作品賞 | 監督賞 | 主演男優賞 | 主演女優賞 | 助演男優賞 | 助演女優賞
脚本賞 | 脚色賞 | 撮影賞| 編集賞 | 美術賞 | 衣装デザイン賞
作曲賞 | 主題歌賞 | メイクアップ&ヘア賞 | 音響賞 | 視覚効果賞
国際長編映画賞 | 長編アニメーション映画賞 | 短編アニメーション映画賞
長編ドキュメンタリー映画賞 | 短編ドキュメンタリー映画賞 | 短編実写映画賞
脚本賞 | 脚色賞 | 撮影賞| 編集賞 | 美術賞 | 衣装デザイン賞
作曲賞 | 主題歌賞 | メイクアップ&ヘア賞 | 音響賞 | 視覚効果賞
国際長編映画賞 | 長編アニメーション映画賞 | 短編アニメーション映画賞
長編ドキュメンタリー映画賞 | 短編ドキュメンタリー映画賞 | 短編実写映画賞
※並びは米予想サイトGold Derbyでの人気順
作品賞 |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(70%):「オッペンハイマー」 ゴールデン・グローブ賞(40%):「オッペンハイマー」「哀れなるものたち」 クリティクス・チョイス・アワード(60%):「オッペンハイマー」 英国アカデミー賞(20%):「オッペンハイマー」 |
特殊な投票方式がどう影響する? 1位の作品だけに投票するのではなく、1位〜10位まで順位をつけて投票するという方式。1位に選ぶ人も多いが下位に選ぶ人も多いという好き嫌いの分かれる作品よりも、2位3位に選ぶ人が多い平均点の高い作品が受賞する傾向。一昨年も批評家に愛された「パワー・オブ・ザ・ドッグ」ではなく、みんなが大好きな「コーダ あいのうた」が選ばれている。 |
トロント国際映画祭 観客賞 過去10年で「ノマドランド」「グリーンブック」「それでも夜は明ける」がオスカー受賞。今年の勝者は「アメリカン・フィクション」。 |
女性が主人公の作品 「ノマドランド」「コーダ あいうのうた」「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」と女性を主人公にした映画がここ3年続けて作品賞を受賞。今年は「哀れなるものたち」「落下の解剖学」「バービー」「パスト ライブス/再会」が対象。 |
最多ノミネート作品の強みは? 過去10年で最多ノミネート作品が作品賞を受賞したのは3回のみ。もはや最多ノミネート=作品賞本命ではなく、むしろ確率は低い。昨年は最多ノミニーの「エブエブ」が受賞したが、今年最多ノミニーの「オッペンハイマー」はどうなる…? ◎「エブエブ」11−7 「パワー・オブ・ザ・ドッグ」12−1 「Mank/マンク」 10−2 「ジョーカー」14−2 「ROMA」10−3「女王陛下のお気に入り」10−1 ◎「シェイプ・オブ・ウォーター」13−4 「ラ・ラ・ランド」14−6 「レヴェナント: 蘇えりし者」12−3 ◎「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」9-4「グランド・ブダペスト・ホテル」9-4 「アメリカン・ハッスル」10-0「ゼロ・グラビティ」10-7 |
監督賞との一致率 作品賞と監督賞の一致率は過去10年で50%まで下がっている。どちらかというと監督賞のほうが下馬評通りの決着が多く、作品賞で波乱が起きるケースが多い。今年、監督賞部門はノーラン受賞で揺るぎない雰囲気なので、波乱があるとすれば作品賞? |
メジャー配給会社は劣勢 過去20年、メジャースタジオが配給した作品の受賞は5回だけ。独立系配給会社のほうがはっきりと優位に立っている。昨年もA24配給の「エブエブ」が受賞した。今年の本命「オッペンハイマー」(ユニバーサル)はメジャースタジオの栄光を取り戻せるか? |
興行収入は少ないほうが有利 作品賞受賞作の平均興行収入は年々下がっている。1990年代には1億9000万ドルだったが、2010年代は6900万ドルに下がり、2020年代の直近3作品では2696万ドルまで下がった(370万ドルの「ノマドランド」と0ドルの「コーダ」、7700万ドルの「エブエブ」)。市場全体の興収は右肩上がりだが、アカデミー賞で評価される作品は興収が低いものになっている。大ヒットした「オッペンハイマー」「バービー」には不利なデータ。 |
ノーランへのリスペクト票 コロナによる映画業界の危機においても新作「TENET テネット」の劇場公開を強行するなど、業界の救世主的な存在となっているクリストファー・ノーラン。これまでアカデミーはノーランを冷遇してきたが、いよいよ正当な成果を得るときがきたか。 |
監督賞 |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(90%):クリストファー・ノーラン ゴールデン・グローブ賞(70%):クリストファー・ノーラン クリティクス・チョイス・アワード(80%):クリストファー・ノーラン 英国アカデミー賞(70%):クリストファー・ノーラン |
ノーラン優位揺るがず 前哨戦で圧勝したクリストファー・ノーランに死角はない。これまで「ダークナイト」「インセプション」などオスカー候補確実と言われながら落選してきた経緯もあり、今回こそという空気が出来上がっている。 |
作品賞との一致率 作品賞と監督賞の一致率は過去10年で50%まで下がっている。どちらかというと監督賞のほうが下馬評通りの決着が多く、作品賞で波乱が起きるケースが多い。今年、監督賞部門はノーラン受賞で揺るぎない雰囲気なので、波乱があるとすれば作品賞? |
スコセッシが最高齢での受賞なるか? これまでの最高齢受賞者はクリント・イーストウッド(ミリオンダラー・ベイビー)で74歳。現在81歳のスコセッシが受賞すれば記録更新となる。 |
主演男優賞 |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(80%):キリアン・マーフィ ゴールデン・グローブ賞ドラマ部門(80%):キリアン・マーフィ ゴールデン・グローブ賞コメディ・ミュージカル部門(0%):ポール・ジアマッティ クリティクス・チョイス・アワード(70%):ポール・ジアマッティ 英国アカデミー賞(80%):キリアン・マーフィ |
ベテラン勢に陽の目 多数の作品で好演を見せてきたジェフリー・ライトは意外にも今回が初ノミネート。キリアン・マーフィも初めてで、ポール・ジアマッティも過去1度だけしかノミネートされていない。ブラッドリー・クーパー以外の4人はどちらかといえば脇で光るタイプだけに、この部門でオスカーを受賞して今後のキャリアにつなげたい。 |
実在の人物を演じて受賞 実在の人物を演じてオスカー受賞したケースは過去10年で4回。ただ、昨年はノミニー中唯一実在の人物を演じて有力視された「エルヴィス」のオースティン・バトラーは受賞を逃した。今年、実在の人物を演じたのはキリアン・マーフィ(オッペンハイマー)、ブラッドリー・クーパー(マエストロ:その音楽と愛と)、コールマン・ドミンゴ(ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男)の3人。 ウィル・スミス(ドリームプラン)リチャード・ウィリアムズ ラミ・マレック(ボヘミアン・ラプソディ)フレディ・マーキュリー ゲイリー・オールドマン(ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男)ウィンストン・チャーチル エディ・レッドメイン(博士と彼女のセオリー)スティーヴン・ホーキング |
自身の監督作で2作続けてノミネート ブラッドリー・クーパー(マエストロ:その音楽と愛と)は監督デビュー作「アリー/スター誕生」に続いて自身の監督作で2度にわたり主演男優賞にノミネートされた。過去4度のノミネートではすべて涙をのんでいるだけに、そろそろ受賞を期待したいところ。 |
遅咲きのブレイク コールマン・ドミンゴ(ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男)は1969年生まれの54歳。2020年「Zola ゾラ」での怪演で注目され、2023年に満を持してのブレイク。対象作のほかに「カラーパープル」でも印象的な演技を見せた。重要な役でのMCU作品への参加も噂されており、今後の活躍が期待される。 |
主演女優賞 |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(80%):リリー・グラッドストーン ゴールデン・グローブ賞(50%):リリー・グラッドストーン ゴールデン・グローブ賞コメディ・ミュージカル部門(30%):エマ・ストーン クリティクス・チョイス・アワード(70%):エマ・ストーン 英国アカデミー賞(80%):エマ・ストーン |
先住民系女優初の快挙なるか 昨年はミシェル・ヨー(エブエブ)がアジア人女優として初めて同賞を受賞したが、今年、リリー・グラッドストーン(キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン)が受賞すれば先住民系女優として初の快挙となる。 |
2度目の受賞なるか エマ・ストーン(哀れなるものたち)が受賞すれば、この部門で過去14人しかいない複数受賞者に。まだ35歳と若く、今年2度目を受賞するようなら、3度受賞のフランシス・マクドーマンド、4度受賞のキャサリン・ヘップバーンに並ぶ大記録にも期待がかかる。 |
アンドレア・ライズボロー(To Leslie)のFYC活動 アンドレアや監督のマイケル・モリスらの呼びかけを受け、彼女の演技に感銘を受けたグウィネス・パルトロウ、エイミー・アダムス、ケイト・ウィンスレットやジェニファー・アニストンらセレブたちが上映会を開催。一部活動に違反があったのではないかとアカデミー協会が調査したが、結果的にお咎めなしとの裁定が下った。むしろ、純粋な草の根活動に水をさしたアカデミー協会に対する不満をもらす俳優もおり、ライズボローの支持熱は上った? |
実在の人物を演じて受賞 過去5年で3度、実在の人物を演じた女優が受賞している。今年の対象はキャリー・マリガン(マエストロ:その音楽と愛と)とアネット・ベニング(ナイアド その決意は海を越える) ジェシカ・チャステイン(タミー・フェイの瞳)タミー・フェイ・ベイカー レネー・ゼルウィガー(ジュディ 虹の彼方に)ジュディ・ガーランド オリヴィア・コールマン(女王陛下のお気に入り)アン女王 |
5度目の正直を期待 アネット・ベニング(ナイアド その決意は海を越える)は今回が5度目の演技賞ノミネート。過去、有力視された1999年の「アメリカン・ビューティー」と2004年の「華麗なる恋の舞台で」は、どちらも同じ女優=ヒラリー・スワンクに敗れた。今年はその宿敵が不在だけに…? |
助演男優賞 |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(90%):ロバート・ダウニー・ジュニア ゴールデン・グローブ賞(80%):ロバート・ダウニー・ジュニア クリティクス・チョイス・アワード(90%):ロバート・ダウニー・ジュニア 英国アカデミー賞(70%):ロバート・ダウニー・ジュニア |
すべてを手にするアイアンマン MCU作品での大成功を経て、今度はオスカー像まで手中におさめようとしているのがロバート・ダウニー・ジュニア(オッペンハイマー)。薬物やアルコールなどの依存症を克服し、見事に表舞台に返り咲いたという多難のキャリアが、まさに最高潮を迎えようとしている。前哨戦での受賞スピーチも期待通りのウィットとユーモアに富んだもので、本番ではどんな見せ場を作ってくれるのか楽しみ。 |
4度目の正直を狙うハルク MCU作品でインクレディブル・ハルクを演じるマーク・ラファロ(哀れなるものたち)もアカデミー賞ではもはや常連の域。過去3度、助演賞候補になっているが受賞はまだない。4度目の正直といきたいところだが、強すぎるアイアンマンが高い壁として立ちはだかる。 |
役柄の強みを活かせば… 「バービー」影の主役=ケンを演じたライアン・ゴズリング(バービー)が逆転候補。これまで演じてきた役柄とのギャップで注目されたが、“男らしさ”という幻想に囚われる姿は爆笑を誘う傍らで悲哀もにじませた。作品のファンも多く、逆転の可能性はある。 |
お騒がせ俳優 12年ぶりのノミネートとなるロバート・デ・ニーロ(キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン)は、元秘書からハラスメントで訴えられたり、反トランプの旗手として政治的発言を繰り返したり、すっかりお騒がせ俳優というイメージが定着してしまった。これは当然、オスカー受賞の妨げになる要素で、好感度がかなり下がった今の状態では受賞は厳しそう。 |
祝!ノミネート 個人的にスターリング・K・ブラウン(アメリカン・フィクション)のノミネートには快哉を叫んだ。ドラマシリーズ「アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件」で見せた演技はすばらしく、実力は保証付き。対象作「アメリカン・フィクション」からは主演男優賞ノミネートも生まれたが、同一作で黒人俳優が主演&助演で同時ノミネートされるのは史上初の快挙。 |
助演女優賞 |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(90%):ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ ゴールデン・グローブ賞(60%):ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ クリティクス・チョイス・アワード(80%):ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ 英国アカデミー賞(60%):ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ |
フレッシュな面々 ジョディ・フォスター(ナイアド その決意は海を越える)以外はすべて初ノミネート。本命・対抗と目されるダヴァイン・ジョイ・ランドルフ(The Holdovers)と ダニエル・ブルックス(カラーパープル)はともに30代と若く、これがきっかけで躍進すること間違いなしの逸材。 |
売れっ子も初ノミネート 「プラダを着た悪魔」「クワイエット・プレイス」など大ヒット作への出演が多いエミリー・ブラント(オッペンハイマー)も今回が初ノミネート。もともと演技力には定評があっただけに、遅すぎた評価と言える。対象作が作品賞部門で大本命視されているだけに、逆転の目はある。 |
30年ぶりのノミネート すでに2度の受賞を誇るジョディ・フォスター(ナイアド その決意は海を越える)だが、前回のノミネートから実に30年の年月が経過している。主人公ナイアドを支えるまさにザ・助演という役柄だったが、オスカー女優の貫禄はさすがの一言。3度目の受賞があっても不思議はない。 |
若いが豊富なキャリア アメリカ・フェレーラ(バービー)はまだ39歳と若いがキャリアは豊富。20歳のころに主演した「旅するジーンズと16歳の夏」および大ヒットしたドラマシリーズ「アグリー・ベティ」で若くして成功し、そこから20年の年月を経てついにオスカー候補を手にした。作品のファンが彼女の背中を押せば逆転受賞も…? |
脚本賞 |
◎ | ジュスティーヌ・トリエ、アルトゥール・ハラリ(落下の解剖学) 初ノミネート |
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◯ | デヴィッド・ヘミングソン(ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ) 初ノミネート |
▲ | セリーヌ・ソン(パスト ライブス/再会) 初ノミネート |
ブラッドリー・クーパー、ジョシュ・シンガー(マエストロ:その音楽と愛と) ブラッドリー・クーパー ノミネート1回 受賞0回 脚色賞 アリー/ スター誕生(2018) ジョシュ・シンガー ノミネート1回 受賞0回 脚本賞 スポットライト 世紀のスクープ(2015) |
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サミー・バーチ、アレックス・メチャニク(May December) 初ノミネート |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(60%):TBA ゴールデン・グローブ賞(40%):落下の解剖学 クリティクス・チョイス・アワード(80%):バービー 英国アカデミー賞(40%):落下の解剖学 |
作品賞との一致率 過去10年、作品賞受賞作が脚本賞受賞したケースは5回という高確率。今年の作品賞本命「オッペンハイマー」は脚色賞部門だが、裏を返せばこの部門で受賞が有力視される「落下の解剖学」には作品賞受賞のチャンスがあるということ…? 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」 「パラサイト 半地下の家族」 「グリーンブック」 「スポットライト 世紀のスクープ」 「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」 |
外国作品にはハードルが高い部門 過去、この部門で受賞した外国語作品は2019年「パラサイト 半地下の家族」、2002年「トーク・トゥ・ハー」などほんの数える程度。ただし、フランス映画「落下の解剖学」はセリフの多くが英語とあって、ハードルは下がるかもしれない。 |
アレクサンダー・ペイン印 これまでアレクサンダー・ペインが監督した6本の長編映画は、4本が脚本(脚色)賞にノミネートされ、うち2本が受賞するという無類の強さ。今回の「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」も当然、有力視される。 |
アジア人の勢いは今年も 「パラサイト 半地下の家族」、「ノマドランド」のクロエ・ジャオ監督、そして昨年のミシェル・ヨー(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス)など、ここ最近アジア人の活躍が目立つ。今年も作品賞にノミネートされた「パスト ライブス/再会」でアジア人の活躍が期待されているが、受賞の可能性があるとしたらこの部門。 |
脚色賞 |
◎ | コード・ジェファーソン(アメリカン・フィクション) 初ノミネート |
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◯ | クリストファー・ノーラン(オッペンハイマー) ノミネート2回/受賞0回 脚本賞 インセプション(2010) 脚本賞 メメント(2000) |
▲ | グレタ・ガーウィグ、ノア・バームバック(バービー) グレタ・ガーウィグ ノミネート2回/受賞0回 脚色賞 ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019) 脚本賞 レディ・バード(2017) ノア・バームバック ノミネート2回/受賞0回 脚本賞 マリッジ・ストーリー(2019) 脚本賞 イカとクジラ(2005) |
トニー・マクナマラ(哀れなるものたち) ノミネート1回 受賞0回 女王陛下のお気に入り(2019) |
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ジョナサン・グレイザー(関心領域) 初ノミネート |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(60%):TBA ゴールデン・グローブ賞(0%):なし クリティクス・チョイス・アワード(60%):アメリカン・フィクション 英国アカデミー賞(60%):アメリカン・フィクション |
作品賞との一致率 過去10年、作品賞受賞作が脚本賞受賞したケースは3回。今年は作品賞部門で有力視される作品の多くが脚色賞部門に集まっており、激戦模様。この中から抜け出すのは…? 「コーダ あいのうた」 「ムーンライト」 「それでも夜は明ける」 |
「オッペンハイマー」1強にあらず 前哨戦実績No.1は「オッペンハイマー」だが、作品賞部門ほど独走したわけではない。最重要賞の2つ(英国アカデミー賞、放送映画批評家協会賞)を「アメリカン・フィクション」が受賞しているように、逆転を許す可能性は大いにある。また、前哨戦では脚本賞部門だった「バービー」とは勝負付けが済んでおらず、票がどちらに転ぶかは謎。 |
撮影賞 |
◎ | ホイテ・ヴァン・ホイテマ(オッペンハイマー) ノミネート1回 受賞0回 ダンケルク(2017) |
---|---|
◯ | ロドリゴ・プリエト(キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン) ノミネート3回 受賞0回 アイリッシュマン(2019) 沈黙 -サイレンス-(2016) ブロークバック・マウンテン(2005) |
▲ | ロビー・ライアン(哀れなるものたち) ノミネート1回 受賞0回 女王陛下のお気に入り(2018) |
マシュー・リバティーク(マエストロ:その音楽と愛と) ノミネート2回 受賞0回 アリー/ スター誕生(2018) ブラック・スワン(2010) |
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エドワード・ラックマン(伯爵) ノミネート2回 受賞0回 キャロル(2015) エデンより彼方に(2002) |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(70%):オッペンハイマー クリティクス・チョイス・アワード(70%):オッペンハイマー 英国アカデミー賞(90%):オッペンハイマー |
作品賞との一致率 作品賞との一致率は他部門と比べてもさほど高くない。全95回の一致率は26.3%だが、過去10年に限定すると10%まで下がる。作品賞とはあまりリンクしないと思ったほうがよさそう。 |
全員ノミネート経験者だが… ノミニー5人は全員過去にノミネート経験を持つ猛者たちだが、受賞歴はいずれも0。誰が受賞しても嬉しい初オスカーとなる。 |
2本分の評価 「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」でノミネートされたロドリゴ・プリエトは「バービー」撮影も担当。前哨戦では「バービー」でも多数の受賞実績を誇った。2本分の評価で大本命を逆転なるか。 |
撮影“技術”が重視される 近年の「Mank/マンク」「1917 命をかけた伝令」「ROMA/ローマ」等、VFXと合わせた技術的に特化した撮影が評価されやすい傾向にあるのがこの部門の特徴。今年もっとも技術的な面で目立つのはホイテ・ヴァン・ホイテマ(オッペンハイマー)か。 |
国際色ゆたかな部門 過去10年の受賞者の国籍を見てみると実に国際色ゆたか。メキシコ、チリ、スウェーデン、オーストラリア、イギリス…。アメリカ人の受賞は1人しかいない。今年もスイス、メキシコ、アイルランドなどバラエティゆたか。 |
編集賞 |
◎ | ジェニファー・レイム(オッペンハイマー) 初ノミネート |
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◯ | ローラン・セネシャル(落下の解剖学) 初ノミネート |
セルマ・スクーンメイカー(キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン) ノミネート8回 受賞3回 アイリッシュマン(2019) ヒューゴの不思議な発明(2011) ◎ディパーテッド(2006) ◎アビエイター(2004) ギャング・オブ・ニューヨーク(2001) グッドフェローズ(1990) ◎レイジング・ブル(1980) ウッドストック/愛と平和と音楽の3日間(1970) |
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ヨルゴス・モヴロプサリディス(哀れなるものたち) ノミネート1回 受賞0回 女王陛下のお気に入り(2018) |
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▲ | ケヴィン・テント(ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ) ノミネート1回 受賞0回 ファミリー・ツリー(2012) |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞 ドラマ部門(40%):TBA 組合賞 コメディ部門(40%):TBA クリティクス・チョイス・アワード(60%):オッペンハイマー 英国アカデミー賞(40%):オッペンハイマー |
主要前哨戦独占で盤石 過去20年、主要前哨戦3賞すべてを独占したのは2作品のみで、オスカーも受賞している(「マッドマックス 怒りのデス・ロード」「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」)。今年3賞独占を果たした「オッペンハイマー」の勝利は堅い。 |
作品賞との一致率 技術部門のなかで最も作品賞との一致率が高いのが編集賞。ただし、この10年に限っては2作品のみしか一致しておらず、それほど親和性は高くない。 |
名編集者が9回目のノミネート マーティン・スコセッシ監督作の編集を一手に手がけるのが名編集者セルマ・スクーンメイカー。過去8度のノミネートのうち7作品がスコセッシ監督作で、まさに阿吽の呼吸。4度目の受賞なるか。 |
美術賞 |
◎ | 美術:ジェームズ・プライス、ショーナ・ヒース 装置:Zsuzsa Mihalek(哀れなるものたち) 初ノミネート |
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◯ | 美術:サラ・グリーンウッド 装置:ケイティ・スペンサー(バービー) 両名 ノミネート6回 受賞0回 ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男(2017) 美女と野獣(2017) アンナ・カレーニナ(2012) シャーロック・ホームズ(2009) つぐない(2007) プライドと偏見(2005) |
▲ | 美術:ルース・デ・ヨンク 装置:クレア・カウフマン(オッペンハイマー) 初ノミネート |
美術:ジャック・フィスク 装置:アダム・ウィリス(キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン) ジャック・フィスク ノミネート2回 受賞0回 レヴェナント: 蘇えりし者(2016) ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2008) アダム・ウィリス 初ノミネート |
|
美術:アーサー・マックス 装置:エリ・グリフ(ナポレオン) アーサー・マックス ノミネート3回 受賞0回 オデッセイ(2016) アメリカン・ギャングスター(2008) グラディエーター(2001) エリ・グリフ 初ノミネート |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞 ピリオド部門(50%):オッペンハイマー 組合賞 ファンタジー部門(30%):哀れなるものたち 組合賞 コンテンポラリー部門(10%):Saltburn クリティクス・チョイス・アワード(90%):バービー 英国アカデミー賞(60%):哀れなるものたち |
ピリオド or ファンタジー ピリオド(歴史もの)か、ファンタジーか。毎年どちらのジャンルの作品が受賞するのか予想が難しい。過去10年ではピリオド6作品、ファンタジー3作品(コンテンポラリー=現代もの1作品)で、ピリオドがやや有利。昨年受賞したのはピリオドの「西部戦線異状なし」 |
ピリオドなら… 今年の受賞がピリオド作品の順番なら、組合賞を制した「オッペンハイマー」が最上位。 |
ファンタジーなら… 組合賞のファンタジー部門を制したのは「哀れなるものたち」だが、前哨戦では「バービー」がもっとも実績を残した。 |
作品賞との一致率 過去10年の一致は「シェイプ・オブ・ウォーター」1作品のみ。作品賞とはあまりリンクしない。 |
衣装デザイン賞との一致率 性質上、一致率の高い美術賞と衣装デザイン賞だが、近年はそれほどでもない。過去10年の一致率は40%で、ここ4年は連続して結果が割れている。今年は全作品のノミネートが一致しているが、受賞は割れる可能性が高い。 |
クリティクス・チョイス・アワードとの一致率が高い 過去10年、クリティクス・チョイス・アワードで美術賞を受賞した作品が90%の確率でオスカーを受賞。今年の勝者は「バービー」? |
衣装デザイン賞 |
◎ | ジャクリーン・デュラン(バービー) ノミネート8回 受賞2回 シラノ(2021) ◎ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019) ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男(2017) 美女と野獣(2017) ターナー、光に愛を求めて(2014) ◎アンナ・カレーニナ(2012) つぐない(2007) プライドと偏見(2005) |
---|---|
◯ | ホリー・ウォディントン(哀れなるものたち) 初ノミネート |
ジャクリーン・ウェスト(キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン) ノミネート4回 受賞0回 DUNE/デューン 砂の惑星(2020) レヴェナント:蘇えりし者(2015) ベンジャミン・バトン 数奇な人生(2008) クイルズ(2000) |
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▲ | エレン・ミロイニック(オッペンハイマー) 初ノミネート |
ジャンティ・イェーツ、デイヴ・クロスマン(ナポレオン) ノミネート1回 受賞1回 ◎グラディエーター(2000) デイヴ・クロスマン 初ノミネート |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞 ピリオド部門(30%):哀れなるものたち 組合賞 ファンタジー部門(20%):バービー 組合賞 コンテンポラリー部門(0%):Saltburn クリティクス・チョイス・アワード(80%):バービー |
ピリオド or ファンタジー ピリオド(歴史もの)か、ファンタジーか。ピリオド優勢の美術賞に比べ、衣装デザイン部門では両者が拮抗。過去10年でピリオド作品が5回、ファンタジー作品が5回と賞を分け合っている。 |
ピリオドなら… 今年の受賞がピリオド作品の順番なら、組合賞を制した「哀れなるものたち」が最上位。ファンタジーの要素も含む作品とあって、実は最強? |
ファンタジーなら… 組合賞のファンタジー部門を制したのは「バービー」。他ノミネート作品はすべてピリオドなので、票を集めやすいか。 |
作品賞との一致率 過去10年の一致率は0%。作品賞とはまったくリンクしない。 |
美術賞との一致率 過去10年の一致率は40%で、ここ4年は連続して結果が割れている。今年は全作品のノミネートが一致しているが、受賞は割れる可能性が高い。 |
クリティクス・チョイス・アワードとの一致率が高い 過去10年、クリティクス・チョイス・アワードで美術賞を受賞した作品が80%の確率でオスカーを受賞。昨年も「ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエバー」受賞で一致している。今年は「バービー」? |
メイクアップ&ヘアスタイリング賞 |
◎ | カズ・ヒロ、ケイ・ジョージウー、ロリ・マッコイ・ベル (マエストロ:その音楽と愛) カズ・ヒロ ノミネート4回 受賞2回 ◎スキャンダル(2020) ◎ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男(2017) マッド・ファット・ワイフ(2008) もしも昨日が選べたら(2007) ケイ・ジョージウー ノミネート1回 受賞0回 ◎ジョーカー(2020) ロリ・マッコイ・ベル 初ノミネート |
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◯ | ナディア・ステイシー、マーク・クーリエ、ジョシュ・ウェストン (哀れなるものたち) ナディア・ステイシー ノミネート1回 受賞0回 クルエラ(2022) マーク・クーリエ ノミネート4回 受賞2回 エルヴィス(2023) ピノッキオ(2021) ◎グランド・ブダペスト・ホテル(2015) ◎マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙(2012) ジョシュ・ウェストン 初ノミネート |
▲ | ルイーサ・アベル (オッペンハイマー) 初ノミネート |
Ana López-Puigcerver、デイヴィッド・マルティ、ムンセ・リベー (雪山の絆) Ana López-Puigcerver 初ノミネート デイヴィッド・マルティ、ムンセ・リベー ノミネート1回 受賞1回 ◎パンズ・ラビリンス(2007) |
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カレン・ハートリー・トーマス、スージー・バタースビー、アシュラ・ケリー・ブルー (Golda) 3者とも初ノミネート |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績 組合賞 ピリオド部門(70%):マエストロ:その音楽と愛と 組合賞 コンテンポラリー部門(10%):Saltburn クリティクス・チョイス・アワード(60%):バービー 英国アカデミー賞(60%):哀れなるものたち |
ヘアスタイリングの重要性 第84回授賞式で主演女優賞を受賞したメリル・ストリープが自身のヘアスタイリストに謝意を表明し、その技術に対する評価の機運が一気に高まった。結果、翌年からメイクアップ賞→メイクアップ&ヘアスタイリング賞と名称が変更され、今に至る。今年ヘアスタイリングで最も印象的なのは「エルヴィス」。 |
実在の人物に寄せる技術 一昨年まで5年続けて登場人物が実在の人物である作品が受賞していたが、昨年は本命視された「エルヴィス」が落選するサプライズ(受賞したのは「ザ・ホエール」)。 「タミー・フェイの瞳」 「マ・レイニーのブラックボトム」 「スキャンダル」 「バイス」 「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」 |
ファンタジー系も強い 過去20年まで遡れば、ファンタジー系の受賞作品も8本と数多い。「バービー」には心強いデータ。 「スーサイド・スクワッド」 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」 「ウルフマン」 「スター・トレック」 「パンズ・ラビリンス」 「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」 「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」 「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」 |
カズ・ヒロの3度目の受賞は? 「スキャンダル」「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」で2度受賞しているカズ・ヒロが3度目の受賞を狙う。この部門で3度以上の受賞実績があるのはわずかに3人。7度の受賞を誇る大御所リック・ベイカー、4度のグレッグ・キャノム、3度のヴィ・ニールのみ。 |
作曲賞 |
◎ | ルドヴィグ・ゴランソン(オッペンハイマー) ノミネート2回 受賞1回 ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022) ◎ブラックパンサー(2017) |
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ロビー・ロバートソン(キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン) 初ノミネート |
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◯ | ジャースキン・フェンドリックス(哀れなるものたち) 初ノミネート |
ジョン・ウィリアムズ(インディ・ジョーンズと運命のダイヤル) ノミネート53回 受賞5回 ◎シンドラーのリスト(1993) ◎E.T.(1982) ◎スター・ウォーズ(1977) ◎JAWS/ジョーズ(1975) ◎屋根の上のバイオリン弾き(1971) 他 |
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▲ | ローラ・カープマン(アメリカン・フィクション) 初ノミネート |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) ゴールデン・グローブ賞(60%):オッペンハイマー クリティクス・チョイス・アワード(70%):オッペンハイマー 英国アカデミー賞(90%):オッペンハイマー |
主要3賞で全勝なら… 過去20年、ゴールデン・グローブ賞、クリティクス・チョイス・アワード、英国アカデミー賞の3賞で全勝したのは10作品で、うちアカデミー賞を受賞したのが9作品。今年、主要3賞を全勝した「オッペンハイマー」は90%の確率でオスカー受賞か。 |
作品賞との一致率 ほんの10年前までは30%を超える高い一致率だったが、過去10年に限定するとその率は10%まで激減する。今年は作品賞大本命の「オッペンハイマー」がこの部門でも本命視されており、一致の可能性は高い。 |
主題歌賞との一致率 同じ音楽ジャンルの賞である主題歌賞との一致は過去10年で1度だけ(「ラ・ラ・ランド」)。よほど音楽に特化した魅力がないと両部門の同時受賞は難しい。今年は「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」のみ対象だが、どちらの部門でも有力視されておらず、一致はなさそう。 |
英国アカデミー賞との一致率が高い 過去10年、英国アカデミー賞で作曲賞を受賞した作品が90%の確率でオスカーを受賞。今年の勝者は「オッペンハイマー」? |
ジョン・ウィリアムズ54回目のノミネート 御年92歳の生ける伝説ジョン・ウィリアムズが作品に引き続き通算54回目のノミネート。個人としてはウォルト・ディズニーの59回に次ぐ大記録。すでに5度の受賞を誇るが、自身の代表作のひとつとも言える有名シリーズの楽曲で6度目の受賞を狙う。 |
主題歌賞 |
◯ | “What Was I Made for?” (バービー) 作詞・作曲:ビリー・アイリッシュ、フィニアス・オコネル 両名ともノミネート1回 受賞1回 ◎007 ノー・タイム・トゥ・ダイ(2022) |
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◎ | “I’m Just Ken” (バービー) 作詞・作曲:マーク・ロンソン、アンドリュー・ワイアット 両名ともノミネート1回 受賞1回 ◎アリー/スター誕生(2019) |
▲ | “It Never Went Away” (ジョン・バティステ アメリカン・シンフォニー) 作詞・作曲:ジョン・バティステ、ダン・ウィルソン ノミネート1回 受賞1回 ◎作曲賞 ソウルフル・ワールド(2021) ダン・ウィルソン 初ノミネート |
“The Fire Inside” (フレーミングホット! チートス物語) 作詞・作曲:ダイアン・ウォーレン ノミネート14回 受賞0回 私たちの声(2022) マーシャル 法廷を変えた男(2017) パール・ハーバー(2001) アルマゲドン(1998) マネキン(1987) 他 |
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“Wahzhazhe (A Song For My People)” (キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン) 作詞・作曲:スコット・ジョージ 初ノミネート |
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【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績 ゴールデン・グローブ賞(70%):“What Was I Made for?”(バービー) クリティクス・チョイス・アワード(80%):“I’m Just Ken”(バービー) |
前哨戦をリードしたのは 「バービー」から参戦の2曲が他を圧倒する独走。ビリー・アイリッシュが歌う“What Was I Made for?”、ライアン・ゴズリングが歌う“I’m Just Ken”どちらも大人気で甲乙つけがたし。 |
無冠の女王の初戴冠は? この部門15度目のノミネートとなる無冠の女王ダイアン・ウォーレンの初受賞は?昨年も無名の今年の小品「私たちの声」で見事ノミネートされたが、今年の対象作「フレーミングホット! チートス物語」はそれに輪をかけてマイナーな作品とあって、初戴冠はおあずけか。 |
ネームバリューの勝利 過去10年だけでも、エルトン・ジョン、レディ・ガガ、アデルなどビッグネームが多数受賞。ネームバリューが大きく物を言う部門であることは間違いない。ビリー・アイリッシュには有利なデータだが、自身は一昨年「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」で受賞したばかりとあって割り引きが必要か。 |
アメリカン・シンフォニー グラミー賞受賞の人気シンガー、ジョン・バティステが手がける“It Never Went Away”(ジョン・バティステ アメリカン・シンフォニー)にも注目。対象作は自身と難病を患った妻との苦悩を描くドキュメンタリー作品で、長編ドキュメンタリー映画賞部門でも有力視されていた(残念ながらノミネート落選)。2021年に「ソウルフル・ワールド」ですでに同賞を受賞しているが、2度目の受賞があっても不思議はない。 |
音響賞 |
◎ | ウィリー・バートン、リチャード・キング、ゲイリー・A・リッツオ、ケヴィン・オコンネル (オッペンハイマー) ウィリー・バートン ノミネート7回受賞2回 リチャード・キング ノミネート6回受賞4回 ゲイリー・A・リッツオ ノミネート5回受賞2回 ケヴィン・オコンネル ノミネート21回受賞1回 |
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◯ | ターン・ウィラーズ、ジョニー・バーン (関心領域) 両名とも初ノミネート |
▲ | スティーヴン・A・モロー、リチャード・キング、ジェイソン・ルーダー、トム・オーザニッチ、ディーン・A・ズパンシク (マエストロ:その音楽と愛と) スティーヴン・A・モロー ノミネート3回受賞0回 リチャード・キング ノミネート6回受賞4回 ジェイソン・ルーダー ノミネート1回受賞0回 トム・オーザニッチ ノミネート2回受賞0回 ディーン・A・ズパンシク ノミネート3回受賞0回 |
クリス・ムンロ、ジェームズ・H・マザー、クリス・バードン、マーク・テイラー (ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE) クリス・ムンロ ノミネート4回受賞2回 ジェームズ・H・マザー ノミネート2回受賞1回 クリス・バードン ノミネート2回受賞1回 マーク・テイラー ノミネート5回受賞2回 |
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イアン・ヴォイト、エリック・エーダール、イーサン・ヴァン・ダー・リン、トム・オーザニッチ、ディーン・A・ズパンシク (ザ・クリエイター 創造者) イアン・ヴォイト 初ノミネート エリック・エーダール ノミネート3回受賞0回 イーサン・ヴァン・ダー・リン ノミネート6回受賞2回 トム・オーザニッチ ノミネート2回受賞0回 ディーン・A・ズパンシク ノミネート3回受賞0回 |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績 組合賞:オッペンハイマー 英国アカデミー賞:関心領域 |
前哨戦をリードしたのは 前哨戦でもっとも多くの受賞をさらったのは「オッペンハイマー」だが、英国アカデミー賞を受賞した「関心領域」も差はない。 |
録音賞と音響編集賞の統合 2020年の第93回から2つの賞が統合され、「音響賞」として再スタートしている。統合後の過去3回受賞作品は「トップガン マーヴェリック」「DUNE/デューン 砂の惑星」「サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ-」。 |
戦争映画が強い 録音賞と音響編集賞に分かれていた時代もふくめ、過去10年で「1917 命をかけた伝令」「ダンケルク」「ハクソー・リッジ」と3本の戦争映画が受賞している。 |
音楽系映画が強い 録音賞と音響編集賞に分かれていた時代もふくめ、過去10年で「サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ-」「ボヘミアン・ラプソディ」「セッション」と3本の音楽系映画が受賞している。 |
ヒット作の受賞が多い 過去10年、受賞作の7本が興収1億ドル超のヒット作となっている。今年興収1億ドルを超えているノミネート作は「オッペンハイマー」「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」の2本。 「トップガン マーヴェリック」($718,732,821) 「DUNE/デューン 砂の惑星」($108,327,830) 「1917 命をかけた伝令」($159,227,644) 「ボヘミアン・ラプソディ」($216,668,042) 「ダンケルク」($189,740,665) 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」($154,109,060) 「ゼロ・グラビティ」($274,092,705) |
視覚効果賞 |
◎ | 山崎貴、渋谷紀世子、高橋正紀、野島達司 (ゴジラ-1.0) 全員初ノミネート |
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◯ | ジェイ・クーパー、イアン・コムリー、アンドリュー・ロバーツ、ニール・コーボールド (ザ・クリエイター 創造者) ジェイ・クーパー 初ノミネート イアン・コムリー 初ノミネート アンドリュー・ロバーツ 初ノミネート ニール・コーボールド ノミネート5回受賞2回 |
▲ | ステファン・セレッティ、アレクシ・ワジブロア、ガイ・ウィリアムズ、Theo Bialek (ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3) ステファン・セレッティ ノミネート2回受賞0回 アレクシ・ワジブロア 初ノミネート ガイ・ウィリアムズ ノミネート3回受賞0回 Theo Bialek 初ノミネート |
チャーリー・ヘンリー、Luc-Ewen Martin-Fenouillet、Simone Coco、ニール・コーボールド (ナポレオン) チャーリー・ヘンリー ノミネート1回受賞0回 Luc-Ewen Martin-Fenouillet 初ノミネート Simone Coco 初ノミネート ニール・コーボールド ノミネート5回受賞2回 |
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アレックス・ブトケ、Simone Coco、ジェフ・サザーランド、ニール・コーボールド (ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE) アレックス・ブトケ 初ノミネート Simone Coco 初ノミネート ジェフ・サザーランド 初ノミネート ニール・コーボールド ノミネート5回受賞2回 |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績 組合賞(40%):ザ・クリエイター クリティクス・チョイス・アワード(50%):オッペンハイマー 英国アカデミー賞(80%):哀れなるものたち |
本命作品がノミネート選外 過去10年で8度の一致をみている英国アカデミー賞の受賞作「哀れなるものたち」、およびクリティクス・チョイス・アワードの受賞作「オッペンハイマー」の2作品がノミネートから外れるという波乱。 |
ヒーロー映画に厳しい 視覚効果と言えばヒーロー映画だが、この部門はヒーロー映画にめっぽう厳しく、過去20年で一度も受賞がない。今年の「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3」も過去2作品は受賞に至っていない。 |
判官びいきの傾向あり 2015年の「エクス・マキナ」受賞に代表されるように、少ない製作費で画期的なビジュアルを実現した作品が高く評価される傾向。製作費ではハリウッド映画の何分の1とも言われている「ゴジラ -1.0」には有利なデータ。 |
監督としての受賞は…? 監督として視覚効果賞を受賞したことがあるのは、95年の歴史を持つアカデミー賞でも「2001年 宇宙の旅」のスタンリー・キューブリックのみ。「ゴジラ -1.0」が受賞すれば、山崎貴監督は栄えある2人目の記録となる。 |
国際長編映画賞 |
◎ | 関心領域(イギリス) イギリス実績 ノミネート2回受賞0回 |
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◯ | 雪山の絆(スペイン) スペイン実績 ノミネート20回受賞4回 |
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ありふれた教室(ドイツ) ドイツ実績 ノミネート19回受賞4回 |
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PERFECT DAYS(日本) 日本実績 ノミネート14回受賞2回 |
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▲ | Io capitano(イタリア) イタリア実績 ノミネート29回受賞11回 |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) ゴールデン・グローブ賞(50%):落下の解剖学 クリティクス・チョイス・アワード(40%):落下の解剖学 英国アカデミー賞(80%):関心領域 |
前哨戦をリードしたのは… 前哨戦の受賞・ノミネート数で総合TOPに立った「落下の解剖学」はフランス代表でエントリーしていなかったためノミネートはならず。カンヌで最高賞を競い合った「関心領域」の1強状態へ。 |
国別の実績 今年は実績豊富なヨーロッパ勢が勢揃い。“外国語”映画の製作が少ないイギリスは今回3度目のノミネートで初受賞を狙う。 ドイツ:19 noms / 4 wins スペイン:20 noms / 4 wins イタリア:29 noms / 11 wins イギリス:2 noms / 0 wins 日本: 14 noms / 2 wins |
国際長編映画賞以外の部門にもノミネートされると? 他の部門にもノミネートされる作品は総合的に高く評価されている証。過去4年の受賞作はすべて作品賞または監督賞にノミネートされている。作品賞ふくめ複数部門でノミネートされている「関心領域」が圧倒的優位。 |
日本の「PERFECT DAYS」受賞は…? 日本から参戦の「PERFECT DAYS」は、国際的に評価の高いヴィム・ヴェンダース監督の知名度も手伝って見事にノミネートを勝ち取った。一昨年、「ドライブ・マイ・カー」で受賞したばかりということもあり、今回は不利な戦いを強いられることになりそう。 |
長編アニメーション映画賞 |
◯ | スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース | |
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◎ | 君たちはどう生きるか | |
マイ・エレメント | ||
▲ | ニモーナ | |
ロボット・ドリームズ |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(90%):スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース ゴールデン・グローブ賞(80%):君たちはどう生きるか クリティクス・チョイス・アワード(80%):スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース 英国アカデミー賞(70%):君たちはどう生きるか アニー賞(70%):スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース |
ディズニーアニメの圧倒的な強さ 計21年の歴史の中で、ピクサーが11回、ディズニー・アニメーション・スタジオが4回受賞している。つまりディズニー以外の作品が受賞したのは7回だけ。 |
国際色豊かな会員構成なら… 主要前哨戦は「スパイダーマン」3勝vs「君たち」2勝の結果となったが、国際色豊かな会員構成からなる2賞を「君たち」が受賞している結果は見逃せない。近年のアカデミー賞は会員構成がグローバル化してきており、「君たち」得票に優位に働きそう。 |
Netflixの勢い止まらず? 昨年、「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」でこの部門初制覇を成し遂げたネットフリックス・アニメーション。今年送り込まれた「ニモーナ」も驚くほどのクオリティの高さ。逆転があってもおかしくない。 |
ヨーロッパからの刺客 スペイン・フランスの合作アニメーション映画「ロボット・ドリームズ」は、80年代ニューヨークを舞台にしたひとりぼっちのドッグとロボットの友情物語。ギレルモ・デル・トロも絶賛した良作が上位を脅かすか。 |
長編ドキュメンタリー映画賞 |
◯ | マリウポリの20日間 | |
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◎ | Four Daughters | |
▲ | The Eternal Memory | |
ボビ・ワイン:ゲットー・プレジデント | ||
虎を仕留めるために |
【予想ポイント】 |
主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 主要前哨戦実績(過去10年の一致率) 組合賞(50%):ジョン・バティステ アメリカン・シンフォニー 英国アカデミー賞(60%):実録 マリウポリの20日間 |
大本命がノミネート落ち 前哨戦を独走した「STILL:マイケル・J・フォックス ストーリー」がノミネート選外となるビッグサプライズ。また、前哨戦3番手につけていた「ジョン・バティステ アメリカン・シンフォニー」も候補から漏れる驚きの結果となった。 |
昨年受賞作の余波 昨年、この部門で受賞を果たした「ナワリヌイ」は、反プーチン活動の果てに殺されかける政治活動家の素顔に迫ったドキュメンタリー。その主人公たるアレクセイ・ナワリヌイが、その1年後の2月16日に47歳の若さでこの世を去った。 |
ウクライナ情勢の影響 そのナワリヌイが断固反対の立場をとったウクライナ侵攻の真実を追ったドキュメンタリー「マリウポリの20日間」が注目を集めるのは当然の流れ。世相を反映すると言われるアカデミー賞だが、この部門はその最たるもので、いまだ収束が見えない問題への関心の高まりが得票に大きな影響を与えるのは間違いない。 |
チュニジア代表映画 「Four Daughters」は国際長編映画賞部門にチュニジア代表として出品され、10作品のショートリストに残ったが、惜しくもノミネート選外。昨年のカンヌ国際映画祭でも話題になった作品で、実績では他候補より1枚上。実在の4姉妹のうち失踪した2人を役者が演じて再現するという虚構と現実が入り混じった作品で、抑圧された女性像とそこからの解放というテーマもオスカー向き。 |
Netflixで配信中 「虎を仕留めるために」はインドを舞台に、レイプ被害にあった13歳の少女と、それをきっかけに前代未聞の行動を起こす父親の姿を追う。製作総指揮にデヴ・パテル、プリヤンカー・チョープラー・ジョナスら著名俳優が参加していることや、Netflixで視聴できることも票につながりそう。 |
「83歳のやさしいスパイ」監督の新作 「The Eternal Memory」はアルツハイマーを患った夫と、彼を献身的に支える妻の姿を追ったドキュメンタリー。オスカー候補となった「83歳のやさしいスパイ」を手がけたマイテ・アルベルディ監督の新作で、サンダンス映画祭審査員大賞を受賞している。 |
ヴェネチアで好評 「ボビ・ワイン:ゲットー・プレジデント」はウガンダの長期政権を倒すため大統領選挙に打って出る人気歌手ボビ・ワインに密着したドキュメンタリー。ヴェネチア国際映画祭で上映され、話題を呼んだ。 |
短編アニメーション映画賞 |
◎ | War Is Over! Inspired by the Music of John & Yoko |
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◯ | Letter to a Pig |
Ninety-Five Senses | |
Pachyderme | |
▲ | Our Uniform |
【予想ポイント】 |
尺は短いほうが有利? 過去10年、受賞作で最も長いものでも14分で、大半は10分以内の短尺。同じ短編でもドキュメンタリー部門とは正反対の傾向にある。ただし、昨年は32分と長い「ぼく モグラ キツネ 馬」が受賞している。 「Letter to a Pig」(17分) 「War Is Over! Inspired by the Music of John & Yoko」(11分) 「Ninety-Five Senses」(14分) 「Pachyderme」(11分) 「Our Uniform」(7分) |
ディズニー&ピクサーが強い部門だが… 過去10年、ディズニーまたはピクサー作品が受賞したのは4度とやはり強い。ただし、今年は両社からのエントリーはなし。 |
短編ドキュメンタリー映画賞 |
◎ | The ABCs of Book Banning |
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◯ | ラスト・リペア・ショップ |
▲ | 世界の人々:ふたりのおばあちゃん |
The Barber of Little Rock | |
Island in Between |
【予想ポイント】 |
40分枠をフルに使い切る 短編部門の長さ制限は40分までだが、過去10年の受賞作で、40分ぎりぎりまで尺を使った作品は実に8本を数える。昨年受賞の「エレファント・ウィスパラー:聖なる象との絆」も39分。 「The ABCs of Book Banning」(27分) 「The Barber of Little Rock」(35分) 「Island in Between」(20分) 「ラスト・リペア・ショップ」(39分) 「世界の人々:ふたりのおばあちゃん」(17分) |
オンラインで視聴可能 「ラスト・リペア・ショップ」「世界の人々:ふたりのおばあちゃん」(日本では3月22日より)はDisney+で視聴可能。 |
短編実写映画賞 |
◎ | ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語 |
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Red, White and Blue | |
◯ | 彼方に |
Invincible | |
▲ | Knight of Fortune |
【予想ポイント】 |
20分台の尺が受賞しやすい傾向 短編ドキュメンタリー賞とは違い、40分枠をフルに使い切るのではなく、20分台でコンパクトにまとまった作品が評価されやすい傾向。過去10年の受賞作はすべて20分台またはそれ未満の尺。少し長めの「無垢な瞳」には不利なデータ。 「彼方に」(18分) 「Invincible」(30分) 「Knight of Fortune」(26分) 「Red, White and Blue」(23分) 「ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語」(40分) |
ウェス・アンダーソン初オスカー? 「グランド・ブダペスト・ホテル」など多数のオスカー候補を生み出しているウェス・アンダーソンだが、自身は7度ノミネートされながらまだオスカー像を手にしていない。今回の新作もまったくブレることなくらしさ全開で、アカデミー会員内のファンも大喜びしているはず。 長編アニメ賞「犬ヶ島」 作品賞・監督賞・脚本賞「グランド・ブダペスト・ホテル」 脚本賞「ムーンライズ・キングダム」 長編アニメ賞「ファンタスティック Mr.FOX」 脚本賞「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」 |
オンラインで視聴可能 「彼方に」「ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語」はNetflixで全編が視聴可能。 |