第97回アカデミー賞全部門受賞予想

※は予想。はノミネート。
※並びはアルファベット順

作品賞
ANORA アノーラ(ネオン)

作品監督・主演女優・助演男優・脚本・編集
ブルータリスト(A24)
作品・監督・主演男優・助演男優・助演女優・脚本・撮影・編集・美術・作曲
教皇選挙(フォーカス・フィーチャーズ)
作品・主演男優・助演女優・脚色編集・美術・衣装・作曲
名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN(サーチライト)
作品・監督・主演男優・助演男優・助演女優・脚色・衣装・音響
デューン 砂の惑星 PART2(ワーナー)
作品・撮影・美術・音響・視覚効果
エミリア・ペレス(Netflix)
作品・監督・主演女優・助演女優・脚色・撮影・編集・メイク・音響・作曲・主題歌×2・国際長編
アイム・スティル・ヒア(ソニー・ピクチャーズ・クラシックス)
作品・主演女優・国際長編
ニッケル・ボーイズ(MGM)
作品・脚色
サブスタンス(Mubi)
作品・監督・主演女優・脚本・メイク
ウィキッド ふたりの魔女(ユニバーサル)
作品・主演女優・助演女優・編集・美術衣装・メイク・作曲・音響・視覚効果
主要前哨戦実績(過去10年の一致率)
組合賞(70%):「ANORA アノーラ」
ゴールデン・グローブ賞(40%):「ブルータリスト」「エミリア・ペレス」
クリティクス・チョイス・アワード(60%):「ANORA アノーラ」
英国アカデミー賞(20%):「教皇選挙」
大混戦の前哨戦
主要前哨戦を「ANORA アノーラ」「ブルータリスト」「エミリア・ペレス」「教皇選挙」が分け合う大混戦。最重要の組合賞とクリティクス・チョイス・アワードを制した「ANORA アノーラ」が一歩抜け出したかたちだが、まだまだ逆転がありそうな情勢。
特殊な投票方式がどう影響する?
1位の作品だけに投票するのではなく、1位〜10位まで順位をつけて投票するという方式。1位に選ぶ人も多いが下位に選ぶ人も多いという好き嫌いの分かれる作品よりも、2位3位に選ぶ人が多い平均点の高い作品が受賞する傾向。3年前も批評家に愛された「パワー・オブ・ザ・ドッグ」ではなく、みんなが大好きな「コーダ あいのうた」が選ばれている。
女性が主人公の作品
「ANORA アノーラ」「エミリア・ペレス」「アイム・スティル・ヒア」「サブスタンス」「ウィキッド ふたりの魔女」と候補作の半分が女性を主人公にした映画。一昨年まで3年続けて女性が主人公の映画が作品賞を受賞している。
最多ノミネート作品の強みは?
過去10年で最多ノミネート作品が作品賞を受賞したのは4回。ここ2年は「オッペンハイマー」「エブエブ」と最多候補作が作品賞を受賞している。今年の「エミリア・ペレス」はどうなる?
◎「オッペンハイマー」13-7
◎「エブエブ」11−7
「パワー・オブ・ザ・ドッグ」12−1
「Mank/マンク」 10−2
「ジョーカー」14−2
「ROMA」10−3「女王陛下のお気に入り」10−1
◎「シェイプ・オブ・ウォーター」13−4
「ラ・ラ・ランド」14−6
「レヴェナント: 蘇えりし者」12−3
◎「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」9-4「グランド・ブダペスト・ホテル」9-4
監督賞との一致率
作品賞と監督賞の一致率は過去10年で60%。近年、一致率は下がり続ける一方だったが、ここ2年は一致している。今年は作品賞・監督賞ともに混戦で、票が割れる可能性が高そう。
メジャー配給会社は劣勢
過去20年、メジャースタジオが配給した作品の受賞は5回だけ。独立系配給会社のほうがはっきりと優位に立っている。昨年は「オッペンハイマー」(ユニバーサル)受賞でメジャースタジオの栄光を取り戻したが、今年は独立系配給の作品が圧倒的に強い。
興行収入は少ないほうが有利
作品賞受賞作の平均興行収入は年々下がっている。1990年代には1億9000万ドルだったが、2010年代は6900万ドルに下がり、2020年代の直近3作品では2696万ドルまで下がった(370万ドルの「ノマドランド」と0ドルの「コーダ」、7700万ドルの「エブエブ」)。市場全体の興収は右肩上がりだが、アカデミー賞で評価される作品は興収が低いものになっている。昨年の「オッペンハイマー」は例外で、今年も低予算の作品が作品賞候補に多く名を連ねている。
「エミリア・ペレス」を襲うバックラッシュ
「エミリア・ペレス」に主演したカーラ・ソフィア・ガスコンが過去に行った差別発言の余波は全部門に及んでいる。作品賞部門でも最多ノミネート作という優位はとうに消え、いまや不利な立場に追い込まれている。
「ブルータリスト」を襲うバックラッシュ
劇中でエイドリアン・ブロディとフェリシティ・ジョーンズが繰り出すハンガリー語の発音を完璧なものにするため、一部AIを使用したという事実が公になり物議を醸した。明確な規定違反ではないものの、AI使用に関してはセンシティブな時期だけに、得票に影響する可能性もある。
カンヌ国際映画祭との相性
カンヌ国際映画しで最高賞パルムドールを受賞した作品がアカデミー賞作品賞も同時受賞したケースは過去3度のみ(「失われた週末」「マーティ」「パラサイト 半地下の家族」)。ただし、ここ3年連続でパルムドール作が作品賞にノミネートされており、確実に両者の相性は良くなっている。今年のパルムドール作「ANORA アノーラ」には有利なデータ。
強烈な追い上げ
英国アカデミー賞、そして俳優組合賞キャスト賞と終盤の重要賞を連続して制したのが「教皇選挙」。最終コーナーを回ってからの勢いは一番で、もしかしたらゴール前での大逆転があるかもしれない。
編集賞ノミネートは必須条件
編集賞にノミネートされなかった作品が作品賞を受賞した例はこの40年で2度だけ(14年「バードマン」と21年「コーダ あいのうた」)。今年、編集賞にノミネートされているのは、ANORA アノーラ」「ブルータリスト」「教皇選挙」「エミリア・ペレス」「ウィキッド ふたりの魔女」の5本。
編集賞ノミネートは必須条件
監督賞にノミネートされなかった作品が作品賞を受賞したケースはこの40年で4回だけ(18年「グリーンブック」12年「アルゴ」89年「ドライビング・Miss・デイジー」21年「コーダ あいのうた」)。監督賞にノミネートされていない「教皇選挙」には不利なデータ。
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ ANORA アノーラ:1位票23
◯ 教皇選挙:1位票14
予想:結論
主演俳優の差別発言、編集段階でのAI使用などマイナス要素が足を引っ張りそうな「エミリア・ペレス」「ブルータリスト」を尻目に、終盤に抜け出したのは「ANORA アノーラ」と「教皇選挙」の2作品。あえてわかりやすい構図にするなら、かつてのハリウッド映画が標榜してきた大衆向け映画の真逆を行く革新的な「ANORA アノーラ」と、これぞ映画という重厚さで映画ファンを喜ばせる従来型の最高峰「教皇選挙」の対決ということになる。そうなると、とくに2016年以降、アカデミー協会の改革によって会員がグローバル化したことに端を発するその後のアカデミー賞の激変ぶりから察するに、会員たちの票を多く集めるだろうのは「ANORA アノーラ」になるのではないか。

監督賞
ANORA アノーラ
ショーン・ベイカー ※初ノミネート
ブルータリスト
ブラディ・コーベット ※初ノミネート
名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN
ジェームズ・マンゴールド ※初ノミネート
エミリア・ペレス
ジャック・オディアール ※初ノミネート
サブスタンス
コラリー・ファルジャ ※初ノミネート
主要前哨戦実績(過去10年の一致率)
組合賞(90%):ショーン・ベイカー
ゴールデン・グローブ賞(70%):ブラディ・コーベット
クリティクス・チョイス・アワード(80%):ジョン・M・チュウ
英国アカデミー賞(70%):ブラディ・コーベット
混戦模様の前哨戦
前哨戦でもっとも多くの賞を受賞したのはブラディ・コーベット(ブルータリスト)だったが、最重要の組合賞をショーン・ベイカー(ANORA アノーラ)が制したことで形勢は五分に。どちらが受賞してもまったく不思議はない。
作品賞との一致率
作品賞と監督賞の一致率は過去10年で60%。ここ2年は一致しているが、今年は作品賞も監督賞も混戦模様なだけに両部門の勝者が分かれてもおかしくない。
全員が初ノミネート
ノミニー全員が初ノミネートというフレッシュな顔ぶれ。フランスの巨匠ジャック・オーディアールや職人ジェームズ・マンゴールドら、すでに長いキャリアで実績を積み上げている例もあるものの、今年は新たな才能に光が当てられる年になりそう。
史上4人目の女性監督受賞者なるか
これまで監督賞を受賞した女性は、キャスリン・ビグロー(ハート・ロッカー)、クロエ・ジャオ(ノマドランド)、ジェーン・カンピオン(パワー・オブ・ザ・ドッグ)の3人のみ。フランス人女性監督コラリー・ファルじゃ(サブスタンス)が4人目の快挙となるか。
俳優出身監督
ブラディ・コーベット(ブルータリスト)はもともと俳優として活躍。俳優出身でオスカーを受賞した監督といえば、これまでクリント・イーストウッド、ケヴィン・コスナー、メル・ギブソン、ウォーレン・ビーティ、ロバート・レッドフォードら錚々たる名前が並ぶが、コーベットも偉大なる先達たちの仲間入りを果たすか。
シリーズ作の弱み
クリティクス・チョイス・アワードを制したジョン・M・チュウ(ウィキッド ふたりの魔女)だが、対象作が前後編の一遍であることが不利に働きそう。「ロード・オブ・ザ・リング」1〜2作目では受賞を逃し、3作目でようやく受賞を果たしたピーター・ジャクソンと同じ轍をたどるか。
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ ショーン・ベイカー(ANORA アノーラ):1位票35
◯ ブラディ・コーベット(ブルータリスト):1位票2
予想:結論
全員が初ノミネートというフレッシュな顔ぶれの中、オスカーを争うのはショーン・ベイカー(ANORA アノーラ)とブラディ・コーベット(ブルータリスト)の2者に絞られた。どちらも将来のインディペンデント映画を背負って立つ逸材だが、作品賞部門で大きく差をつけた感のあるショーン・ベイカーが有利か。近年は作品賞と監督賞が一致しないケースのほうが目立つので、ブラディ・コーベットの逆転も十分にありうる。

主演男優賞
ブルータリスト
エイドリアン・ブロディ ※ノミネート1回 受賞1回
名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN
ティモシー・シャラメ ※ノミネート1回 受賞0回
教皇選挙
レイフ・ファインズ ※ノミネート2回 受賞0回
アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方
セバスチャン・スタン ※初ノミネート
SING SING/シンシン
コールマン・ドミンゴ ノミネート1回 受賞0回
主要前哨戦実績(過去10年の一致率)
組合賞(80%):ティモシー・シャラメ
ゴールデン・グローブ賞ドラマ部門(80%):エイドリアン・ブロディ
ゴールデン・グローブ賞コメディ・ミュージカル部門(0%):セバスチャン・スタン(A Different Man)
クリティクス・チョイス・アワード(60%):エイドリアン・ブロディ
英国アカデミー賞(90%):エイドリアン・ブロディ
2度目の主演男優賞?
エイドリアン・ブロディ(ブルータリスト)が受賞すれば、「戦場のピアニスト」に続き2度目の主演男優賞受賞となる。過去に2度以上の受賞を果たしたのは10人だけ。ダニエル・デイ=ルイス(3度)、ジャック・ニコルソン、ダスティン・ホフマン、マーロン・ブランドら名優に並ぶ大記録となる。
シャラメの猛烈な追い上げ
前哨戦を終始リードしたエイドリアン・ブロディを終盤で猛然と追い上げているのがティモシー・シャラメ(名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN)。最重要となる俳優組合賞を制して一気に形勢逆転。史上最年少での同部門受賞を狙う。
史上最年少受賞記録
ティモシー・シャラメ(名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN)が受賞した場合、史上最年少記録の更新となるが、現時点での記録保持者は奇しくも今年の最大のライバルとなるエイドリアン・ブロディ(ブルータリスト)。ブロディが「戦場のピアニスト」で受賞したのが29歳のとき。果たして記録保持者の眼の前で歴史が塗り替えられるのか?
英国アカデミー賞との一致率
過去10年でもっとも一致率が高いのが英国アカデミー賞。8回一致している組合賞よりも高い9回の一致で、一昨年のオースティン・バトラー(エルヴィス)以外はすべて一致している。今年のエイドリアン・ブロディ(ブルータリスト)には有利なデータ。
実在の人物を演じて受賞
実在の人物を演じてオスカー受賞したケースは過去10年で5回。今年はティモシー・シャラメ(名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN)、セバスチャン・スタン(アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方)の2人が対象。
キリアン・マーフィ(オッペンハイマー)ロバート・J・オッペンハイマー
ウィル・スミス(ドリームプラン)リチャード・ウィリアムズ
ラミ・マレック(ボヘミアン・ラプソディ)フレディ・マーキュリー
ゲイリー・オールドマン(ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男)ウィンストン・チャーチル
エディ・レッドメイン(博士と彼女のセオリー)スティーヴン・ホーキング
大統領を演じたノミニーたち
過去、主演男優賞ノミニーが演じた米大統領はエイブラハム・リンカーン(「リンカーン」ダニエル・デイ=ルイス)、リチャード・ニクソン(「ニクソン」アンソニー・ホプキンス)、ウッドロウ・ウィルソン(「ウィルソン」アレクサンダー・ノックス)、ハリー・トルーマン(「Give ‘em Hell, Harry!」ジェームズ・ホイットモア)の4人。セバスチャン・スタンが演じたドナルド・トランプで5人目となる。このうち、受賞を果たしているのはダニエル・デイ=ルイスのみ。
久しぶりのノミネート
レイフ・ファインズ(教皇選挙)は前回「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年)でノミネートされてから、28年ぶりのノミネート。ノミネート期間の間隔としてはヘンリー・フォンダの41年に次ぐ長さ。キャリアを称える票が集まる可能性。
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ エイドリアン・ブロディ(ブルータリスト):1位票26
◯ ティモシー・シャラメ(名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN):1位票11
予想:結論
前哨戦をリードしたのはエイドリアン・ブロディ(ブルータリスト)だが、もし受賞したら主演男優賞2回という強大な勲章を手に入れることになる。とかく演技賞部門ではオスカー何回受賞というステータスが重視されるだけに、果たして他の名優たちと比べてフィルモグラフィが見劣りするブロディにその勲章が容易に手渡されるかどうか。俳優組合賞での落選はまさにその表れだろう。となれば、その俳優組合賞で逆転受賞したティモシー・シャラメ(名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN)が史上最年少での栄冠に輝くシナリオが妥当と見る。

主演女優賞
ANORA アノーラ
マイキー・マディソン ※初ノミネート
エミリア・ペレス
カーラ・ソフィア・ガスコン ※初ノミネート
アイム・スティル・ヒア
フェルナンダ・トーレス ※初ノミネート
サブスタンス
デミ・ムーア 初ノミネート
ウィキッド ふたりの魔女
シンシア・エリヴォ ※ノミネート1回 受賞0回
主要前哨戦実績(過去10年の一致率)
組合賞(70%):デミ・ムーア
ゴールデン・グローブ賞ドラマ部門(40%):フェルナンダ・トーレス
ゴールデン・グローブ賞コメディ・ミュージカル部門(40%):デミ・ムーア
クリティクス・チョイス・アワード(70%):デミ・ムーア
英国アカデミー賞(80%):マイキー・マディソン
初受賞なるか
デミ・ムーアはこれまでまったく演技面での評価を得られなかったと自身も述懐しており、今回が初めてのオスカーチャンス。長い長い過小評価がようやく覆され、正当な評価を受けるときがくるか。
シンデレラガール誕生?
マイキー・マディソン(ANORA アノーラ)は10年以上のキャリアを持つものの、まだ弱冠25歳の新星。もし受賞なれば、過去10年では最年少、アカデミー賞96年の歴史の中でも史上9番目の若さでの受賞となる。
過去の差別発言が致命傷に
カーラ・ソフィア・ガスコン(エミリア・ペレス)が過去に投稿した差別発言の余波はもはや致命傷に。トランスジェンダー女優として初ノミネートという栄誉よりも、不名誉な印象だけが残る結果となってしまった。
母が成し得なかった夢
フェルナンダ・トーレス(アイム・スティル・ヒア)の母は、98年「セントラル・ステーション」で主演女優賞にノミネートされたフェルナンダ・モンテネグロ。26年の時を経て、母が成し得なかったオスカー受賞の夢を娘が掴み取ることができるか。
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ デミ・ムーア(サブスタンス):1位票24
◯ マイキー・マディソン(ANORA アノーラ):1位票8
▲ フェルナンダ・トーレス(アイム・スティル・ヒア):1位票5
予想:結論
当初はデミ・ムーア(サブスタンス)のキャリアに対する反応がマイナス方面に出るのではないかと予想していたが、どうやら真逆の方向に振れている模様。ゴールデン・グローブ賞で自身をポップコーン女優と称し、過小評価されたキャリアからの脱却が同業者たちの共感を得るに至ったことで、形勢は完全にムーア支持に。かつてエディ・マーフィー(ドリームガールズ)やシルベスター・スタローン(クリード チャプを継ぐ男)が直前にはしごを外されたような悲劇が起きないとも限らないが、今のムードならおそらく無事にオスカー像を手にできるのではないか。
もしムーア拒否の動きが起きるようなら、漁夫の利を得るのは新星マイキー・マディソン(ANORA アノーラ)、もしくはフェルナンダ・トーレス(アイム・スティル・ヒア)になるだろう。

助演男優賞
ANORA アノーラ
ユラ・ボリソフ ※初ノミネート
アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方
ジェレミー・ストロング ※初ノミネート
ブルータリスト
ガイ・ピアース ※初ノミネート
名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN
エドワード・ノートン ※ノミネート3回 受賞0回
リアル・ペイン 心の旅
キーラン・カルキン ※初ノミネート
主要前哨戦実績(過去10年の一致率)
組合賞(90%):キーラン・カルキン
ゴールデン・グローブ賞(80%):キーラン・カルキン
クリティクス・チョイス・アワード(90%):キーラン・カルキン
英国アカデミー賞(80%):キーラン・カルキン
前哨戦を圧勝
前哨戦を終始リードしたのはキーラン・カルキン(リアル・ペイン 心の旅)。主要4賞も総なめし、ほぼ死角はない。人気ドラマ「サクセッション」での好演も記憶に新しく、会員たちから多くの票を獲得することになりそう。
キーランの兄役が逆転候補?
その「サクセッション」でキーラン・カルキンの兄役を演じるのがジェレミー・ストロング(アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方)。人気ドラマの兄弟役がそろってノミネートとあって注目度は高い。今回は弟に分がありそうだが…?
作品の強さなら
演技賞での得票は、作品力の強さも大きなカギ。その点では「ANORA アノーラ」のユラ・ボリソフ、「ブルータリスト」のガイ・ピアースはほかよりも優位に立つ。前哨戦での実績なら後者がより優位か。
4度目の正直なるか
今回のノミニーで唯一過去に候補実績があるのがエドワード・ノートン(名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN)。96年「真実の行方」、98年「アメリカン・ヒストリーX」、14年「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」に続く4度目のノミネートで悲願の受賞となるか。
ロシアから来た新鋭
32歳のロシア人俳優ユラ・ボリソフ(ANORA アノーラ)は、カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作「コンパートメントNo.6」で国際的に注目された新鋭。今回のノミネートをきっかけに今後も活躍が期待される。
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ キーラン・カルキン(リアル・ペイン 心の旅):1位票36
◯ エドワード・ノートン(名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN):1位票1
予想:結論
実質主演のキーラ・カルキン(リアル・ペイン 心の旅)が受賞を逃すシーンは想像しにくい。何よりも強みなのがドラマシリーズ「サクセッション」(aka「メディア王」「キング・オブ・メディア」)の存在だ。この人気ドラマでエミー賞などテレビドラマの賞を多数受賞していること。近年、オスカーの演技賞部門もドラマシリーズで活躍している人材が勢いそのままに受賞するケースが増えている。
その点では同じドラマで兄弟役を演じているジェレミー・ストロング(アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方)にも大きな加点となるが、キーランとの差を詰めるまでには至らないだろう。
キーランの唯一の弱みである「対象作が作品賞にノミネートされていない」点が表面化してしまった場合、逆転があるとすればユラ・ボリソフ(ANORA アノーラ)か。映画の良心とも言える愛されキャラを演じている強みと、グローバル化する会員構成がプラスに働けば、ビッグサプライズを演出する可能性はある。

助演女優賞
ブルータリスト
フェリシティ・ジョーンズ ※ノミネート1回 受賞0回
名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN
モニカ・バルバロ ※初ノミネート
教皇選挙
イザベラ・ロッセリーニ ※初ノミネート
エミリア・ペレス
ゾーイ・サルダナ ※初ノミネート
ウィキッド ふたりの魔女
アリアナ・グランデ ※初ノミネート
主要前哨戦実績(過去10年の一致率)
組合賞(90%):ゾーイ・サルダナ
ゴールデン・グローブ賞(70%):ゾーイ・サルダナ
クリティクス・チョイス・アワード(80%):ゾーイ・サルダナ
英国アカデミー賞(70%):ゾーイ・サルダナ
前哨戦序盤は一騎打ちムードも
前哨戦の前半まではゾーイ・サルダナ(エミリア・ペレス)とアリアナ・グランデ(ウィキッド ふたりの魔女)の一騎打ちの様相だったが、終盤から一気にサルダナ優位にシフト。重要賞4賞を総なめし、ほぼオスカー像を手中に。
共演者炎上の影響は?
大本命ゾーイ・サルダナ(エミリア・ペレス)にとって唯一の不安材料となるのは、共演者で主演女優賞にノミネートされているカーラ・ソフィア・ガスコンの炎上騒動。サルダナ自身とは関係のない騒ぎだが、作品自体に大きな悪影響を及ぼしているだけに、まったくの無傷というわけにはいかないか。
AI使用の影響は?
作品の編集者が編集の過程でフェリシティ・ジョーンズ(ブルータリスト)およびエイドリアン・ブロディのハンガリー語のセリフのアクセントをAIで修正したと告白したことが物議を醸した。AI使用にセンシティブな時期だけに、得票に影響する可能性あり。
故デヴィッド・リンチへの餞に
先日、惜しまれつつこの世を去ったデヴィッド・リンチ監督作「ブルーベルベット」で女優としての才能を開花させたイザベラ・ロッセリーニ(教皇選挙)が初ノミネート。天国のリンチに最高の報告をすることができるか。
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ ゾーイ・サルダナ(エミリア・ペレス):1位票36
◯ アリアナ・グランデ(ウィキッド ふたりの魔女):1位票0
▲ イザベラ・ロッセリーニ(教皇選挙):1位票1
予想:結論
共演俳優のお騒がせで大きな被害を被っているゾーイ・サルダナ(エミリア・ペレス)だが、前哨戦の結果を見る限り、致命傷には至っていない模様。幸い、その間隙をつけそうなライバルも見当たらず、下馬評どおりサルダナの受賞となりそうだ。
前哨戦前半戦ではそのサルダナよりも目立っていたアリアナ・グランデ(ウィキッド ふたりの魔女)だが、終盤で失速。対象作が2部作の前編であることを考えると、続く後編が最大のチャンスとなるかもしれない。

脚本賞
ANORA アノーラ
ショーン・ベイカー ※初ノミネート
ブルータリスト
ブラディ・コーベット ※初ノミネート
モナ・ファストヴォルド ※初ノミネート
リアル・ペイン 心の旅
ジェシー・アイゼンバーグ ※ノミネート1回 受賞0回
セプテンバー5
ティム・フェールバウム ※初ノミネート
サブスタンス
コラリー・ファルジャ ※初ノミネート
主要前哨戦実績(過去10年の一致率)
組合賞(50%):ANORA アノーラ
ゴールデン・グローブ賞(40%):-
クリティクス・チョイス・アワード(70%):サブスタンス
英国アカデミー賞(50%):リアル・ペイン 心の旅
前哨戦をリードしたのは…
前哨戦でもっとも多くの賞を受賞したのは「ANORA アノーラ」。組合賞も制して本命視されるのは間違いない。ただし、その次に多くの賞を受賞した「リアル・ペイン 心の旅」も英国アカデミー賞を制して追い上げムード。重要賞での受賞はなかったものの、組合賞にはエントリーしていなかった「ブルータリスト」もまだチャンスあり。
作品賞との一致率
過去10年、作品賞受賞作が脚本賞受賞したケースは5回という高確率。作品賞部門で有力視される「ANORA アノーラ」「ブルータリスト」に有利なデータ。
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
「パラサイト 半地下の家族」
「グリーンブック」
「スポットライト 世紀のスクープ」
「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」
クリティクス・チョイス・アワードとの相性
重要前哨戦のなかで、この10年のオスカーとの一致率がもっとも高いのがクリティクス・チョイス・アワード。今年の受賞作は「サブスタンス」だが、サプライズの逆転受賞はあるのか?
俳優出身の脚本家
俳優として主演男優賞ノミネート実績もあるジェシー・アイゼンバーグは、脚本家、監督もこなすマルチな才能を見せつけている。対象作「リアル・ペイン 心の旅」は90分という短尺だが、作品賞ノミネートも期待された人気の高い作品。作品のファンはこの部門と助演男優賞部門で票を投じるだろう。
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ ANORA アノーラ:1位票23
◯ リアル・ペイン 心の旅:1位票11
▲ サブスタンス:1位票1
△ ブルータリスト:1位票1
予想:結論
セオリーどおりなら作品賞部門で本命視される「ANORA アノーラ」がここでも盤石と言えるが、「リアル・ペイン 心の旅」は侮れない伏兵だ。前哨戦でも五分の戦いを繰り広げており、俳優ジェシー・アイゼンバーグの単独脚本という点もプラスに働きそう。作品賞候補を逃したのは痛手だが、逆に考えると作品のファンはこの部門で応援票を投じるだろう。

脚色賞
名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN
ジェームズ・マンゴールド ※ノミネート2回 受賞0回
教皇選挙
ピーター・ストローハン ノミネート1回 受賞0回
エミリア・ペレス
ジャック・オーディアール ※初ノミネート
トーマス・ビデガン ※初ノミネート
レア・ミシウス ※初ノミネート
ニッケル・ボーイズ
ラメル・ロス ※ノミネート1回 受賞0回
ジョスリン・バーンズ ※ノミネート2回 受賞0回
SING SING/シンシン
クリント・ベントレー ※初ノミネート
グレッグ・クウェダー ※初ノミネート
クラレンス・マクリン ※初ノミネート
ジョン・ディヴァイン・G・ホワイトヘッド ※初ノミネート
主要前哨戦実績(過去10年の一致率)
組合賞(70%):ニッケル・ボーイズ
ゴールデン・グローブ賞(0%):教皇選挙
クリティクス・チョイス・アワード(60%):教皇選挙
英国アカデミー賞(70%):教皇選挙
「教皇選挙」が実績で優位
主要賞のうち3つを制した「教皇選挙」が他を大きくリード。唯一のがした組合賞はエントリーしていなかったのが理由で、もしエントリーしていればコンプリートしていたと思われる。この部門では死角なしか。
作品賞との一致率
過去10年、作品賞受賞作が脚色賞を受賞したケースは2回。一致率は高くなく、昨年も作品賞を受賞した「オッペンハイマー」がこの部門では受賞を逃している。作品賞にノミネートされていない「SING SING/シンシン」にも希望はある。
「コーダ あいのうた」
「ムーンライト」
伝記系は意外と苦戦
著名人の半生を描いた伝記映画こそがこの部門で輝きそうな気もするが、過去の実績を見てみると意外や苦戦を強いられている。「名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN」には嬉しくないデータ。
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ 教皇選挙:1位票34
◯ 名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN:1位票0
▲ ニッケル・ボーイズ:1位票2
予想:結論
前哨戦も圧勝している「教皇選挙」がここを落とすことはなさそうだが、もし逆転があるとすれば「名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN」か。BoxOfficeでも大ヒットを記録し、前哨戦後半戦から猛チャージをかけているだけに勢いそのままに票を集めそう。

撮影賞
ブルータリスト
ロル・クローリー ※初ノミネート
デューン 砂の惑星 PART2
グリーグ・フレイザー ※ノミネート2回 受賞1回
エミリア・ペレス
ポール・ギローム ※初ノミネート
Maria
エドワード・ラックマン ※ノミネート3回 受賞0回
ノスフェラトゥ
ジェアリン・ブラシュケ ※ノミネート1回 受賞0回
主要前哨戦実績(過去10年の一致率)
組合賞(70%):Maria
クリティクス・チョイス・アワード(70%):ノスフェラトゥ
英国アカデミー賞(90%):ブルータリスト
前哨戦は大混戦
もっとも多くの賞を受賞したのは「ノスフェラトゥ」。ただし、「ブルータリスト」「デューン 砂の惑星 PART2」「ニッケル・ボーイズ」も差はない。主要前哨戦も結果が割れており、どの作品にもオスカー受賞のチャンスがある。
作品賞との一致率
作品賞との一致は過去10年で2回。ただし、撮影賞受賞作のほとんどは作品賞にノミネートはされている。ということで、作品賞候補から漏れた「Maria」「ノスフェラトゥ」は不利な立場に。
撮影“技術”が重視される
近年の「オッペンハイマー」「Mank/マンク」「1917 命をかけた伝令」「ROMA/ローマ」等、VFXと合わせた技術的に特化した撮影が評価されやすい傾向にあるのがこの部門の特徴。その点では「デューン 砂の惑星 PART2」が有利だが…?
前作で受賞していても…
過去、続編作品が前作に引き続き撮影賞を受賞したケースはない。1作目で撮影賞を受賞した61年「ハスラー」、01年「ロード・オブ・ザ・リング」、09年「アバター」はいずれも続く作品では受賞していない。「デューン 砂の惑星 PART2」はこのジンクスを破れるか。
2年連続ノミネート
昨年、「伯爵」でサプライズ候補となったエドワード・ラックマンが今年も「Maria」でノミネート。どちらも作品自体の下馬評は高くなく、撮影賞のみでノミネートされていることからも、ラックマンの手腕への評価の高さがうかがい知れる。今年は混戦模様だけに、4度目の正直があるかもしれない。
「ノスフェラトゥ」人気
昨年末、BoxOfficeを大いにわかせたのが「ノスフェラトゥ」。周囲の予想をはるかに上回る興収をあげてその人気ぶりを世に知らしめたが、今回オスカーにノミネートされているのは撮影賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞の3部門のみ。作品のファンが票を投じるとしたらこの部門?
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ ブルータリスト:1位票33
◯ ノスフェラトゥ:1位票1
▲ デューン 砂の惑星 PART2:1位票0
△ Maria:1位票1
予想:結論
BoxOfficeで成功をおさめた「ノスフェラトゥ」も捨てがたいが、ここは作品賞部門でも強い「ブルータリスト」の逃げ切りか。新鋭ブラディ・コーベットのヴィジョンを明確化した個性的な画面は、作品の主役とも言える存在感を放っている。
大穴があるとすれば、組合賞を制した「Maria」。昨年に続いて下馬評の高くない作品でノミネートされたことは、いかにエドワード・ラックマンの手腕が評価されているかを物語っている。ただ、ノミネート投票が同業の撮影監督がメインだったのに対し、受賞投票は全会員となるだけに、作品の認知が低いのは致命的な弱点となる。

編集賞
ANORA アノーラ
ショーン・ベイカー ※初ノミネート
ブルータリスト
ダーヴィド・ヤンチョー ※初ノミネート
教皇選挙
ニック・エマーソン ※初ノミネート
エミリア・ペレス
ジュリエット・ウェルフラン ※ノミネート1回 受賞0回
ウィキッド ふたりの魔女
マイロン・カースタイン ※ノミネート1回 受賞0回
主要前哨戦実績(過去10年の一致率)
組合賞 ドラマ部門(40%):TBA
組合賞 コメディ部門(40%):TBA
クリティクス・チョイス・アワード(60%):チャレンジャーズ
英国アカデミー賞(40%):教皇選挙
前哨戦上位2作品が候補漏れ
前哨戦でワンツーだった「デューン 砂の惑星 PART2」と「チャレンジャーズ」がともにノミネートから漏れるという波乱。その両者の次に実績を残していたのが「教皇選挙」と「ANORA アノーラ」だった。
重要前哨戦の結果は当てにならず
編集者組合賞の発表は3月14日とまだ先で、オスカーとの一致率が高いクリティクス・チョイス・アワードを制した「チャレンジャーズ」はノミネートすらされていない状態。英国アカデミー賞も過去10年の一致率が40%と決して高くなく、「教皇選挙」を強く推すまでの理由にはならない。
作品賞との一致率
この10年に限っては2作品のみしか一致していないが、その2回が直近2年であることは見逃せないデータ。逆に言えば、この部門で有力視される「教皇選挙」に作品賞受賞の目が残っているということ…?
「ブルータリスト」へのバックラッシュ
編集過程でAIを使用したという編集者ダーヴィド・ヤンチョーの正直な告白は、大きな物議を醸している。少なくともプラスに働く要素は今のところなく、この混戦状態においては痛いマイナスになりそう。
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ 教皇選挙:1位票30
◯ ANORA アノーラ:1位票2
▲ ブルータリスト:1位票2
予想:結論
ここは消去法で。AI使用で一部反感を買った「ブルータリスト」と主演俳優のお騒がせでケチがついた「エミリア・ペレス」をまず除外。もともと候補入りもサプライズで、かつ二部作の前編というハンデを背負う「ウィキッド ふたりの魔女」も今回は厳しいだろう。
「ANORA アノーラ」はショーン・ベイカー監督自身が候補者というのが実は弱み。編集者からすれば、映画監督が編集まで兼任するのは職を奪われるようなものなので、素直に評価はできない。4年前に同賞にノミネートされたクロエ・ジャオ(ノマドランド)も受賞は逃している。
ということで、残った「教皇選挙」が受賞すると予想するが、そもそも消去法でなくても、この作品の計算し尽くされた設計図を具現化したような魅力は編集によるところが大きく、受賞にふさわしい。

美術賞
ブルータリスト
美術:ジュディ・ベッカー ※ノミネート1回 受賞0回
装置:パトリシア・クッチア ※初ノミネート
教皇選挙
美術:スージー・デイヴィス ※ノミネート1回 受賞0回
装置:シンシア・スレイター ※初ノミネート
デューン 砂の惑星 PART2
美術:パトリス・ヴァーメット ※ノミネート3回 受賞1回
装置:シェーン・ヴィア ※ノミネート2回 受賞1回
ノスフェラトゥ
美術:クレイグ・ラスロップ ※初ノミネート
装置:ベアトリス・ブレントネロヴァ ※初ノミネート
ウィキッド ふたりの魔女
美術:ネイサン・クロウリー ※ノミネート6回 受賞0回
装置:リー・サンデルズ ※ノミネート2回 受賞0回
主要前哨戦実績(過去10年の一致率)
組合賞 ピリオド部門(40%):ノスフェラトゥ
組合賞 ファンタジー部門(40%):ウィキッド ふたりの魔女
組合賞 コンテンポラリー部門(10%):教皇選挙
クリティクス・チョイス・アワード(80%):ウィキッド ふたりの魔女
英国アカデミー賞(60%):ウィキッド ふたりの魔女
ピリオド or ファンタジー
ピリオド(歴史もの)か、ファンタジーか。毎年どちらのジャンルの作品が受賞するのか予想が難しい。過去10年ではピリオド5作品、ファンタジー4作品(コンテンポラリー=現代もの1作品)で、ピリオドがやや有利。昨年受賞したのはファンタジーの「哀れなるものたち」。
前哨戦をリードしたのは…
前哨戦を終始リードしたのは「ウィキッド ふたりの魔女」。ただし、次位「ノスフェラトゥ」も差はない。ファンタジー代表「ウィキッド ふたりの魔女」とピリオド代表「ノスフェラトゥ」の争いか。
コンテンポラリー部門も
ピリオド、ファンタジー両部門に比べると分が悪いが、コンテンポラリー部門にも当然チャンスはある。過去10年では「ラ・ラ・ランド」が受賞しており、やはり作品賞部門で強いとこの部門でも有力視される。今年のコンテンポラリー代表は「教皇選挙」か。
作品賞との一致率
過去10年の一致は「シェイプ・オブ・ウォーター」1作品のみ。作品賞とはあまりリンクしない。
衣装デザイン賞との一致率
性質上、一致率の高い美術賞と衣装デザイン賞だが、近年はそれほどでもない。過去10年の一致率は40%で、過去5年に限れば一致したのは昨年の「哀れなるものたち」のみ。
クリティクス・チョイス・アワードとの一致率が高い
過去10年、クリティクス・チョイス・アワードで美術賞を受賞した作品が80%の確率でオスカーを受賞。ただし直近2年連続で一致していない。今年の受賞作は「ウィキッド ふたりの魔女」。
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ ウィキッド ふたりの魔女:1位票32
◯ ブルータリスト:1位票1
予想:結論
デザイン系で圧倒的なノミニーが存在する場合、美術賞と衣装デザイン賞はセットで予想がしやすい。今年は「ウィキッド ふたりの魔女」という圧倒的な存在がいるので、迷わず印を打てば間違いなさそう。もし紛れがあるとすれば、作品賞部門で力が勝る「教皇選挙」だろう。

衣装デザイン賞
名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN
アリアンヌ・フィリップス ※ノミネート3回 受賞0回
教皇選挙
リジー・クリストル ※ノミネート1回 受賞0回
グラディエーターII 英雄を呼ぶ声
ジャンティ・イェーツ ※ノミネート2回 受賞1回
デヴィッド・クロスマン ※ノミネート1回 受賞0回
ノスフェラトゥ
リンダ・ミューア ※初ノミネート
ウィキッド ふたりの魔女
ポール・タゼウェル ※ノミネート1回 受賞0回
主要前哨戦実績(過去10年の一致率)
組合賞 ピリオド部門(20%):ノスフェラトゥ
組合賞 ファンタジー部門(20%):ウィキッド ふたりの魔女
組合賞 コンテンポラリー部門(0%):教皇選挙
クリティクス・チョイス・アワード(70%):ウィキッド ふたりの魔女
ピリオド or ファンタジー
ピリオド(歴史もの)か、ファンタジーか。ピリオド優勢の美術賞に比べ、衣装デザイン部門では両者が拮抗。過去10年でピリオド作品が5回、ファンタジー作品が5回と賞を分け合っている。
ピリオドなら…
今年の受賞がピリオド作品の順番なら、組合賞を制した「ノスフェラトゥ」が最上位。BoxOfficeでの大ヒットも受賞を後押ししそう。
ファンタジーなら…
組合賞のファンタジー部門を制したのは「ウィキッド ふたりの魔女」。他ノミネート作品はすべてピリオド色が強いので、票を集めやすいか。
作品賞との一致率
過去10年の一致率は0%。作品賞とはまったくリンクしない。
美術賞との一致率
性質上、一致率の高い美術賞と衣装デザイン賞だが、近年はそれほどでもない。過去10年の一致率は40%で、過去5年に限れば一致したのは昨年の「哀れなるものたち」のみ。
クリティクス・チョイス・アワードとの一致率が高い
過去10年、クリティクス・チョイス・アワードで美術賞を受賞した作品が70%の確率でオスカーを受賞。ただし、昨年の覇者「バービー」はオスカー受賞ならず。
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ ウィキッド ふたりの魔女:1位票33
◯ ノスフェラトゥ:1位票0
予想:結論
こちらも美術賞部門と同様、「ウィキッド ふたりの魔女」が強い。前哨戦実績も申し分なく、作品の支持者は美術賞と両部門で投票することになるだろう。こちらも逆転があるとすれば「教皇選挙」か。

作曲賞
ブルータリスト
ダニエル・ブルームバーグ ※初ノミネート
教皇選挙
フォルカー・ベルテルマン ※ノミネート2回 受賞1回
エミリア・ペレス
クレマン・デュコル ※初ノミネート
カミーユ ※初ノミネート
ウィキッド ふたりの魔女
ジョン・パウエル ※ノミネート1回 受賞0回
スティーヴン・シュワルツ ※ノミネート8回 受賞3回
野生の島のロズ
クリス・バワーズ ※ノミネート2回 受賞1回
主要前哨戦実績(過去10年の一致率)
ゴールデン・グローブ賞(60%):チャレンジャーズ
クリティクス・チョイス・アワード(70%):チャレンジャーズ
英国アカデミー賞(90%):ブルータリスト
大本命が消える
前哨戦を圧倒的にリードし、重要賞2つ(ゴールデン・グローブ賞、クリティクス・チョイス・アワード)を制してこの部門の本命と目されていた「チャレンジャーズ」がノミネートから漏れる大波乱。本命なき混戦へと変貌した。
作品賞との一致率
過去10年、作品賞との一致率は20%と高くないが、昨年は「オッペンハイマー」の受賞で一致している。今年も「野生の島のロズ」以外は作品賞ノミネートと一致しているが、果たして。
主題歌賞との一致率
同じ音楽ジャンルの賞である主題歌賞との一致は過去10年で1度だけ(「ラ・ラ・ランド」)。よほど音楽に特化した魅力がないと両部門の同時受賞は難しい。今年、両部門で候補になっているのは「エミリア・ペレス」のみ。ミュージカル映画だけにチャンスはあるが、作品がまとってしまったマイナスイメージが得票を妨げそう。
英国アカデミー賞との一致率が高い
過去10年、英国アカデミー賞で作曲賞を受賞した作品が90%の確率でオスカーを受賞。今年の勝者は「ブルータリスト」?
2作連続受賞なるか?
一昨年、「西部戦線異状なし」で同部門受賞のフォルカー・ベルテルマンが、エドワード・ベルガー監督作で2作連続となる受賞を狙う。映画の主役となりうるインパクトあるスコアで、作品のファンは必ず投票するだろう。
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ ブルータリスト:1位票23
◯ 教皇選挙:1位票4
▲ 野生の島のロズ:1位票3
△ エミリア・ペレス:1位票1
△ ウィキッド ふたりの魔女:1位票2
予想:結論
前哨戦をリードした「チャレンジャーズ」が候補から漏れ、前作が一昨年この部門を制した「デューン 砂の惑星 PART2」は規定の関係でエントリーを認められず、そんなわけで混戦模様の作曲賞部門。そんな中、過去10年で9回がオスカーとも一致している英国アカデミー賞を制した「ブルータリスト」は実績面で他を大きくリードしていると言っていい。ダニエル・ブルームバーグが手がけたスコアは作品の主役とも言っていい存在感で、音の作り方も前衛的でユニーク。受賞にふさわしい。
一方、エドワード・ベルガー監督との前作「西部戦線異状なし」で同賞を受賞したフォルカー・ベルテルマンが手がけた「教皇選挙」のスコアも負けじと存在感抜群。こちらも映画の顔と言ってもいいくらい主張の強い音で、会員の印象に強く残っていることだろう。どちらが受賞してもおかしくないが、ベルテルマンはまだ受賞したばかりということで割り引いて考える必要があるかもしれない。
大穴候補は「野生の島のロズ」。物語を盛り上げ感情を揺さぶる音作りは、正統派、王道のそれ。映画音楽の見本のようなスコアだけに、支持する会員も多そうだ。

主題歌賞
“Never Too Late”(エルトン・ジョン:Never Too Late)
エルトン・ジョン ※ノミネート4回 受賞2回
“El Mal”(エミリア・ペレス)
ジャック・オーディアール ※初ノミネート
クレマン・デュコル ※初ノミネート
カミーユ ※初ノミネート
“Mi Camino”(エミリア・ペレス)
クレマン・デュコル ※初ノミネート
カミーユ ※初ノミネート
“Like a Bird”(SING SING/シンシン)
アブラハム・アレクサンダー ※初ノミネート
エイドリアン・ケサーダ ※初ノミネート
“The Journey”(6888郵便大隊)
ダイアン・ウォーレン ※ノミネート15回 受賞0回
主要前哨戦実績
ゴールデン・グローブ賞(70%):“El Mal”(エミリア・ペレス)
クリティクス・チョイス・アワード(80%):“El Mal”(エミリア・ペレス)
前哨戦をリードしたのは
「エミリア・ペレス」から2曲がノミネートされているが、そのうちの1曲”El Mal”が前哨戦を独走。重要2賞も制して死角なし。票割れも心配しなくてよさそう。
作品のマイナスイメージの影響は?
主演女優の差別発言によりついてしまった作品のマイナスイメージがこの部門にも影響を及ぼすことは必至。それを覆しての受賞となるか?
無冠の女王の初戴冠は?
この部門16度目のノミネートとなる無冠の女王ダイアン・ウォーレンの初受賞は?一昨年「私たちの声」、昨年「フレーミングホット! チートス物語」と対象作は無名ながら女王だけはノミネートを果たしている。今年の対象作も無名だが、初戴冠はあるか?
ネームバリューの勝利?
過去10年だけでも、ビリー・アイリッシュ、レディ・ガガ、アデルなどビッグネームが多数受賞。ネームバリューが大きく物を言う部門であることは間違いない。今年候補のエルトン・ジョンは5年前に「ロケットマン」でも受賞している。
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ “El Mal”(エミリア・ペレス):1位票24
◯ “The Journey”(6888郵便大隊):1位票5
▲ “Like a Bird”(SING SING/シンシン):1位票1
△ “Never Too Late”(エルトン・ジョン:Never Too Late):1位票2
予想:結論
昨年の「バービー」、一昨年の「RRR」が持っていた華やかさと注目度に比べると、比較的地味と形容せざるを得ない今年のノミニー。前哨戦をリードしたのは「エミリア・ペレス」の2曲だが、勝負付はすでに済んでいる。”El Mal”のほうに票が集中するのは間違いなく、票割れの危険はないだろう。バックラッシュの影響が懸念されるところだが、おそらく受賞は問題ないのではないか。
本命がスネに持っている傷につけこみたいのが”The Journey”(6888郵便大隊)。対象作は無名で本来ならノミネートすら快挙だが、手がけたのが大御所ダイアン・ウォーレンと聞けば業界人はみな納得。ノミネート15回でいまだに無冠の女王は、もはやその名前だけで自動的に票が転がり込むシステムが出来上がっているのではないかと思うほど。初戴冠を期待する声も大きく、もし受賞すれば会場からスタンディング・オベーションで迎えられることになるだろう。

音響賞
名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN
トッド・A・メイトランド ※ノミネート5回 受賞0回
ドナルド・シルヴェスター ※ノミネート1回 受賞1回
テッド・カプラン ※初ノミネート
ポール・マッシー ※ノミネート10回 受賞1回
デヴィッド・ジャンマルコ ※ノミネート3回 受賞0回
デューン 砂の惑星 PART2
ギャレス・ジョン ※初ノミネート
リチャード・キング ※ノミネート8回 受賞4回
ロン・バートレット ※ノミネート3回 受賞1回
ダグ・ヘムフィル ※ノミネート10回 受賞2回
エミリア・ペレス
エルワン・ケルザネ ※初ノミネート
エメリック・ドゥヴォルデール ※初ノミネート
マクサンス・デュセール ※初ノミネート
シリル・ホルツ ※初ノミネート
ニールス・バルレッタ ※初ノミネート
ウィキッド ふたりの魔女
サイモン・ヘイズ ※ノミネート2回 受賞1回
ナンシー・ニュージェント・タイトル ※初ノミネート
ジャック・ゴールソン ※初ノミネート
アンディ・ネルソン ※ノミネート24回 受賞2回
ジョン・マークイス ※初ノミネート
野生の島のロズ
ランディ・トム ※ノミネート15回 受賞2回
ブライアン・チャムニー  ※ノミネート1回 受賞0回
ゲイリー・A・リッツオ ※ノミネート6回 受賞2回
レフ・レファーズ ※初ノミネート
主要前哨戦実績
組合賞:名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN
英国アカデミー賞:デューン 砂の惑星 PART2
前哨戦をリードしたのは
前哨戦でもっとも多くの受賞をさらったのは「デューン 砂の惑星 PART2」だが、組合賞を受賞した「名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN」も差はない。
録音賞と音響編集賞の統合
2020年の第93回から2つの賞が統合され、「音響賞」として再スタートしている。統合後の過去3回受賞作品は「関心領域」「トップガン マーヴェリック」「DUNE/デューン 砂の惑星」と大作系が強い。
戦闘シーンがある作品が強い
録音賞と音響編集賞に分かれていた時代もふくめ、過去10年で「トップガン マーヴェリック」「DUNE/デューン 砂の惑星」「1917 命をかけた伝令」「ダンケルク」「ハクソー・リッジ」など戦闘シーンを含む作品が受賞している。「デューン 砂の惑星 PART2」には好材料。
音楽系映画が強い
録音賞と音響編集賞に分かれていた時代もふくめ、過去10年で「サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ-」「ボヘミアン・ラプソディ」「セッション」と3本の音楽系映画が受賞している。「名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN」には好材料。
ヒット作の受賞が多い
過去10年、受賞作の6本が興収1億ドル超のヒット作となっている。今年興収1億ドルを超えているノミネート作は「デューン 砂の惑星 PART2」「ウィキッド ふたりの魔女」「野生の島のロズ」の3本。
「トップガン マーヴェリック」($718,732,821)
「DUNE/デューン 砂の惑星」($108,327,830)
「1917 命をかけた伝令」($159,227,644)
「ボヘミアン・ラプソディ」($216,668,042)
「ダンケルク」($189,740,665)
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」($154,109,060)
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ デューン 砂の惑星 PART2:1位票17
◯ ウィキッド ふたりの魔女:1位票8
▲ 名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN:1位票7
予想:結論
2年前に前作が同賞を受賞している「デューン 砂の惑星 PART2」だが、2作続けて受賞のハードルは高い。あの「ロード・オブ・ザ・リング」もシリーズを通じて同賞を受賞したのは1度だけ。
そうなると、逆転候補は「名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN」。音楽系映画はこの部門で強く、ライブでの歌唱シーンが多いこの作品は音響の見せ場もたっぷり。受賞にふさわしい。

メイクアップ&ヘアスタイリング賞
A Different Man
マイク・マリーノ ※ノミネート2回 受賞0回
デイヴィット・プレスト ※初ノミネート
クリスタル・ジュラード ※初ノミネート
エミリア・ペレス
ジュリア・フロック・カルボネル ※初ノミネート
エマニュエル・ハンビア ※初ノミネート
ジャン・クリストフ・スパダッチーニ ※初ノミネート
ノスフェラトゥ
デヴィッド・ホワイト ※ノミネート2回 受賞0回
トレイシー・ローダー ※初ノミネート
スザンヌ・ストークス・マントン ※初ノミネート
サブスタンス
ピエール・オリビエ・ペリシン ※初ノミネート
ステファニー・ギヨン ※初ノミネート
マリリン・スカセリ ※初ノミネート
ウィキッド ふたりの魔女
フランシス・ハノン ※ノミネート1回 受賞1回
ローラ・ブラント ※初ノミネート
サラ・ナス ※初ノミネート
主要前哨戦実績
組合賞 ピリオド部門(70%):ウィキッド ふたりの魔女
組合賞 コンテンポラリー部門(10%):サブスタンス
クリティクス・チョイス・アワード(60%):サブスタンス
英国アカデミー賞(60%):サブスタンス
前哨戦をリードしたのは…
重要4賞のうち3つを制した「サブスタンス」が他を大きくリード。ライバルは組合賞を分け合った「ウィキッド ふたりの魔女」か。
ヘアスタイリングの重要性
第84回授賞式で主演女優賞を受賞したメリル・ストリープが自身のヘアスタイリストに謝意を表明し、その技術に対する評価の機運が一気に高まった。結果、翌年からメイクアップ賞→メイクアップ&ヘアスタイリング賞と名称が変更され、今に至る。
実在の人物に寄せる技術
2年前まで5年続けて登場人物が実在の人物である作品が受賞していたが、一昨年と昨年はフィクション作品が受賞(「ザ・ホエール」「哀れなるものたち」)。今年は5本ともフィクション作品がノミネート。
「タミー・フェイの瞳」
「マ・レイニーのブラックボトム」
「スキャンダル」
「バイス」
「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」
ファンタジー系も強い
過去20年まで遡れば、ファンタジー系の受賞作品も8本と数多い。「ウィキッド ふたりの魔女」には心強いデータ。
「スーサイド・スクワッド」
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」
「ウルフマン」
「スター・トレック」
「パンズ・ラビリンス」
「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」
「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」
「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ サブスタンス:1位票31
◯ ウィキッド ふたりの魔女:1位票1
▲ A Different Man:1位票1
予想:結論
「サブスタンス」と「ウィキッド ふたりの魔女」の争いだが、主要前哨戦を3つ総なめしている前者の優位は揺るがないだろう。

視覚効果賞
エイリアン:ロムルス
エリック・バーバ ※ノミネート1回 受賞1回
ネルソン・セプルベダ ※ノミネート1回 受賞0回
ダニエル・マカリン ※初ノミネート
シェイン・マハン ※初ノミネート
BETTER MAN/ベター・マン
ルーク・ミラー ※初ノミネート
デヴィッド・クレイトン ※ノミネート1回 受賞0回
キース・ハーフト ※初ノミネート
ピーター・スタッブス ※初ノミネート
デューン 砂の惑星 PART2
ポール・ランバート ※ノミネート3回 受賞3回
ステファン・ジェームズ ※初ノミネート
リース・サルクーム ※初ノミネート
ゲルト・ネフツァー ※ノミネート2回 受賞2回
猿の惑星 キングダム
エリック・ウィンクイスト ※ノミネート1回 受賞0回
ステファン・ウンテルフランツ ※初ノミネート
ポール・ストーリー ※初ノミネート
ロドニー・バーク ※初ノミネート
ウィキッド ふたりの魔女
パブロ・ヘルマン ※ノミネート3回 受賞0回
ジョナサン・フォークナー ※ノミネート3回 受賞0回
デヴィッド・シャーク ※ノミネート2回 受賞1回
ポール・コーボールド ※ノミネート2回 受賞0回
主要前哨戦実績
組合賞(40%):猿の惑星 キングダム
クリティクス・チョイス・アワード(40%):デューン 砂の惑星 PART2
英国アカデミー賞(70%):デューン 砂の惑星 PART2
前哨戦をリードしたのは…
重要賞のうち2つ(クリティクス・チョイス・アワード、英国アカデミー賞)を制した「デューン 砂の惑星 PART2」が他を大きくリード。しかし最重要賞の組合賞を「猿の惑星 キングダム」にさらわれるという波乱。
2作続けての受賞なるか?
「デューン 砂の惑星 PART2」は一昨年の前作も同賞を受賞。2作続けての受賞に期待がかかる。シリーズ作の連続受賞は2001年から2003年にかけての「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ以来。
猿映画が2本ノミネート
「猿の惑星 キングダム」と「BETTER MAN/ベター・マン」はどちらも猿が主人公の映画。猿を擬人化して描く技術が高く評価されている。
判官びいきの傾向あり
2015年の「エクス・マキナ」受賞に代表されるように、少ない製作費で画期的なビジュアルを実現した作品が高く評価される傾向。この中では唯一大作ではない「BETTER MAN/ベター・マン」には有利なデータ。
「エイリアン」シリーズ久々の候補
「エイリアン:ロムルス」はシリーズ作品として、2012年「プロメテウス」以来12年ぶりのノミネート。79年「エイリアン」、86年「エイリアン2」はともに受賞を果たしている。
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ デューン 砂の惑星 PART2:1位票30
◯ 猿の惑星 キングダム:1位票2
▲ ウィキッド ふたりの魔女:1位票1
予想:結論
大本命「デューン 砂の惑星 PART2」は果たしてすんなりと受賞できるか?シリーズ作が連続して受賞するのはどの部門でも実はハードルが高いのだが、視覚効果賞部門ではそのハードルが若干低いのも確か。「ロード・オブ・ザ・リング」「アバター」などシリーズ作が続けて受賞するケースもある。「デューン 砂の惑星 PART2」にとっては幸いなことに、強力なライバルがいないことも得票を後押ししそう。
下馬評では組合賞を受賞した「猿の惑星 キングダム」が対抗視されているが、同じ猿モノなら「BETTER MAN/ベター・マン」のほうが面白い存在。昨年の「ゴジラ -1.0」受賞のように、より少ない予算でクオリティの高い映像を作り上げたことに対する業績が評価される傾向にあるだけに、今回のノミニーの中では比較的低予算な「BETTER MAN/ベター・マン」にもチャンスはあるかもしれない。

国際長編映画賞
アイム・スティル・ヒア(ブラジル)
ブラジル実績 ノミネート4回 受賞0回
ガール・ウィズ・ニードル(デンマーク)
デンマーク実績 ノミネート14回 受賞5回
エミリア・ペレス(フランス)
フランス実績 ノミネート38回 受賞9回
聖なるイチジクの種(ドイツ)
ドイツ実績 ノミネート20回 受賞4回
Flow(ラトヴィア)
ラトヴィア実績 初ノミネート
主要前哨戦実績(過去10年の一致率)
ゴールデン・グローブ賞(40%):エミリア・ペレス
クリティクス・チョイス・アワード(40%):エミリア・ペレス
英国アカデミー賞(80%):エミリア・ペレス
前哨戦をリードしたのは…
主要前哨戦を総なめした「エミリア・ペレス」が前哨戦をリード。次位につけていたインド映画「All We Imagine as Light」がインド代表としてエントリーされていなかったこともあり、堂々の大本命として浮上。
バックラッシュの影響は?
前哨戦実績どおりなら圧倒的に「エミリア・ペレス」優位だが、主演女優の差別発言の余波が気になるところ。ライバル(「アイム・スティル・ヒア」「聖なるイチジクの種」)も強く、安心はできない。
国別の実績
今年も実績豊富なヨーロッパ勢が上位を占める。まだ受賞経験のないブラジルが逆転の初受賞を狙う。
フランス:38 noms / 9 wins
ドイツ:20 noms / 4 wins
デンマーク:14 noms / 5 wins
ブラジル:4 noms / 0 wins
ラトヴィア:0 noms / 0 wins
国際長編映画賞以外の部門にもノミネートされると?
他の部門にもノミネートされる作品は総合的に高く評価されている証。昨年の「関心領域」をふくめ、過去5年の受賞作はすべて作品賞または監督賞にノミネートされている。今年、作品賞にダブルノミネートされているのは「エミリア・ペレス」と「アイム・スティル・ヒア」の2本。
長編アニメ部門と両ノミネート
長編アニメーション映画賞部門と国際長編映画賞部門の両方でノミネートされたラトヴィア代表の「Flow」。前哨戦でも多くの実績を残しており、ファンも多い。ただ、受賞があるとすれば長編アニメ部門のほうか。
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ アイム・スティル・ヒア:1位票22
◯ エミリア・ペレス:1位票8
▲ 聖なるイチジクの種:1位票1
△ Flow:1位票1
予想:結論
最多13部門にノミネートされた「エミリア・ペレス」がこの部門で取り逃がすことになるなど、ノミネート発表時には誰も思っていなかった。しかし、その後に起きた主演俳優の差別発言騒動によって状況は一変。「エミリア・ペレス」は致命的な傷を追い、すべての部門で受賞の確率を大きく落とした。その傷が関係ないほどの圧倒的リードを保っている部門ならともかく、国際長編映画賞には強力なライバルがひしめいており、もはや本命視はされていないのが現実だ。
代わって受賞にもっと近い存在とされているのが、ブラジル映画「アイム・スティル・ヒア」。こちらも作品賞にサプライズ候補となり、その認知度は爆発的に上がっている。まだブラジルからこの部門の受賞が出ていないというのも、受賞を後押ししそうな要素のひとつ。さらに、監督のヴァルテル・サレスもハリウッドでは知名度が高く、会員が票を投じる材料になるだろう。

長編アニメーション映画賞
Flow
インサイド・ヘッド2
かたつむりのメモワール
ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!
野生の島のロズ
主要前哨戦実績(過去10年の一致率)
組合賞(90%):野生の島のロズ
ゴールデン・グローブ賞(80%):Flow
クリティクス・チョイス・アワード(80%):野生の島のロズ
英国アカデミー賞(70%):野生の島のロズ
アニー賞(70%):野生の島のロズ
前哨戦をリードしたのは…
ゴールデン・グローブ賞以外の主要4賞を制した「野生の島のロズ」が頭ふたつほど抜け出したが、前哨戦前半戦は「Flow」が大きくリードしていた。実質、この2作品の争いになるのは間違いない。
ディズニーアニメの圧倒的な強さ
計23年の歴史の中で、ピクサーが11回、ディズニー・アニメーション・スタジオが4回受賞している。ほぼ3年に2回はディズニー作品が受賞している。ここ2年はディズニー作品が受賞していないので確率的には「インサイド・ヘッド2」の受賞も…?
国際色豊かな会員構成なら…
昨年、日本映画「君たちはどう生きるか」が受賞したように、アカデミー会員がグローバル化したことにより海外作品にも確実に門戸が開かれている。ラトヴィア映画「Flow」、オーストラリア映画「かたつむりのメモワール」にもチャンス。
大人気シリーズ最新作
「ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!」はNetflixからの出品。アカデミー会員が配信で気軽に作品を鑑賞できるのは大きな強み。シリーズ作は2005年に「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」が同賞を受賞している。
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ 野生の島のロズ:1位票24
◯ Flow:1位票9
予想:結論
「野生の島のロズ」か「Flow」か。主要前哨戦はゴールデン・グローブ賞以外すべて「野生の島のロズ」が制しているが、そこまで大きな差はないはず。国際長編映画賞部門とのダブルノミネートが示すように、ラトヴィア映画「Flow」もアカデミー会員のあいだでかなり人気の高い作品と思っていいだろう。国際長編映画賞部門では「Flow」に出る幕がなさそうで、そうなると作品のファンは長編アニメーション部門で応援票を投じることになる。
一方、「野生の島のロズ」はBoxOfficeでも大ヒットを記録しており、会員へのリーチ力は確実に上。「リロ・アンド・スティッチ」や「ヒックとドラゴン」を手がけてきたクリス・サンダース監督の手腕も間違いなく、受賞にふさわしい。「Flow」を未見なのでクオリティ面での比較はできないが、今回は会員への認知度の差で「野生の島のロズ」に分があると見る。

長編ドキュメンタリー映画賞
Black Box Diaries
ノー・アザー・ランド 故郷は他にない
Porcelain War
Soundtrack to a Coup d’Etat
SUGARCANE シュガーケイン
主要前哨戦実績(過去10年の一致率)
主要前哨戦実績(過去10年の一致率)
組合賞(50%):Super/Man: The Christopher Reeve Story
英国アカデミー賞(60%):Super/Man: The Christopher Reeve Story
大本命がノミネート落ち
昨年の「STILL:マイケル・J・フォックス ストーリー」同様、前哨戦を圧勝した「Super/Man: The Christopher Reeve Story」がノミネート選外となるビッグサプライズ。こちらも候補落ちした「ウィル&ハーパー」(ウィル・フェレル主演)もそうだが、どうもこの部門は俳優を被写体にした作品に厳しい傾向。
世相の反映
この部門ではいま世の中で議論されるべき事象をテーマにした作品が取り上げられることが多い。今年、前哨戦を通じてもっとも注目されているのは、イスラエルーパレスチナ問題をテーマにした「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」。
2年連続で?
昨年、同賞を受賞したのはウクライナ侵攻をテーマにした「実録 マリウポリの20日間」。今年も同じテーマの作品「Porcelain War」がノミネート。兵士として戦地に赴くことになるウクライナ人アーティストの視点で非情な戦争が描かれる。
日本から初ノミネート
伊藤詩織氏が自らが受けたという性被害の真相を追う映画「Black Box Diaries」が日本映画として初ノミネート。許諾のない映像や音声を使っているとして批判されている一面もあり、この作品がアカデミー会員にどう受け止められているのかは判断が難しい。
コンゴの動乱を描く
「Soundtrack to a Coup d’Etat」は、1961年にコンゴ民主共和国の初代首相が暗殺された事件を背景に、アメリカ政府の「ジャズ・アンバサダーズ」プログラムに参加していた黒人ミュージシャンたちが、音楽を通じてアフリカの独立運動や冷戦下の政治情勢にどのように関与したかを描いたドキュメンタリー。前哨戦実績は乏しいが、逆転の目はある。
ディズニープラスで配信中
「SUGARCANE シュガーケイン」は、カナダの先住民寄宿学校での虐待と行方不明事件の真相を追求し、先住民社会が直面した悲劇とその克服への取り組みを描く作品。ディズニープラスで配信中。
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ ノー・アザー・ランド 故郷は他にない:1位票18
◯ Porcelain War:1位票12
▲ SUGARCANE シュガーケイン:1位票2
△ Soundtrack to a Coup d’Etat:1位票0
△ Black Box Diaries:1位票1
予想:結論
ここ2年続けて「ナワリヌイ」「実録 マリウポリの20日間」と、ロシアおよびウクライナ関連の作品が受賞。今年もウクライナ侵攻がテーマの「Porcelain War」が有力視されているが、さすがに3年連続はない?
同じくらい大きな関心事として注目されているイスラエルによるガザ侵攻を扱った「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」がより多くの会員の心を捉えるのではないかと予想する。映画の主要人物であるパレスチナ人のバーセルとユダヤ人のユヴァルがそろってスピーチする姿を見てみたい。

短編アニメーション映画賞
美しき男たち
イトスギの影の中で
あめだま
フシギなフラつき
Yuck!
アニー賞短編部門
今年のアニー賞短編部門を制したのは「フシギなフラつき」(Wonder to Wonder)。ともにノミネートされていた「美しき男たち」「イトスギの影の中で」を破っての受賞。
尺は短いほうが有利?
一昨年の「ぼく モグラ キツネ 馬」(32分)を除けば、過去10年、受賞作で最も長いものでも14分で、大半は10分以内の短尺。昨年も「War Is Over! Inspired by the Music of John and Yoko」も11分だった。今年のノミニーの上映時間はこちら。
「美しき男たち」(19分)
「イトスギの影の中で」(20分)
「あめだま」(21分)
「フシギなフラつき」(14分)
「Yuck!」(13分)
ディズニー&ピクサーが強い部門だが…
過去10年、ディズニーまたはピクサー作品が受賞したのは4度とやはり強い。ただし、今年は両社からのエントリーはなし。
日本からノミネート
「あめだま」は東映アニメーション制作の短編作品。人の心が読めるようになる不思議なあめだまを通じて、他人と心を通わせることを知る少年の姿を描く。受賞なれば、日本映画として2008年「つみきのいえ」以来16年ぶりの快挙となる。
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ Yuck!:1位票14
◯ 美しき男たち:1位票10
▲ フシギなフラつき:1位票3
△ あめだま:1位票4
△ イトスギの影の中で:1位票3
予想:結論
東映アニメーション制作「あめだま」の受賞に期待しつつ、実績重視で予想アニー賞して受賞の「フシギなフラつき」に一票。

短編ドキュメンタリー映画賞
Death by Numbers
I Am Ready, Warden
Incident
Instruments of a Beating Heart
ザ・レディ・イン・オーケストラ NYフィルを変えた風
40分枠をフルに使い切る
短編部門の長さ制限は40分までだが、過去10年の受賞作で、40分ぎりぎりまで尺を使った作品は実に7本を数える。昨年受賞の「ラスト・リペア・ショップ」も40分。
「Death by Numbers」(33分)
「I Am Ready, Warden」(36分)
「Incident」(30分)
「Instruments of a Beating Heart」(23分)
「ザ・レディ・イン・オーケストラ NYフィルを変えた風」(35分)
銃社会の問題に切り込む
「Death by Numbers」は、2018年にフロリダ州で起きた高校銃乱射事件の生存者が、加害者と対峙してトラウマと向き合う姿を描いた作品。このテーマは過去にドキュメンタリー部門でも何度か取り上げられており、会員の関心は高い。
死刑制度の是非を問う
「I’m Ready, Warden」は、2004年にコンビニ店員を殺害して死刑を宣告された男がその家族との和解を試み、自身の愛する家族たちと別れを告げる様を描いた作品。死刑制度の是非を問う内容で、こちらも会員の関心は高そう。
日本からノミネート
「Instruments of a Beating Heart」は、楽器オーディションに挑む小学1年生の姿を1年間にわたって追い続けた作品。この部門に日本映画がノミネートされたのは史上初の快挙で、受賞となればこちらも当然史上初。
Netflix作品が強い
過去10年でNetflix作品がこの部門を制したのは3回。今年もニューヨーク・フィルハーモニー楽団初の女性団員となったコントラバス奏者オリン・オブライエンの功績を描く「ザ・レディ・イン・オーケストラ NYフィルを変えた風」がノミネート。
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ I Am Ready, Warden:1位票17
◯ ザ・レディ・イン・オーケストラ NYフィルを変えた風:1位票9
▲ Incident:1位票4
△ Death by Numbers:1位票2
△ Instruments of a Beating Heart:1位票1
予想:結論
死刑制度や銃規制問題など重大かつ重要なテーマの作品が多勢を占めるなか、日本から初ノミネートされた「Instruments of a Beating Heart」は本当に本当に愛おしい、人間の善を信じたくなる作品。受賞はハードルが高そうだが、ノミネートされた快挙を祝いたい。
「ザ・レディ・イン・オーケストラ NYフィルを変えた風」は、今年のアカデミー賞を通底したテーマにもなっているウーマン・エンパワメントについての映画でもある。有名楽団初の女性団員として注目されてきたオリン・オブライエンその人への支持票も集まりそう。Netflixで鑑賞できるのも大きな強み。
ただ、候補作品のなかでもとりわけ重く、感情を揺さぶられそうなのは「I’m Ready, Warden」。女流監督スリムティ・ムンドラはこの作品が2度目のオスカー候補で、今度こそオスカー像を手中にするか。

短編実写映画賞
A Lien
アヌジャ
私は人間
The Last Ranger
The Man Who Could Not Remain Silent
20分台の尺が受賞しやすい傾向
短編ドキュメンタリー賞とは違い、40分枠をフルに使い切るのではなく、20分台でコンパクトにまとまった作品が評価されやすい傾向。過去10年の受賞作はすべて20分台またはそれ未満の尺。今年はみなちょうどいい尺の作品ばかり。
「A Lien」(15分)
「アヌジャ」(22分)
「I’m Not a Robot」(22分)
「The Last Ranger」(28分)
「The Man Who Could Not Remain Silent」(13分)
インドの実情を描く
インドの縫製工場で働く貧困少女たちの姿を描く「アヌジャ」のプロデューサーとして名を連ねるのは、ハリウッドでも活躍するプリヤンカー・チョープラー・ジョナスとミンディ・カリング。こうしたネームバリューは得票に有利。Netflixでオンライン配信しているのも強み。
カンヌ国際映画祭で受賞
「The Man Who Could Not Remain Silent」は93年に起きた18人のイスラム教徒と1人のクロアチア人虐殺事件をテーマにした作品。カンヌ国際映画祭で短編部門パルムドールを受賞し、クロアチア映画として初めてアカデミー賞にノミネートされた記念すべき作品。
今日的な題材
「私は人間」は、CAPTCHA認証に何度も失敗してしまうことで、自分がロボットなのではないか?と疑ってしまう主人公の物語。今日的なテーマでもあり、アカデミー会員受けがよさそう。
米予想サイトGold Derby下馬評
◎ The Man Who Could Not Remain Silent:1位票15
◯ A Lien:1位票10
▲ アヌジャ:1位票4
△ 私は人間:1位票1
△ The Last Ranger:1位票1
予想:結論
予想する材料が少ないなか、「The Man Who Could Not Remain Silent」のカンヌ国際映画祭短編部門パルムドール受賞の実績はひときわ輝いて見える。クロアチア映画として初のアカデミー賞ノミネートという偉業も、国際化が進むアカデミー協会を象徴しており、受賞にふさわしい。
有名女優2人がプロデュースする「アヌジャ」も有力。Netflixで鑑賞可能というのも大きな強み。

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