」ですでにオスカー受賞のジャスティン・ハーウィッツが2度目の戴冠を狙う。ただし、最終コーナーに入って主要前哨戦では結果が割れており、まだまだ勝負はわからない。 |
作品賞との一致率 ほんの10年前までは30%を超える高い一致率だったが、過去10年に限定するとその率は10%まで激減する。今年も作品賞候補と4作品がかぶっているが、果たして…? |
主題歌賞との一致率 同じ音楽ジャンルの賞である主題歌賞との一致は過去10年で1度だけ(「ラ・ラ・ランド」)。よほど音楽に特化した魅力がないと両部門の同時受賞は難しい。今年は「エブエブ」のみ対象だが、おそらくなさそう。 |
英国アカデミー賞との一致率が高い 過去10年、英国アカデミー賞で作曲賞を受賞した作品が80%の確率でオスカーを受賞。今年の勝者は「西部戦線異状なし」? |
ジョン・ウィリアムズ53回目のノミネート 御年91歳の生ける伝説ジョン・ウィリアムズが通算53回目のノミネート。個人としてはウォルト・ディズニーの59回に次ぐ大記録。すでに5度の受賞を誇るが、盟友スピルバーグの自伝的作品に提供した優しく美しい旋律は6度目の受賞にもふさわしい。 |
主題歌賞 |
◎ | “Naatu Naatu”(RRR) YouTubeで聴く |
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▲ | “Lift Me Up”(ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー) YouTubeで聴く |
◯ | “Hold My Hand”(トップガン マーヴェリック) YouTubeで聴く |
“This Is A Life”(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス) YouTubeで聴く |
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“Applause”(Tell It Like a Woman) YouTubeで聴く |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績 ゴールデン・グローブ賞:RRR クリティクス・チョイス・アワード:RRR |
前哨戦をリードしたのは 「RRR」は前哨戦でも存在感を発揮。主題歌賞部門でも他の追い上げを許さなかった。インパクト抜群な楽曲だけにこのまま受賞まで突っ走りそう。 |
作品賞との一致率 インド楽曲の受賞といえば、2008年「スラムドッグ$ミリオネア」の”Jaiho”が思い出される。あれから早14年、そろそろインド楽曲の再受賞があっていい頃。 |
無冠の女王の初戴冠は? この部門14度目のノミネートとなる無冠の女王ダイアン・ウォーレンの初受賞を期待する会員は少なくないだろう。ただ、今年の対象作品「Tell It Like a Woman」は知名度ほぼゼロでさすがに厳しいか。 |
ネームバリューの勝利 過去10年だけでも、ビリー・アイリッシュ、エルトン・ジョン、レディ・ガガ、アデルなどビッグネームが多数受賞。ネームバリューが大きく物を言う部門であることは間違いない。今年もレディ・ガガ、リアーナらが虎視眈々と逆転を狙う。 |
アメリカン・ユートピア 大人気のブロードウェイ・ショー「アメリカン・ユートピア」で話題のデヴィッド・バーンが「エブエブ」主題歌の作詞として参加。こちらのネームバリューも侮れず。 |
音響賞 |
◎ | トップガン マーヴェリック |
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◯ | 西部戦線異状なし |
▲ | アバター:ウェイ・オブ・ウォーター |
エルヴィス | |
THE BATMAN -ザ・バットマン- |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績 組合賞:トップガン マーヴェリック 英国アカデミー賞:西部戦線異状なし |
前哨戦をリードしたのは 録音賞(あるいは音響編集賞)をふくむ賞がそれほど多くはないため参考程度だが、それでも「トップガン マーヴェリック」が実績では頭一つ抜けた存在だった。以下、「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」「エルヴィス」が続く。 |
録音賞と音響編集賞の統合 2020年の第93回から2つの賞が統合され、「音響賞」として再スタートしている。統合後の過去2回受賞作品は「DUNE/デューン 砂の惑星」と「サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ-」。 |
戦争映画が強い 録音賞と音響編集賞に分かれていた時代もふくめ、過去10年で「1917 命をかけた伝令」「ダンケルク」「ハクソー・リッジ」と3本の戦争映画が受賞している。 |
音楽系映画が強い 録音賞と音響編集賞に分かれていた時代もふくめ、過去10年で「サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ-」「ボヘミアン・ラプソディ」「セッション」と3本の音楽系映画が受賞している。 |
ヒット作の受賞が多い 過去10年、受賞作の7本が興収1億ドル超のヒット作となっている。劇場公開のない「西部戦線異状なし」には不利なデータ。 「DUNE/デューン 砂の惑星」($108,327,830) 「1917 命をかけた伝令」($159,227,644) 「ボヘミアン・ラプソディ」($216,668,042) 「ダンケルク」($189,740,665) 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」($154,109,060) 「ゼロ・グラビティ」($274,092,705) 「レ・ミゼラブル」($148,809,770) |
視覚効果賞 |
◎ | アバター:ウェイ・オブ・ウォーター |
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◯ | トップガン マーヴェリック |
▲ | 西部戦線異状なし |
THE BATMAN -ザ・バットマン- | |
ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績 組合賞:アバター:ウェイ・オブ・ウォーター クリティクス・チョイス・アワード:アバター:ウェイ・オブ・ウォーター 英国アカデミー賞:アバター:ウェイ・オブ・ウォーター |
ヒーロー映画に厳しい 視覚効果と言えばヒーロー映画だが、この部門はヒーロー映画にめっぽう厳しく、過去20年で一度も受賞がない。今年も「THE BATMAN -ザ・バットマン-」と「ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー」の2本がノミネートされているが、おそらく受賞は難しいのでは。 |
前作も受賞 「アバター」は2009年の1作目もこの部門で受賞。今回も主要前哨戦を総なめする強さで、はっきり言って対抗馬は見当たらない。 |
国際長編映画賞 |
◎ | 西部戦線異状なし(ドイツ) | |
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◯ | アルゼンチン1985 歴史を変えた裁判(アルゼンチン) | |
▲ | CLOSE クロース(ベルギー) | |
The Quiet Girl(アイルランド) | ||
EO イーオー(ポーランド) |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) ゴールデン・グローブ賞(60%):アルゼンチン1985 歴史を変えた裁判(アルゼンチン) クリティクス・チョイス・アワード(50%):RRR(インド) 英国アカデミー賞(80%):西部戦線異状なし(ドイツ) |
前哨戦をリードしたのは… 前哨戦の受賞・ノミネート数で総合TOPに立ったのは実は「RRR」だったが、インド代表でエントリーしていなかったためノミネートはならず。2位は韓国代表「別れる決心」だったが、こちらはまさかのノミネート落ち。3番手だった「西部戦線異状なし」に大きなチャンスがめぐってきた。 |
国別の実績 最も実績豊富なのはドイツですでに3度の受賞を誇るが、最後に受賞したのは16年前。 ドイツ:18 noms / 3 wins 「ブリキの太鼓」(1978)「名もなきアフリカの地で」(2002)「善き人のためのソナタ」(2006) アルゼンチン:7 noms / 2 wins 「オフィシャル・ストーリー」(1985)「瞳の中の秘密」(2009) ベルギー:7 noms / 0 win アイルランド:0noms / 0 win ポーランド:12noms / 1win 「イーダ」(2014) |
国際長編映画賞以外の部門にもノミネートされると? 他の部門にもノミネートされる作品は総合的に高く評価されている証。過去4年の受賞作はすべて作品賞または監督賞にノミネートされている。作品賞ふくめ複数部門でノミネートされている「西部戦線異状なし」に死角なし。 |
長編アニメーション映画賞 |
◎ | ギレルモ・デル・トロのピノッキオ | |
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◯ | Marcel the Shell with Shoes On | |
長ぐつをはいたネコと9つの命 | ||
▲ | 私ときどきレッサーパンダ | |
ジェイコブと海の怪物 |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(80%):ギレルモ・デル・トロのピノッキオ ゴールデン・グローブ賞(70%):ギレルモ・デル・トロのピノッキオ クリティクス・チョイス・アワード(80%):ギレルモ・デル・トロのピノッキオ 英国アカデミー賞(70%):ギレルモ・デル・トロのピノッキオ アニー賞(60%):ギレルモ・デル・トロのピノッキオ |
ディズニーアニメの圧倒的な強さ 計21年の歴史の中で、ピクサーが11回、ディズニー・アニメーション・スタジオが4回受賞している。つまりディズニー以外の作品が受賞したのは6回だけ。 |
Netflix勢初制覇なるか ネットフリックス・アニメーションはこれまで「クロース」「フェイフェイと月の冒険」の2作品がノミネート。今回「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」「ジェイコブと海の怪物」で初栄冠を狙う。 |
前哨戦は圧倒的に… ここまでの圧勝もめずらしいというくらいの圧勝劇でここまできたのが「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」。23部門中もっとも堅いと言ってもいいほど死角なし。 |
A24配給の話題アニメ YouTubeの短編を長編化したA24配給のアニメ「Marcel the Shell with Shoes On」は、前哨戦で唯一「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」に対抗できていた作品。ちなみに製作・脚本・声の出演で大活躍のジェニー・スレートは「エブエブ」にも出演している。 |
長編ドキュメンタリー映画賞 |
◎ | ナワリヌイ | |
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▲ | All the Beauty and the Bloodshed | |
◯ | ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦 | |
オール・ザット・ブリーズ | ||
A House Made of Splinters |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(50%):ナワリヌイ 英国アカデミー賞(60%):ナワリヌイ |
ヴェネチア国際映画祭金獅子賞 ヴェネチア国際映画祭で史上2本目となるドキュメンタリー映画として最高賞=金獅子賞を受賞したのが「All the Beauty and the Bloodshed」。世界三大映画祭での実績は大きなプラスとなる。 |
国際情勢の反映 ウクライナ情勢がいまだ暗い上げを落とす世の中で、反プーチン活動の果てに殺されかける政治活動家を追った「ナワリヌイ」の注目度は俄然高まっている。組合賞、英国アカデミー賞と重要前哨戦を制して盤石か。 |
前哨戦をリードしたのは… 前哨戦をリードしたのは「All the Beauty and the Bloodshed」と「ファイアー・オブ・ラブ火山に人生を捧げた夫婦」。「ナワリヌイ」は終盤戦に猛然と追い上げて4番手まで追い上げた。 |
短編アニメーション映画賞 |
◎ | ぼく モグラ キツネ 馬 Apple TV+で本編を観る |
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◯ | My Year of Dicks 予告編を観る |
▲ | An Ostrich Told Me the World Is Fake and I Think I Believe It 予告編を観る |
The Flying Sailor 本編を観る |
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氷を売る親子 予告編を観る |
【予想ポイント】 |
尺は短いほうが有利? 過去10年、受賞作で最も長いものでも14分で、大半は10分以内の短尺。同じ短編でもドキュメンタリー部門とは正反対の傾向にある。32分と長い「ぼく モグラ キツネ 馬」には不利なデータ。 「ぼく モグラ キツネ 馬」(32分) 「My Year of Dicks」(24分) 「An Ostrich Told Me the World Is Fake and I Think I Believe It」(11分) 「The Flying Sailor」(8分) 「氷を売る親子」(14分) |
有名原作の最高映像化 「ぼく モグラ キツネ 馬」は日本のテレビ番組でも数多く紹介されたベストセラーの映像化。粗くスケッチされたようなキャラクター造形ながら、描きこまれた背景や人、動物たちの動きの機微など信じられないほどのハイクオリティ。ほかのノミニー全作品を鑑賞できているわけではないが、ちょっとずば抜けた存在では。 |
オンラインで視聴可能 会員には当然視聴可能なURLやDVDなどが配布されているだろうが、それでもオンラインでの視聴が可能になっている作品は環境的に有利。「ぼく モグラ キツネ 馬」はApple TV+で、「The Flying Sailor」はYouTubeで全編視聴が可能。 |
ディズニー&ピクサーが強い部門だが… 過去10年、ディズニーまたはピクサー作品が受賞したのは4度とやはり強い。ただし、今年は両社からのエントリーはなし。 |
短編ドキュメンタリー映画賞 |
◯ | エレファント・ウィスパラー:聖なる象との絆 Netflixで本編を観る |
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◎ | How Do You Measure a Year? 予告編を観る |
▲ | Stranger at the Gate YouTubeで本編を観る |
マーサ・ミッチェル -誰も信じなかった告発 Netflixで本編を観る |
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Haulout YouTubeで本編を観る |
【予想ポイント】 |
40分枠をフルに使い切る 短編部門の長さ制限は40分までだが、過去10年の受賞作で、40分ぎりぎりまで尺を使った作品は実に7本を数える。 「エレファント・ウィスパラー:聖なる象との絆」(40分) 「How Do You Measure a Year?」(29分) 「Stranger at the Gate」(29分) 「マーサ・ミッチェル -誰も信じなかった告発」(40分) 「Haulout」(25分) |
17年間の記録映像 「How Do You Measure a Year?」は、映画監督の父親が実の娘の成長を17年間追い続けたドキュメンタリー。1年の始まりに「一番大事にしているものは何?」といった決まった質問を投げかけるが、成長とともに娘の回答、態度は大きな変化を遂げていく…。共感しやすい内容だけに得票にもつながりやすいか。ちなみに父親=映画監督のジェイ・ローゼンブラットは昨年も「When We Were Bullies」でこの部門にノミネートされている。 |
オンラインで視聴可能 「エレファント・ウィスパラー:聖なる像」「マーサ・ミッチェル -誰も信じなかった告発」はNetflixで、「Stranger at the Gate」「Haulout」はYouTubeで全編が視聴可能。 |
短編実写映画賞 |
◎ | 無垢の瞳 ディズニープラスで本編を観る |
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◯ | An Irish Goodbye 予告編を観る |
▲ | The Red Suitcase 予告編を観る |
真冬のトラム運転手 / Night Ride 予告編を観る |
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Ivalu 予告編を観る |
【予想ポイント】 |
20分台の尺が受賞しやすい傾向 短編ドキュメンタリー賞とは違い、40分枠をフルに使い切るのではなく、20分台でコンパクトにまとまった作品が評価されやすい傾向。過去10年の受賞作はすべて20分台またはそれ未満の尺。少し長めの「無垢な瞳」には不利なデータ。 「無垢の瞳」(37分) 「An Irish Goodbye」(23分) 「The Red Suitcase」(18分) 「真冬のトラム運転手 / Night Ride」(15分) 「Ivalu」(16分) |
大物監督のプロデュース アカデミー賞監督賞を二度受賞しているアルフォンソ・キュアロンがプロデューサーとして参加。キュアロンは他にも撮影賞、編集賞も受賞経験があり、今回受賞となれば4部門にわたる受賞を達成する。 |
ノミネート作品は国際色ゆたか 過去10年、非英語作品の受賞ケースもあるが、やはり英語作品が有利なことに変わりはない。 「無垢の瞳」(製作国:イタリア・アメリカ合衆国/言語:イタリア語) 「An Irish Goodbye」(製作国:アイルランド・イギリス/言語:英語) 「The Red Suitcase」(製作国:ルクセンブルク/言語:ペルシャ語ほか) 「真冬のトラム運転手 / Night Ride」(製作国:ノルウェー/言語:ノルウェー語) 「Ivalu」(製作国:デンマーク/言語:グリーンランド語) |
アイルランド旋風 アイルランド旋風の中心的存在「イニシェリン島の精霊」の活躍に引っ張られて「An Irish Goodbye」の受賞も? |
オンラインで視聴可能 「無垢の瞳」はDisney+で全編が視聴可能。 |